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覇戒の龍神  作者: KB
ハジマリ
5/13

 間話 伝説

一ヶ月ぶりですいませんm(._.)m


※2017/6/11改稿

※二人称

 千年の時を生きると言われているハイエルフの吟遊詩人は唄う。


「旗がたなびく音がする きっと彼らがやってくる


 黒地の旗が見えたんだ それは奴らの証だぞ


 地を踏みしめる音がする ついに彼らが見えるのか


 白銀の龍が見えたんだ あぁ、それならば奴らだろう


 黒の下地に白銀の龍 それ即ちは悪魔の紋様


 緑の蛇が龍に絡まり この世に見せるは地獄の光景


 彼らの通る道の後 何一つとして残りはしない


 奴らに決して逆らうな 愚か者には地獄を見せる


 彼らに全てを捧げなさい さすれば安寧約束されよう


 奴らに決して悪意を向けるな 暗君、愚王はそうして滅んだ


 この世の全ては彼の王のモノ 誰一人として逆らえはせぬ


 蛇の軍勢率いるは 彼らが誇る主のみ也


 彼の王の名を知らぬ者なし 彼の王の名は『―――』と言う」



 著名な歴史家はその国に思いを馳せながらこう答えた。


「確かに、あの国の非道さ、残虐さを知らぬ者などいないでしょう。

 でも逆に、あの国があったからこそ今の私たちが今ここにいるのではないですか?


 この国は小さい、歴史を紐解いても浅く、弱く、そして脆い。

 私は三代前の王は賢王だと思います。彼がいなければ、このような小国など瞬く間に大国に蹂躙され、陵辱の限りを尽くされていたのではないですか?


 私達に彼の王をとやかく言うことは出来ない。


 忠誠を誓う限り繁栄をもたらす。


 全てを捧げる限り安寧をもたらす。


 その約定を違えることはしていないのですから」



 ある国の王は言った。


「私は決して、彼らには逆らわぬよ、後世にまで言い伝えよう『北に見えるは残虐の王、彼の王には贄を捧げよ。南に見えるは悪虐の王、度がすぎるのなら兵を向けよ。東に見えるは暴虐の王、人の波はいつしか溢れよう。しかし決して西には向くな』とね。


 有名な冒険者は幾度となく西へ向かい帰ってくることはなかった。


 亜人達は西へ向かい楽園を築いたと聞く。


 あの地は、我ら人が邪推してはならぬのだよ。

 あの地から人が来たなら頭を低くして命を乞うべきなのだからな、はっはっはっ」



 英雄の子孫は言う。


「西へ向かいたい? はっ、止めときな、俺はまだ死にたくねぇよ。


 知ってっか? 俺の兄貴。そうそう『春雷』のベヘトス。過去の英雄、我らが始祖様の『竜殺し』の―――様の生まれ変わりと言われた男だな。


 え? 死んだよ。そうそう、西へ行ったっきり。


 なんでって? そりゃあ手紙と一緒に首が送られてくりゃ誰でもわかるだろうよ。


 ってことで、俺は行かねぇ。どんだけ金を積まれようと行かねぇ」



 とある教会の教皇は語る。


「なに? 西にはなにがあるかじゃと?

 ならんぞ、行ってはならん、思ってはならん、考えてはならん。

 あの地には神々が住んでおられるのじゃ、決して人が犯していいものなどではないわい。


 4年前、聖戦だと宣ってアホが数人徒党を組んで西に向かったわい。

 結果は全滅、放った密偵の最後の報告は『天より落ちし光の柱、数万の兵を呑み込み地を改める』じゃった。

 調査隊を派遣してわかったのは、その地に大きな穴が無数にあり、底が見えないということだけ。


 それ以来、西へは触れぬことがこの教会のルールとなったな」



 最後に、この地に降り立った同胞達は己の子に言い含める。


「いいか、いつかこの地にも白銀の龍が来るだろう。俺はついぞその姿を見ることは叶わなかった。


 だがな、決してその龍に楯突くんじゃないぞ、これは家訓にする『白銀の龍現るる時、世界は巡り巡る。その時従うは己の心にあらず、守るべき者がいるのなら、従うはその龍なり』だ。


 絶対に逆らうな、神の名を冠する龍にだけは逆らっちゃいけない。

 あの龍には絶対に誰も勝つことなんて出来ないんだから」



 『龍遊記』


 白銀の龍が空に見えた。

 その口腔から放たれたブレスで小国が一つ滅んだ。


 白銀の龍が地をかけている。

 その余波で一つの都市が消えた。


 白銀の龍が咆哮を上げた。

 その声で一つの街が壊滅した。


 白銀の龍が空に飛び立った。

 その羽ばたきで町が一つ吹き飛んだ。


 白銀の龍が地に降り立った。

 その勢いで村が無くなった。


 私は夢を見ているのだろう。


 私は悪夢を見ているのだろう。


 でなければ、こんな不条理があってたまるものか。


 私は、死を覚悟して龍に問うた。


『貴方は何故、破壊の限りを尽くすのですか?』


 そしたら龍はこう答えた。


『龍として生きなければ、飛び方を忘れてしまうだろう』


 と。


 それ即ち、龍にとって人など歯牙にもかける存在などではなかったのだ。


 私は、この本を読んでいる君達がどうか『白銀の龍』の加護の下で生きている事を願う。


 著者 ナラクシャ・T・ヴァーン

短くてすいません。

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