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聞いてませんけど?

「うぅー寒い。」


テストが終わったと思ったら今度は体育祭。

運動は苦手だから本当憂鬱になる。


「深田さん。」

「小林くん?」


体育祭の練習を終えて手をこすりながら歩いていた私に声をかけてきたのは同じく練習を終えたばかりの小林くんだった。


「どうしたの?」

「いや。前に深田さんがいたから・・・教室までいい?」


私は頷くと一緒に歩きだした。

最近は優ちゃん、小林くん、長山くんといることが増えたからだんだん慣れてきた。

慣れちゃいけない気がするんだけど。

あれ以降、他の女子からの嫌味も聞かないし。不気味なもんだ。


「疲れた?」

「運転は苦手だからね。でも私より小林くんの方が大変でしょ?出る種目多いんだから。」

「運動部だからね。それに好きな子の前でかっこ悪いとこ見せるわけにはいかないからね。」

「へ?」


さらっとそう言うこという?!

あーもうニコニコこっちを見るなー。


「わ、私先に行くから。」


恥ずかしくなって私は小林くんから逃げるように教室まで走り出した。

いっぱい走ったばっかりだったから疲れた。


「夢ちゃんどうしたの?」

「ううん。何にもないよ。」


その後の授業でバクバクなっていた心臓も徐々に落ち着きを取り戻していった。


「深田ー。田島ー。メシ食おうぜ。」


長山くんがこうやって元気に私と優ちゃんを誘って4人でご飯を食べる事が当たり前になってきた。


「なーなー。いつも思ってたけど深田と田島の弁当って手作り?」

「手作りは手作りだけど私のはお母さんが作ってる。」

「って事は田島のは自分で作ってんの?」

「へへ。まあね。みっちゃんのお母さんに時々教えてもらってるんだ。」


みっちゃんの実家のお寿司屋さんはおじさんがお寿司を握って、おばさんがお吸い物だとかを出している。

お客さんの中にはお寿司よりもおばさんの料理目当てに来る人もいるくらいおばさんの料理は美味しい。


「何かそれ花嫁修業みたいだな。」

「そうなれば嬉しいけどね。」


優ちゃんのその顔は本当に幸せそうで見ている私も暖かい気待ちになる。


「深田さんは料理とかしないの?」

「しない訳じゃないけど優ちゃんみたいに色々作れないかな。手際も悪いし。」

「高校生なんて普通そんなもんだろ。俺は深田が料理下手だって気にしてないからな。」


いや。私、下手とは言ってないし。

例え下手だったとしても長山くん関係ないのに・・・その言い方って付き合ってるとかみたいじゃない。


「じゃあさ。今度の体育祭で俺らのクラスが優勝したら深田さん何か作ってきてよ。お菓子でもいいからさ。」

「は?」

「いいじゃんそれ。よっしゃー俄然やる気出てきた。ナイス小林。」


ちょっと待って私承諾してないのに。


「じゃあ俺も本気出して頑張ろうかな。」


もうこの流れじゃあ私が何か作るって決定じゃない。

私の意見無視するなー。

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