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勉強会

「あんまり綺麗じゃないけどどうぞ。」


散らかしているわけではないが何かと物が多いからごちゃごちゃとした部屋へみんなを通す。

優ちゃん達は勝手知ったるで決まった定位置へ座る。

小林君や長山君はそわそわと入口の前に立ったままだ。


「2人とも立ってないでここ使って。」


2人を誘導し、優ちゃんがおしゃべりを始める前に教科書や問題集を机に出す。


「とりあえず試験が早い教科からやろうか。」


そうやって半ば強制的に勉強会をスタートさせた。

途中、お母さんがお茶を持ってくる事はあったが今日はそこまで問題も起きずに静かに時間が過ぎていった。

時計を見ればもう少しで18時になろうといったところ。


「今日はこれ位にしようか。」

「あーづがれだァー」


優ちゃんはこれまでの集中力が切れたのかノートの広がる机にうつ伏せた。


「明日から土日だけどどうする?」

「私はいいけど・・・みんなは?」

「私とみっちゃんは大丈夫だよ。」

「俺も。」


優ちゃんと小林君がそう答え、自然とみんなの視線がまだ返事をしていない長山君へと向けられる。


「あー割りぃ。俺はバイト。」

「お前なぁ。テスト期間位休めよ。」

「仕方ねぇだろ。忘れてたんだから。」

「バイトってコンビニだったか?」

「いや。あそこは辞めた。今は母ちゃんの知り合いの珈琲屋でバイトしてる。」

「長山君が珈琲屋さんって何か意外だね。」

「意外と様になってるぜ。今度遊びに来いよ。深田も見たら惚れ直すぜ。」

「いや。そもそも惚れてないから」


何だかんだいい雰囲気で勉強会は終わりそれぞれみんな帰路に着いた。


「夢ちゃん。今日きた男の子のどっちが彼氏?」

「何で彼氏がいる前提なの。」


夕食を食べながら目の前のワクワクとした表情の母親にため息をつく。


「あらだってどっちも素敵じゃない。ママどっちが彼氏でも嬉しいわー。」

「残念だけどどっちも違うから。」

「そうなの?折角パパに報告出来ると思ったのに。」

「仮にいたとしてもお父さんには言わないでよ。」


父が知ったらそれはそれで面倒だ。


「ねぇ。明日も来るの?」

「来るけど邪魔しないでよ。」

「邪魔なんてしないわよー。うふふ楽しみだわぁー。」


妙にハイテンションの母親に再びため息をついた。

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