第41話
「ダウトー!」
カノンの楽しそうな声とは反対に、不機嫌そうに奥歯を噛み締めながらカードを表に返すリリア。カードに書かれた数字を見て、カノンはエンジェルスマイルを披露する。
視点を彼女たち二人に交互に移動させ、苦笑を浮かべるのはツバサ。
リリアは分かりやすすぎる。本当のことを言っている時は自信満々にカードを出し、嘘をついている時はバレないようにすまし顔でしれっと出す。これではカノンでなくても見破るのは簡単だ。さすがに可哀相ですぐにはダウト宣言できないツバサだったが、さすがカノンだ。遠慮も容赦もない。
「もう! 何で!? 今回は絶対バレないと思ったのに!」
リリアは本当に悔しそうに手札を地面に叩きつける。瞳は少し湿り、半泣きである。
「お前さ、よく今まで生きてこられたな」
感心しながら、ラックは正面に座るリリアにまるで初めての生物を見るかのような目つきを向ける。そんな彼の脳天にチョップを与えたのはカノン。
「ッテ! ったく、何すんだよ!」
頭のてっぺんを擦りながら、ラックが抗議する。だが、カノンは至って真面目に人差し指を立てる。
「ラックンは人のこと言えないでしょー? リリアンがいなければ、ラックンはドベのドベのそのまたドベのドベくらいなんだからさー」
「……カノン隊長様? 俺のことバカにしてんのは解るけど、何言ってっか解んねぇよ」
「ホントにラックンはおつむが弱いんだねー。嘘がバレバレだってことだよー。リリアンが先に嘘つくか、ラックンが先に嘘つくか。二人の勝敗はたったそれだけの差だってことだよー」
ラックは不貞腐れてぶつぶつと文句を言い、リリアは何の前振りもなくカノンに〝リリアン〟と呼ばれたことに目を瞬かせている。
ツバサは苦笑いをしながら、目の前に散乱したトランプを回収する。切ってもう一度配ろうと思ったところで、あることに気付いた。カノンとラックの間に映る地面に放置されたロープ。ダイスに繋がっているそれの動きが止まっているのだ。
「隊長、ダイスさん底に着いたみたいですけど」
カノンは立ち上がり、お尻を軽く叩いてからロープに近づいた。そしてそれを握る。
「はい! みんなも持ってー! じゃんじゃん引っ張るよー」
ラックとツバサはカノンに続き、湖に潜ったロープを手繰って回収する。
数分後、無事引き上げられた球体は、重りを外され、ビニールを外され、漸く解放された。それはそのまま宙に浮かび上がり、スーッと街の方へ戻ろうと移動する。
だが、それを素早い反射でバシッと右手で捕えたのはラック。
「で、どうだったんだよ」




