土曜日の朝
翌日の土曜日AM6:00
夜の家にLINで『オシャレしてくるように(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑』って優ちゃんから念をおされた私はため息を着くとクローゼットを開けた。
そこにはまだ袖を通していない服がかかっている。
「そもそも私が持ってたトレーナーとか捨てられてるからな。」
お姉ちゃんの「ダサイ」の一言で捨てられた私のジャージ達。
着古していたから柔らかくて気に入ってたんだけどな。
そう思いながら服を選ぶ。
見繕われた服は私の好みの原色系の可愛すぎないデザインのものばかりでそこら辺は流石よく分かっていらっしゃると関心する。
私だって可愛いなとか欲しいなって思った事はあるけど基本平日は学校で制服なのだから買う必要はないと思ってたんだよな。
それでもやっぱり一応女の子だし、目の前の服は私にって買って貰ったものなんだからと私は何だかんだ楽しみながら服を選んでいた。
AM8:00
この服にはあのスカート。
この格好するならこのアクセサリー。
ここまでやったら軽くメイクしておくかなんてやっていたら2時間がたっていた。
早めに起きて良かった。
「夢叶ー。朝ごはんですよー。」
お母さんのこの声に呼ばれるまで時間とか気にしてなかったや。
返事はしないでスリッパをパタパタ音たてながら階段を降りていく。
「お母さん、おはよー。」
「おはよう。夢・・・」
エプロン姿でこちらに振り向いたお母さんは何故か私を上から下まで視線を動かすと急に泣き出した。
「ちょっとお母さん?」
「夢叶ちゃん。やっと可愛い格好してくれたのね。」
「は?」
「だって夢叶ちゃんママが可愛い服買ってきても着てくれないでジャージばっかり・・・」
いや。だからって泣かなくても。
「夢叶ちゃん。この際だからママの事もお母さんじゃなくてママって呼ばない?」
「呼ばないからね。お母さん。」
「夢叶ちゃんのケチー。」
「そんな事言ってないでご飯にしようよ。」
「はーい。」
もうこれじゃあどっちが子どもか分からないじゃない。
「ねえねえ夢叶ちゃん。」
「何?」
「さっきから時計見ながらご飯食べてるけどもしかしてデート?」
ゲホッ
「ちょっと夢叶ちゃん大丈夫?ほらお水飲んで。」
渡された水を飲み干すて大きく深呼吸すると大分落ち着いた。
「お母さんが変な事いうからでしょ。」
「だって珍しく早起きまでしてるんだもの。あ、大丈夫よ。パパには内緒にしておくから。」
「もー違うからね。優ちゃんと会うだけだから。じゃあごちそうさま。もう行くからね。」
暖かい目で見つめるお母さんから逃げる様に私はカバンを持つと家を飛び出した。
時計を見れば時刻はもうすぐ9時になろうとしている。
お母さんから逃げる為に早く出過ぎちゃったな。
優ちゃんにLINを送りとりあえず駅の方へ向かう。
「夢叶?」
「ん?あ、みっちゃん。」
私に声をかけてきたのは優ちゃんの彼氏で幼馴染みでもあるみっちゃんだった。
「みっちゃん早いね。まだ待ち合わせまで時間あるのに。」
「俺は朝のマラソン。それに早いのは夢叶も一緒だろ。」
「まぁね。お母さんがはしゃいじゃってさ。」
「なるほどな。」
流石は幼馴染み。お母さんの事もよく知ってるから助かる。
「で、どうすんだ。まだ早いだろ。」
「うん。あ、優ちゃんから返事きた。・・優ちゃんがまだ支度出来てないから家に来てって。みっちゃんも行く?」
「いや。俺は親父の手伝いもあるから。」
「そっか。じゃあまた後でね。」
私はそう言って再び走り出したみっちゃんを見送って優ちゃんの家に向かった。
AM9:10
「アハハ。流石夢ちゃんのお母さん」
「他人事だからって笑いすぎだからね。」
「ごめん。ごめん。でもお母さんの気持ち分からないでもないな。」
「そう?」
「うん。だって夢ちゃんちょっと意地はってるとこあったし。」
「優ちゃん・・・」
「まっとにかく今日は楽しめばいいよ。って事で」
少ししんみりした雰囲気になったと思ったら優ちゃんが後ろを向いてゴソゴソと何かを取り出した。
昨日に続いて嫌な予感。
「今の夢ちゃんも充分可愛いんだけどさ。せっかくのデートなんだからオシャレしないとねぇー。」
さっきとは打って変わってニヤニヤした優ちゃんがヘアアイロンを構えて近づいてくる。
「いや。私、不器用だし・・・このままでも」
「ダメダメ。」
AM9:45
「夢叶、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。」
最寄り駅で事前に待ち合わせしていたみっちゃんは若干疲れた私を心配そうに見てくる。
「大丈夫。夢ちゃんとっても可愛いよ。」
「ハハ」
「優香、あんまりやり過ぎるなよ。」
みっちゃんがはしゃぐ優ちゃんを軽くたしなめた。
そのまま私達は小林くん、長山くんと待ち合わせしている駅に向かう為に電車に乗り込んだ。