ギルド大戦
お久しぶりですm(._.)m
不定期なのは許してくださいm(._.)m
※2017/6/11改稿
※三人称
『暁の大戦』
「ウロボロス」に住まう者達が一様に揃い、武器を取り戦った大戦の名。
ギルド連合vsギルド『邪蛇』&『柳』
「ウロボロス」史上最も激しい戦いであり、なにより新たなる夜明けを迎えることになった大戦の名である。
この時より「インフィニティ・オンライン」から全プレイヤーデータが消失し、「ウロボロス」の名で愛された星に住んでいた民達は姿を消す事になる。
♢♢♢♢♢
side 『邪蛇』&『柳』
「オロチお兄様、どの様にされるおつもりですか?」
金髪碧眼の美しい少女が兄と慕う男――オロチに尋ねる。
「どのように、ね。別段どうもしないさ」
「?」
その少女は可愛らしく首を傾げる。
「どうもしなくても、勝つのは俺達だ。そうだろう? シャーロット」
「はい! 確かに勝つのはお兄様です。ですが……」
にこやかな笑顔になったかと思うと暗く澱んだ顔をする少女。
「何か心配事でもあるのか?」
男が問う。
「はい…お兄様が1人で片付けてしまわれないかと」
「ははっ、なんだ、そんな事か。さすがに俺でも数万人を1人で倒せるだなんて思っちゃいないさ」
顔に微笑を浮かべながら男が答える。
「では?」
「あぁ、最初から全員でやるつもりだ」
「!! では、わ、私の技を――――」
「シャーールーーー!!」
遠くから少女を呼ぶ声が聞こえる。
「ほら、お前を呼んでるぞ」
「えっ? あっ、はい…」
歯切れの悪い顔をしながら俯く少女。
「心配するな、ちゃんと見ているさ」
少女が俯きながらその場を離れようと後ろを向いた時、そんな声が聞こえた。
「!! はっ、はい!!!」
振り向き、見る者を魅了するような笑顔を男に向けたその少女は、自分の名を呼ぶ人物の下へと走っていく。
「あぁ、見ているとも。お前達は、唯一私に残された大切な家族なのだから」
男は空を眺めながら呟いた、その言葉は誰にも聞こえず虚空に消えていく。
少しばかり空を眺め、男は立ち上がる。
「さて、では始めようか、愚かな挑戦者諸君。どうか初手で消えてくれるなよ」
男がそう言い手を上げると――
銀、黒、青、黄、赤、桃、金。
7箇所で7色の光の柱が空へと昇った。
♢♢♢♢♢
side ギルド連合末端プレイヤー
「あぁ〜〜、だりぃ〜」
「なんだよいきなり」
「だってよぉ〜、なんだってこんなとこまで弱い者いじめしに来なきゃなんねぇんだよ」
「は?」
「だってそうだろ? 『聖騎士連合』に『森の民』、『ケモミミ王国』までいるんだぜ? どこに負ける要素があるんだよ」
「お前、まさか『邪蛇』と『柳』を知らねぇ、だなんて言わないよな?」
「あぁ? どこだよそこ、どうせ一瞬で終わんだろ?」
「まじかよ……。お前、真っ先に死ぬぞ」
「なんでだよ?」
「次元が違うからだよ。あいつらからしたら俺らなんて塵芥と同じだ」
「?」
「肉壁、だよ。大手ギルドが傘下のギルドも招集してまでこの戦いに挑むのは。あいつらは俺達を盾としてしか見ちゃいないぞ」
「は? 何言って――――」
男が仲間に問い返そうとした時、空に7色の光の柱が昇った。
「始まったぞ、『龍王達の宴』。強制参加の死の宴だ。ま、精々7色の龍には気を付けろ」
そう言い、仲間は守りの固い中心部へと走っていく。
「あっ、おい――」
ボッ!! バシュウウゥゥゥゥ!!!
仲間の後を追おうとした男は、色鮮やかな龍が放ったブレスでただの一度も矛を交えることなく退場することになった。
♢♢♢♢♢
side ギルド連合本部
「さて、どうするつもりかにゃ?」
猫耳に尻尾を生やしたスレンダーな体型の女性がその場に集まった者達に問う。
「はっ! どうするもこうするも、真正面から喧嘩を売ったんだ、真正面から行くっきゃねぇだろ」
銀の全身鎧をした背丈の低い髭を生やした男が笑いながらそう言う。
「少し黙って頂けますか? あなたの頭の中には『戦い』しか存在していないのですか?」
金髪に尖った耳をした美しい女性が隣に座るその男に毒を吐く。
「まぁまぁ、少しばかり落ち着こうか」
そんな各員を一言で黙らせる一人の男がいた。
その男は円卓の中心でさわやかな笑顔を浮かべながら座っている。
赤の全身鎧に身を包みその背には背丈よりも大きい龍の文様が入った大剣を背負う男。
ギルド『聖騎士連合』のギルドマスター、『竜殺し』のフーバ。
この会合を開いた人物でこの度の大戦へと至るきっかけを作った男。
「落ち着くったってよぉ。フーバさん、まじでどうするつもりなんです?」
会合の場において、一段装備の質が落ちる男がそう尋ねる。
「そうだね、僕達の勝利条件は相手側の全滅か降参。まず間違いなく降参はしないだろうから全滅するまでの殴り合いになるだろうね、だから、策を弄してもね…」
「嫌ですねぇ〜、一応言っときますけど私達は私達のギルマスとは戦いたくないですよ?」
頭から生えたウサミミをピョコピョコ揺らしながら眠たげな目を開き、話す女性。
「あぁ、勿論だとも。僕達もそこまで強制するつもりはないさ」
「ならいいですぅ」
ピョコピョコ、ピョコピョコ。
可愛らしい耳が左右に揺れる。
「さて、それでは改めて自分達が戦うことになる『龍』の名を確認しておこうか」
フーバが皆を見回しながらそう言う。
「私達『ケモミミ王国』は原色"青"・『幻想龍』ノルトレークにゃ」
「ワシら『ウワバミ』は原色"黒"・『闇黒龍』キサラギ」
「『森の民』は原色"黄"・『光龍』ミグモですね」
「むぅ〜、仕方ない……『幸せ兎』は原色"赤"の『灼熱龍』ミサキさんです」
「じゃあ、『花園』は原色"桃"・『幸運龍』ミィミィ様でいいかしら?」
「『天国と地獄』は原色"銀"・『皇龍』ヤマト………」
「うわっちゃ〜、なら俺ら『無課金最強!』は原色"金"・『黄金龍』シャーロットさんかよ…」
各々が名を上げる。
「『竜王国』は今回不参加だから、最後は僕らかな。僕達『聖騎士連合』は始まりの龍・『龍神』オロチ」
全員が名を告げ終わる。
「さて、確認も出来たしもう僕から言うことは何もないね。さて皆、死なないように頑張ろうか」
フーバがそう言うと空に7色の光の柱が昇った。
「『龍王達の宴』………」
誰からともなく声が聞こえる。
「ふっ、あははっ。初手から『龍化』だなんて……。ふぅ、気を緩めすぎていたみたいだね」
フーバが笑いながらそう言うと、円卓に座っていた者達の顔に緊張が走る。
「どうやら、お相手さんは本気のようだ。僕達も全力で行かないとね。負けるのだけは許されない」
フーバはそう言って立ち上がり、他の者達に背を向ける。
「僕はもう行くよ、君達の勝利報告を楽しみにしているよ」
そう言って、フーバはギルドメンバーが待つ所へと帰っていった。
「にゃにゃ〜、さぁて私達も頑張るかにゃ」
その言葉を皮切りに円卓に座していた者達は各々のギルドメンバーが待つ場所へと帰っていく…
最強のギルドを討つために……
何よりも、未だ変わらぬ地位を揺るがすために………
♢♢♢♢♢
こうして、「インフィニティ・オンライン」史上最も激しいギルド大戦が始まる。
「ウロボロス」と言う通り名を星の名にした民達は、思い思いの武器を取り世界を揺るがす大戦を始める。
玉座に座るその男は自らを討ちに来る者達を見て何を思うのか。
そして、この大戦で「インフィニティ・オンライン」に「ウロボロス」の民達の身に何が起こるのか、それはまだ誰にも分からない。