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不安要素

放課後スマホを見ると今母イチオシのキャラクターがOKサインしているスタンプが送られてきていた。


「お母さんいいって?」

「うん。スタンプ来てたから大丈夫。」


「夢ちゃんのママすっごい美人さんだよ。」

「マジか。うおわ楽しみだな。」


少し離れたところで会話する優ちゃんと長山君に私と小林君はため息をついた。

全く誰の為の勉強会なんだか。


普段、地元の2人とは別れる曲り道を4人で駅まで向かうのは少し新鮮な気分で私達の最寄り駅に着くとドキドキした。


「みっちゃーん」


駅に着くと優ちゃんが走り出した。

みっちゃんにまで連絡していたか。


「優花。俺もいいのか?勉強会なんだろ?」

「いいの。いいの。みっちゃんの所もテストなんでしょ?いいよねゆめちゃん?」

「みっちゃんがいいならいいけど・・・」


みっちゃんは真面目だから大丈夫なんだけど一抹の不安がのこる。


「ほら夢ちゃんもいいって言ってるし、行こうみっちゃん。長山君達もほら早く案内してあげる。」

「何か田島さんの家に行くみたいだね。」


先頭を歩く優ちゃん達から少し離れて歩く私の横に小林君が並ぶ。


「優ちゃんもみっちゃんも家には何度も来てるからね。」

「うん。でもあのテンションはちょっと気になるね。ちゃんと勉強会になるばいいんだけど。」


それは私も小林君に同意だった。

長山君はどうか分からないけど優ちゃんは勉強が嫌いだから集中が長く続かない。

受験の時も日野咲は無理だって担任に言われてたのをスイッチが入ったような集中力で受かったが、あれ以来あの集中力を見ていない。

スイッチが入れば優ちゃん勉強出来るのに。


「到着。ここが夢ちゃんの家だよ。」


気がつけば家に着いていた。

既に玄関前にいる優ちゃんの隣に行きカバンから鍵を出した。


「ただいまー。」


玄関の開く音で聞こえていたのだろう。キッチンからパタパタとスリッパの音がする。


「おかえりなさい。夢ちゃん。お友達もいっらっしゃい。」


エプロンをつけてニコニコ顔の母を見て小林君と長山君は固まっていた。

初めてだから緊張してるのかな?


「お久しぶりです。」

「あらもしかして満君?まぁ大きくなったわね。おばさんびっくりしちゃった。」


お母さんはそう言うと自分の腰辺りのところで手を伸ばし「最後に会ったのはこの位の時だったかしら?」と首を傾げる。

中学の卒業式でも会ってるからもう少し身長あったし、その時も同じような事を言ってた。


「中学の卒業式で会ってます。」


あんまり笑わないみっちゃんが苦笑いしながら訂正する。


「あら。そうだったわね。」

「もうお母さん。いい加減上がらせて。勉強しに皆集まったんだよ?」

「そうだったわね。ごめんなさいね。」


ようやく私達はくつを脱いで部屋へと向かう事が出来た。

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