第14話
「『さあな』!? 何かも分からないようなものを取って来いと言うんですか!?」
「行けば分かる。自分の目で確かめて来い」
「…………」
誰も納得の表情を見せていない。反抗的な目でボルドー教官に視線を送っている。
カノン班が落ちこぼれ班だから、こんな無理難題を突き付けられるのか? ディノの言う通り、退学処分にさせるための大義名分としてこの任務が宛がわれたのか?
ツバサは歯を食い縛り、握り締める両手に力を込める。
「セルバーンからの要請に応える三班は既に命を受けたって聞いたけど、つまりこの特別任務は非公式っていう認識でいいのー?」
カノンは上の立場である教官にも敬語は使わない。
WGSが各地から受ける依頼は最大三つ。その決まりが破られてもいいのか、ということをカノンは指摘しているのだ。
「問題ない」
問題ない。その回答は、WGS内のルールから逸脱した明らかなる異例事項だ。カノン班に伝令があることといい、任務の内容といい、今回の件には何か裏があるとしか思えない。
「この任務だが、彼女が一緒に行動する」
ボルドー教官の横に立っている、ツバサの知る限りの絶世の美少女に全員の注目が集まる。ツバサは無意識に唾を呑み込む。
「彼女はリリア=セレティスだ」
紹介に預かり、リリアがすぅっと息を吸い、大きな瞳から鋭い視線がカノン班を捉える。
「何を取って来なければいけないのか、わたしも知りません。でもあなたたちにこの任務が完遂できると思いません。校内を回らせてもらって見ました、この間の試験の結果。任務に失敗しても、それはあなたたちの実力ですから、わたしのせいにしないで下さいね」
リリアはにこっと笑ってみせるが、発言はその表情に適うものでは決してなかった。
ツバサは唖然として彼女を見つめる。
こいつ何なんだ!?
「よろしくねー」
カノンは気にせず応答するが、ラックは不機嫌そうに舌打ちをしている。
「お前さ、初対面の人間に対して随分な物言いだな。そんな性格じゃ友達なんていないんじゃねぇの? どうせ独りなんだろ」
ラックが対抗するように嘲笑する。その時、リリアの口元が僅かに引き締まり、開いていた両手が握られたのをツバサは捉えた。
「言いたければ、どうぞご自由に」
彼女が少しは表情を歪めると思っていたラックは、崩れぬ微笑みに悔しそうに口元を引きつらせる。




