表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

我らてーり先輩ふぁんくらぶ!!

作者: 瑠璃蝶草

エリュシオン学園でのとある日常。

とある学園の平穏な風景の片隅で。


ある人物から目を一切離さず、無線を手に取る怪しい人影。


「……こちら東廊下。ターゲットを確認しました、どうぞ」


周りの若干引いたような目線をもろともせず、真剣な声で無線に向かって呟く。


『了解。今からそちらに向かいます……ジジッ…どうぞ』


無線の向こうから同じく真剣な声で、どこか焦っているような返答があった。


「おそらくターゲットは45秒後に外へ出る……間に合うか?」

『ジジッ……問題ありません。もう間もなく着きます。

 予定通りにターゲットが外に出た瞬間……作戦決行です…』


“作戦決行”。

この言葉に思わず口元に笑いを浮かべる。


「……分った。」


無線を仕舞い、ゆっくりと立ち上がる。

その際に後ろに持っていた「あれ」がカサリと音を立てたので、

慌てて状態を確認。


「よし……問題はないな」


ほっと安心をして、改めて気合を入れて歩き出す。




ターゲットがもうあと5秒以内に外へ出る。

「あいつ」の姿は……まだ見えない。



「っ、間に合わないか……」


(やはり距離的に間に合わないか、なら俺一人で!!)


と、意気込んで前に出ようとしたとき。


ぽん、と後ろから誰かに肩を叩かれた。

慌てて振り返った先には。



「お、お待たせ。」


息を切らした「あいつ」が笑みを浮かべて立っていた。


俺は不適に笑って拳を出す。



「遅かったじゃないか。 俺一人でやらせるつもりかと思ったぜ」


「問題ないと答えたでしょう? “これ”は二人一緒に、ですから」


「あいつ」も笑って、俺の拳に自身の拳をコツンと当てる。


「行く、か」

「行きましょうか」


俺たちは視線を交わして頷き、ターゲットの背中に向かって駆け出した!!




「鄭理先輩!!」「雨下先生!!」



そしてターゲットの名前を呼んで注意を引く!


ターゲット……雨下鄭理あましも ていり(jA4779)は自分を呼び止めた声に、

その足を止めて振り返った。



「……春都? 零?」


なにやら真剣な表情で駆け寄ってくる二人……春都(jb2291)と夜劒零(jb5326)の名前を口にする鄭理。

思わず何事かと身構えた鄭理に二人は、「それ」を差し出した。




「鄭理先輩!! いつも応援しています!!」

「受け取ってくれ!! 俺達の気持ちだ!!」


そう言って二人が差し出したのは……。



可愛らしいバスケットに入った色とりどりのクッキーと

大きな白い薔薇の花束。



ちなみに、この外に面している渡り廊下にいるのは鄭理たちだけではなく、

もちろん他の生徒たちも多々いる。

そして、全員が全員、足を止めてこの光景を見ていた。


つ・ま・り、大注目ですね!!


思わず受け取ってしまった物と、二人の行動と……周囲の突き刺さる視線の数々に、

鄭理は恥ずかしさよりも、ふつふつと怒りがこみ上げてくる。


「……これ、は?」

「僭越ながら、私が作ったクッキーと」

「先生への気持ちを込めた花束だ!!」


ビシッと敬礼をする春都と、胸を張る零。


「……まさかと思うが、ここ数日自分の行動を隠れて見ていたのは」

「おお! やっぱり気づきましたか!」

「うむ、さすが雨下先生だ」


ここ数日、敵意ではないが、なにやら至るところで視線を感じると

思ったら……鄭理は頭が痛くなってきた。


「……なぜ、こんなことを?」


まだ、まだあと少しだけ我慢できそうな怒りを抑えて、尋ねる。

すると、待ってましたとばかりに二人は鄭理から距離を取り、

なにやら二人で腕を組んだと思ったら、背中合わせに立って……


「なぜなら私たちは」

「尊敬し、敬愛する雨下先生の為に集った……」


「「てーり先輩ふぁんくらぶ!! だから(です・だ)!!」」


決まった…とばかりに、目をキラキラさせる二人。


それを見て鄭理は………



「……………ほぉ?」


目を鋭くさせて、器用に片手でクッキーと花束を持つと、

もう片方の手でスラリと刀を抜いた。


「よし、そこに直れ。そのふざけた根性を叩き斬ってやる」


刀が抜かれたのを見て、二人は顔を見合わせた。


「……よし、逃げようか副会長」

「ああ、逃げよう名誉会長」


二人で頷き合うと……一目散に逃げ出した。


(敬愛する我が人生の先輩へ、尊敬の花束を)


(ぎゃー! クナイ!クナイが飛んできたぁー!)

(おお。さすが雨下せんせ……っと。……本気で怒ってるな)

(……二人とも覚悟は出来てるんだろうな(ゴゴゴゴゴ…))



夜劒零くん!鄭理先輩!ありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ