合流、そして
朝から色々あったけど今日のメインは今からなんだよね。
私は自然とため息が出ていた。
「ねえ。優ちゃんやっぱり行かなきゃダメ?」
そう言って私が見るのは数メートル先にいる2人。
小林くんと長山くんは遠目で見ても目立っている。
あーあの2人とこれから半日過ごすとか疲れる。
「夢ちゃん。そんなにため息ついてたらダメだよ。ほら笑顔、笑顔。」
「優香、やめろ。夢叶も嫌なら無理するな。」
みっちゃんは私の口角を人差し指でクイッと上げてくる優ちゃんを制しながら私を心配そうにみてくる。
相変わらずみっちゃんは優しいな。
「ありがとうみっちゃん。正直気乗りはしないけどここまで来ちゃったし、2人も待っているしね。」
「そうか。無理すんなよ。」
みっちゃんが大きな手で軽く頭をポンと叩く。
本当、昔からみっちゃんには敵わないな。
私は一回深呼吸すると2人の元に歩きだした。
「小林くん、長山くんお待たせ。」
私がそう声をかけると2人がこちらをみた。
その途端小林くんは少し目を見開き、小林くんは右手で口元を抑えてそっぽを向いた。
ん?何このデジャヴ感。
「深田さん少しメイクしてる?」
「う、うん。変・・・かな?」
小林くん目敏いな。ほんのりとしかしてないのに。
「いや。凄く似合ってるよ。学校とは違う雰囲気だったから驚いた。長山もそうだろ?」
「あ、あぁ・・・可愛いと思う。」
「あ、ありがとう。」
何これ。小林くんはイメージ通り女慣れしてるし、長山くんはチャラそうな見た目と違って純情とゆうか。
やばい。私まで照れてどうすんの。
「何3人して赤くなってるの。」
「ゆ、優ちゃん」
あーもう噛みまくり。これは優ちゃんいてくれて助かったかも。
「田島さんおはよう。深田さんも改めておはよう。」
「おはよう。」
優ちゃんが声をかけたことで小林くんは調子を取り戻したみたい。
「後、1人来るんだよね?確か・・・みっちゃん?だったけ?」
小林くんがそう言うと後ろの方にいたみっちゃんが私の隣に来る。
「「は?」」
「どうかした?」
「いや。みっちゃんって・・・」
「彼だよ。金森満でみっちゃん。優ちゃんの彼氏で私とも小中一緒だったの。」
「うっす」
「「・・・」」
この調子だと優ちゃん、みっちゃんとしか言ってなかったな。
みっちゃん、2人より背高いし、野球やってるから体もがっちりしてるから驚くのも無理ないか。
「とりあえず行こうか。えっと金森くんでいいか?俺は小林祐也。小林でいいから。」
「俺は長山健人。俺も長山でいい。」
「あぁ俺も君付けは必要ない。」
簡単な自己紹介の後、私達は歩きだした。
着いたのは地元の水族館だ。
「優香、チケット買ってくるからここらにいて。」
「はーい。ありがとうみっちゃん。」
「夢叶の分も買おうか?」
「いいよ。私の分は自分で払うから。」
「ん。」
みっちゃんがチケットブースに歩き出すのに続こうとするのを小林くんが制した。
「今日は俺が深田さんを誘ったんだから俺に出させてくれない?」
「いや。いいよ。」
そんな事されると色々面倒臭いし。
「遠慮なんてしなくていいからさ。」
「深田は遠慮してるんじゃなくて俺が払うから断ってんの。」
そう言って割り込んできたのは長山くん。
そもそも君にも奢ってもらう気ないからね。何勝手に決めつけちゃってるかな。
あーもう言い合い始まったし・・・気づかれないうちにチケット買ってくるか。
「「深田どっちに奢ってもらいたい?」」
振り向いた時、私はチケットをお姉さんからチケットを購入していた。
「うわー綺麗」
入るとすぐに壁一面に広がる巨大水槽の中を魚達が優雅に泳ぐ。
思わず駆け寄りそっと水槽に触れた。
そんな私には目もくれず泳ぐその姿は自由気ままで羨ましい。
「凄いね。夢ちゃん」
「うん。あ、あれカツオじゃない?」
「本当だ。カツオのタタキ食べたくなるよねぇー。」
「えー。私は握りがいいな。」
「握りはやっぱりマグロだよ。ほら、あそこで泳いでる。」
私と優ちゃんは自然と2人で水槽を見て回ってた。
「深田さん・・・行っちゃった。」
「あいつら、俺らの事忘れてね?ってか何で泳いでる魚見て食い物の話になんだよ。」
「・・・俺の家が寿司屋であの2人よく来てたからな。」
「は?マジかよ。すげえな。じゃあ何お前も握れんの?」
「俺はまだやらせてもらえてない。」
長山くんとみっちゃんが話している時、私は少し離れた場所にある女子トイレ前で優ちゃんを待っていた。
少し混んでいたみたいだからな。時間かかるかも。
今の時間を確認しようと右手をあげると誰がその手を掴んだ。
「え?」
誰?
慌てて前を見ると口元に人差し指を当てた小林くんが私の手を握っていた。
「深田さん少し俺と付き合って。」