ティータイム
泣きだした優ちゃん小林君や長山君は慌てていた。
私はため息をつくと優ちゃんの前に屈んだ。
「優ちゃん、みっちゃんは優ちゃんの事大切にしてるから怒ったんだよ?」
私の言葉に優ちゃんは小さく頷く。
「私だって優ちゃんと夏休み遊びたし、みっちゃんも同じ気持ちだからね。」
そこまで言うと私は小林君達2人を連れて一旦部屋を出た。
「ほっといていいのか?」
「大丈夫。少し1人にしておいた方が優ちゃん落ち着くから。」
私達が階段を降りると玄関でみっちゃんが待っていた。
「毎回悪いな。」
「ううん。大丈夫。」
私達の会話に首を傾げる2人に私は説明する。
「優ちゃん、昔からあぁなの。集中力が切れると甘えたさんになっちゃって。漠然と赤点取らないように勉強だと駄目かなって。」
「それが今回のと関係ある様には思えないけど」
「優ちゃん目標があると凄く出来るから。」
「夏休みに遊ぶのが目標って事か。」
「そういう事だ。夢叶達には申し訳ないが頼んだ。」
「大丈夫だよ。元々みっちゃんはテスト範囲とか何もかも違ってたからあまり意味はなかったし。」
「まぁな。何かあったら教えてくれ。」
みっちゃんを見送った後、半信半疑の2人と共に部屋に戻ると問題集と睨めっこする優ちゃんがいた。
その光景に唖然とする2人に苦笑しながら私も何事も無かったかのように席に着いて勉強を再開しようと問題集をめくった。
コンコン。
「夢ちゃんいいかしら?」
「お母さん?」
再び立ち上がって扉を開けるとニコニコ顔の母がお盆にティーセットとシフォンケーキを乗せて立っていた。
シフォンケーキは一部カットされていた。
みっちゃんの手にあった袋の中身はこれか。
「頭を使う時は甘い物を食べるといいのよ。」
とルンルン顔で部屋に入ると机を片付けてカップなどを並べていく。
「甘い物は食べれるかしら?」
「お砂糖はいかが?」
マイペースな母に聞かれるがままの小林君達に笑みが零れる。
「じゃあ、おばさんは出てくわね。夢ちゃん、食べ終わったお皿とかは廊下にだしておいてね。じゃあごゆっくり〜。」
パタンと扉が閉まった後パタパタと遠ざかって行く足音が聞こえた。
「ごめん。お母さん何か張り切っちゃってて。」
「夢ちゃんのお母さん賑やかなの好きだもんね。手作りシフォンケーキも美味しいし。」
「マジかこれ手作りかすげー。」
「お母さんお菓子作るの好きだから。机の上も片付けられちゃったし休憩にしよっか。」




