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魔王の娘と速デレメイド




第2章


あれから僅か2時間後俺は魔王城に来ていた。俺とアイン、メイドさんと思われる人だけがいる部屋で呆然としていた。お茶まで出されていた。超展開だなぁ…どーなってんだよ!こーゆー異世界に来たらまず始まりの街的なところから行かなきゃ行けないんじゃないの?魔王城もう着いちゃったじゃん。なに?始めからクライマックスなの?ニューゲーム始めて2時間で最終決戦の場所着くってなに?それなんてクソゲ?

そんなとめどない疑問を察してくれたのかアインはやっと本題に入ってくれた。

「この世界ディアベルは言ってしまえば分かりやすい程の魔物、魔族退廃思想の持ち主が権力者の九割を占めている魔族否定主義的な世界なんだ。」

ほぅ…なかなか統率の取れたいい世界じゃないか。それで人間を襲いにくいから戦力補強の為に俺を呼んだってとこか。

「あ、因みに勘違いされたくないんだがこの世界の魔物や魔族は決して人間に危害を加えてないんだ。襲ったりしないし、襲われても逃げる。街に溶け込める限りなく人型に近い魔族は国に納税もしてるし、仕事をして金を貯めて生活してる。」

…ん?いやなんで否定されてんの?

「いや待て待て…意味がわからないんだが……?危害加えてないのに迫害されてんの?なんで?」

アインはその質問に顔を曇らせ、こう答えた。

「怖いそうだ…襲わまいが、危害を加えなかろうが、彼らには力を持った私達が怖くて怖くて滅ぼしてしまいたいらしい。」

なるほど、人というのはやはり得てして力を持つものに怯えて生きるものだ。それは俺もよく知っている。ついさっきまで世界の全てに怯えて生きていた俺は誰よりその感覚を知っている。考えてみりゃそりゃそうだ。お嬢ちゃんも森のくまさんから一目散に逃げたし、赤鬼だって誰より優しい心を持っていても最後まで迫害された。そういうものなのだ。

因みに、とアインは続けた。

「私達に戦う意思はないからこの魔王城に戦わず何の苦もなく来たレベル1の勇者一行が結構来る」

「結構!?」

びっくりし過ぎて大きな声を出してしまった。もうちょっと大人しくしなきゃ ほら、塵も積もれば大和撫子とか言うしね うん 静かに聞きます。

アインはまた情報を付け足していく。

「しかも週2ペース。」「週2!?」「残念ながら、週2だ。」「マジか。」「マジだ。」

勇者一行正気の沙汰じゃない。

「しかもあいつら何っ回バ○ルーラで飛ばしても舞い戻ってきて同じ言葉吐くんだよ…。「お前らが行った所業を俺らが償わせてやる!!さぁ!行くぜ!!!!」って何回も何回も何っ回も!!!私達なんもしてねぇから!!!!なんだあいつら!!!なんで全っ然場数踏んでないのにあんな自信満々なの??馬鹿なの死ぬの????」

結論から言うとかなりアインは苛立っており、人間こうやって壊れていくんだなぁ、と眺めていたがさすがに可愛そうだしちょっと同じ人間として謝りたい感がある。声を出し過ぎて喉ガラガラ出し…申し訳ないとは思っている。

「落ち着け…ところで、本題はそれじゃないんだろ?俺はなんでこの世界に呼ばれて、何をすればいいか。それをまず大まかにでもいいから説明してくれないか?あと茶でも飲め。」

アインはこほん。とわざとらしく咳払いをして切り返す。

「そっそうだな!そうさせてもらおう。新太はお茶いるかい?」

俺は肯定して、しばらくアインがお茶を入れてくれるのを待った。

あれ?メイドさんにさせればいいのになんで自分でやってるんだあいつ?

しばらくしてアインが席に戻ってから話を再開させた。

「んで?どーなんだ?俺は何すりゃいい?」

アインは笑顔で言い返した

「同居人を探して欲しい。」

…んん?なんでそーなった?こいつどんな思考回路持ってるんだ?頭おかしいんじゃないか?

「あっ頭は悪くないぞ!私にも考えがあるんだ!私達魔族や魔物達は人間から恐怖の対象であって決して有益な存在とは思われていない。今はな。」

妙な言い回しをするアインに疑問を覚える。というかまた考え読まれた…怖っ。

「「今は」ってどういうことだよ?昔は人間と共存出来てたとかそーゆーことか?」

アインはあぁ違うんだ。とどこか機嫌の良さが滲み出た顔で話す。

「私達には人間と同等、それ以上に知能も高い者もいる。人間以上に筋力の発達した者がいる。だがそれ以上に人間は私達がたどり着き得ない経験と知識がある。それらが共存できるのは素晴らしいことだと思わないか?そういう世界を私達がこの時代に作るんだ。その第一歩として私達の有益性を知ってもらうために魔王城に住んでもらう被験者が欲しいんだ。被験者。と言っても実験をするわけじゃないし決して害は与えない。むしろ安全と言っても過言じゃない。丁度いい事にこの城には6つの空き部屋がある。そこに3000ベルという格安家賃で住んでもらう。」

ベル。というのはこの国で用いられる通貨で3000ベルは大体5000円位に換算できるらしい。5000円?安くね?俺なら住んじゃう!とかいうステマはともかく、

この考えには一理ある…ただそこにこじつけるまでの大変さをこいつは分かってないんじゃない。魔族達と人間を分ける恐怖の意識というのは多分簡単に取り払えるものでない。街に降りられたとしても交渉の余地はなく街の人達から後ろ指さされ石を投げられるだけだろう。でもだからこそ俺はこいつの覚悟が聞きたい。

「お前はお前ら魔族達と人間を分ける大きな意識の壁を後ろ指さされようと、石を投げられ迫害されようと共存したいって思うのか?それなら手伝ってやる。しっかりと答えてくれ。」

これは俺なりの誠意の示し方だ。だから、誠意を持ったアインの言葉を聞きたい。

「あぁ、勿論だ!私は誰がなんと言おうと人間と私たち魔族が手を取り合って共存出来る世界を作りたい!」

「んじゃ 街に降りる作戦でも考えますか!」と、俺が作戦を立てようとした矢先「何を言ってるんだ?街に降りるのは君だけだぞ?だって私達は魔族だぞ?まず交渉すら上手くいくまい。何、一人では心細いだろうからこの方と行くといい。完全に人間に化けることが出来る魔族はこの方位しか存在しないからな。」

いやまじかよこいつ俺だけとか正気かよ……

というか…今メイドさんと思われる人のこと尊称で呼んだよね…この方って呼んだよね。魔王の娘が

尊称で呼ぶメイドさんってどういう事だよ…?なに?ディアベルで一番のメイドさんとか??はははっ…怖いんだけど。

「えっと…じゃあ街に行く際は是非よろしくお願いします…」

戸惑いながらあわあわしている俺にメイドさんはスカートの裾を軽くつまみ上げ恭しく自己紹介をしてくれた。

「お初にお目にかかります。私はリーゼロッテ・シュヴァリエと申します。以後お見知りおきを♡」

何この人…超可愛いじゃん!!この人がメインヒロインでいいじゃん!…あれ??なんかおかしい。

「アイン?お前名前なんだっけ?フルネームで頼む。」

「リーゼロッテ・アインだ!出会って何時間も経っていないレディの名前を忘れるとは失礼なことだな!」とこめかみに手を当てながら皮肉を言ってきた…違う。

「違う!確認したかったんだよ!シュヴァリエさんはお前の親戚かなにかなのか??同じ姓だけど…」

「あぁ、そういうことか、そうだなぁ…彼女は私の母で、先代魔王だ。」

オッケーわかった。意味わからんってことが分かった。ツッコミどころ多すぎるだろ

「いくつかツッこませてくれ。いいか?」

シュヴァリエさんは顔を赤らめ、答える。

「新太様…何を突っ込まれるおつもりですか?私は構いませんが…♡」

あっダメな系の臭いがするこの人。

「違う…そういう話じゃなくて、色々疑問点に対して聞かせて欲しいんだよ。」

「ええ♡そういう事でしたら何なりとお聞きください。」

案外話せばわかるやつなのかもな。

「メイド服着てるのはなんでだ?」「趣味ですわ♡」

「…先代魔王だったって本当か?」「恥ずかしながら本当ですわ♡」

「何故魔王の座から降りたんだ?」「…ねぇ新太様?レディに対して自分だけ質問すると言うのは、些か礼に欠けませんこと?」と言い、シュヴァリエは笑顔で続ける「私からも質問させていただきますね。まず…私のような女性を新太様はどうお思いでしょうか?恋愛的な面でですよ♡」「あっえぇっと…その」正直どストライクだ。先代魔王という肩書きさえなければ是非ともこのまま流れに流されたい…が、しかしこの流れは良くない。質問の攻守が入れ替えられてしまった。しかもおまけに相手は先代魔王。超怖い。おまけだからね!怖いから流されたくないわけじゃないんだからね!!!

「えーまぁ、話を戻すとしよ」「いいえ♡まだ戻させませんわ。だってまだ質問のお答えを聞いておりませんもの。」

「質問に答えたら…答えてくれるのか?」「えぇ♡」

嘘はついてない。と思う。言うしかないか…

「めちゃくちゃ好みだ。従順系ドSキャラとか萌えない方がおかしいだろ。」

やべぇやらかした死んだ…

何言ってんの俺、一文目だけで良かっただろ俺、馬鹿なの?俺

死ぬの?俺

シュヴァリエの反応はと言えば…

「ふぇ…?/// 好みって可愛いって事??可愛いって言われた…幸せ!いつ死んでもいい♡」

いや、デレ速過ぎない?ギャルゲで最初からやたら高感度が高いぬるキャラなのこの子…

「えーっと?なんでシュヴァリエさんは魔王じゃなくなったのか教えてくれる?」

デフォで照れている顔をこちらに向けて話す「笑わないで下さいね…?…女の子っぽくないからです。」

……それだけ?

「えっと?」

シュヴァリエは一層顔を赤らめる

「…ソレダケデス」そういうと、シュルシュル音を立てるかのようにちっちゃくなっていた。表現とかじゃなくて、ホントに魔法を使って

ちっちゃくなっていた。

というか、シュヴァリエさんってやたら若々しいけどいくつなんだ?

アインに近寄り、小声で話しかける。

「おい…シュヴァリエさんってお前の母さんだろ?俺らの暦の上ではいくつになるんだよ?お前16だったろ?」

アインは絶対言うんじゃないわよ!?って本気の念をかけてきた。うん怖いから絶対言わないことにする!約束!

「シュヴァリエ母さんは…29歳よ。」

What????????? ワタシヨクワカラナイデース

いや待て 俺の勘違いかもしれない

「お前…いくつだっけ?6歳だっけ?」「失礼ね!!こんなナイスバディな6歳は存在しないわよ!!!」その言葉に顔を見る。可愛い。脚を見る。素晴らしい脚線美だ。胸を見…てない。見る胸なんてなかった。だってそこにはあるべきものがなかったんだもの。

「そうだな!いいナイスバディだ!!」俺なりの最高の笑顔を見せる。と共に顔面を殴られた。痛い。「全ッ部漏れてるわよ!!!さっきからちょくちょく思ってたけどそーゆー相手を貶めようとしたりする思考を口に出すんじゃないわよ!!!みつ○とか頭おかしいとか胸がないとか!!!失礼極まりないわ!!!」それにしてもこいつ怒ったら気品の欠片もねぇよな。

普段大人っぽい言葉遣いしてんのに怒ったら超乱雑な言葉遣いだしなぁ。残念美人だ…

「だ…」ん?なんかまた怒ってないか?

「誰が残念美人だぁぁ!!!」

「ぐふぅ!!!」

喉元に手刀一閃。遠のく意識の中で視界の先に激昂したアインと未だえへへうふふしているシュヴァリエさんが見える。

父さん。母さん。…僕、この先この世界でやっていけるのかだんだん、不安になってきました…

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