第53話
教会まで辿り着くと、カノン班が外に集合していた。恐らくツバサを探しに行こうとしていたのだろう。
「お! ツバサどこ行ってたんだよ……っておい! お前その格好……!」
ところどころ焦げて穴が開いたスエット、服諸共湿った体、顔や腕などに見える赤茶色の外傷。それらを見て、ラックが驚いてツバサに駆け寄る。
「おれのことはいいです。それより、リリアが!」
ツバサは今までの一部始終を説明した。リリアが人魚だということも全て包み隠さず。本当はその点については話すのを躊躇ったが、これは重要なファクターであるため、彼女に申し訳ないと思いながら話すことにしたのだ。
ラックとダイスは二人して相当驚いていたが、カノンはいつも通り、ただ事実として話を受け入れている様子だった。
「なるほどー」
カノンが腕を組みながら、うんうんと頷く。
「話は解ったよー。でも何でその人たちはリリアンを連れて行ったんだろうねー?」
「それは彼女が人魚の姿してたからじゃないですか?」
カノンは、そういうことじゃないんだよねー、と頭に付けて語を継ぐ。
「何で人魚を必要としてるかってことだよ」
「!!」
確かにそうだ。なぜ人魚を探している?
そこでもう一つ似たような話を思い出した。
なぜボルドー教官は人魚を欲している?
どこからか湧いてきた冷汗が頬を伝う。
《リリア殿を探しに行くのは勿論だが、その前にツバサ殿はまず手当をすべきであるぞ》
「確かにそうだな」
ダイスの台詞に頷き、ラックはツバサを見つめた。そしてツバサの背中と膝に手を回し、ひょいっと持ち上げる。
「ちょっ……、先輩!?」
まさかのお姫様抱っこである。
「怪我人は丁寧に扱わないとな」
ラックは当然の如くそう言い放ち、ツバサを部屋へ連れて行った。




