終わりからの始まり
「何か文句あるなら本人に言いにこれば?」
「は?って深田さん。」
「どう思おうがあなた達の自由よ。でもね。デタラメな事言われるのは気に食わないの。」
「デタラメ何か言ってない。事実でしょ。ちょっと顔がいいからって」
「顔ねぇ。美人かどうかしらないけど顔の好みなんて人それぞれでしょ。それに一昨日2人を侍らせてただった?そんな事してない。」
「嘘。それこそ嘘だわ。私見たもの3人が一緒に歩いてるとこ。」
「確かに断りきれなくて出かけはしたけど3人じゃない。それに私はあんなに目立つ2人とは気わりたくないの。」
「何それ自慢?私は小林くんの事中学からずっと好きなのに。横取りしたじゃない。」
ダンッ
私は思わず壁を拳で叩いていた。
「だから何?好きなら告白するばいい。私は何とも思ってないから。彼が私に声かけてくるのは彼の自由。それを拘束したいならそうい言えばいいでしょ。」
私はそれだけ言うとそのまま階段を降りる。
「なによ。性悪女!絶対小林くんは渡さないんだから。」
「性悪で結構。人に好かれようなんて思ってないから。」
私は今度こそ階段を降りて行った。
だから気づかなかった私が降りた階段の上の階段で会話を聞いていた人がいることに。
朝になって流石に言い過ぎたって後悔してもしょうがないよね。
言ったことは事実だけど、あぁ言う事は尾ひれがついて面倒事になるって分かってたのに。
憂鬱な気分で学校の門をくぐる。
ん?何もない。
昨日の感じだと特に小林くん狙いの子とかの視線が酷かったりすると思ったんだけど。
まあ何もないならいっか。面倒事に巻き込まれるのはごめんだし。
「おはよう深田。」
「ん。おはようって長山くん?」
長山くんは昨日の事が嘘の様な笑顔を向けて私の横を通ると自分の席に座った。
え。ちょっと待って今の感じは。
「長山、諦めたんじゃなかったのか。」
「悪いが小林。やっぱり深田は譲れないわ。深田面白い奴だな。」
「面白い?」
何がどうなってんの。
「深田ー。」
「な、何?」
「昨日の「性悪で結構」ってセリフ良かったぜ。」
な、なんで・・・それ知ってんのー?!
「っつう事でこれからもよろしくな。」
いや。よろしくじゃないし、昨日の聞いているなら余計に引くでしょ。
何なのよー。私の平凡を返せー。