おとぎ話
昔々
ヴィヴァルディアとよばれるこの世界は
魔が支配していました。
人々は魔に従属し
絶望と共に生きていました。
そんな日々を過ごす中にも、
人々には希望がありました。
それは一人の少年でした。
彼は魔に屈したりなどしません。
涙する人々を慰め力になり、支えとなりました。
彼がいると、人は笑顔を取り戻すことができました。
そんなある日、
少年は一人の少女をかばって魔族の怒りを買いました。
拷問を受け、殺されかけながら、彼はただ願います。
どうか、人々に救いを―――
そのとき、彼の目の前に世にも美しい一人の青年が現れました。
その青年は光に包まれていました。
青年は言います。
勇敢な少年よ
我の願いを叶えるならば
お前の望みをかなえよう
少年は応えました。
私にできることなら何でもしましょう
すると青年が天に向けて光の珠を放ちました。
珠は天高く上昇し、月とうり二つに見えました。
そのとき、天から眩いほどの光が地上に降り注ぎました。
人々が目を開けたとき、魔のほとんどが消え失せてしまいました。
驚く少年に青年は告げました。
二つの月が重なるとき、我に花嫁を捧げよ
世界で最も美しい乙女を
そして青年は消えました。
少年はその言葉をしっかりと胸に刻み、
そのいつか来る約束の日に備えることを誓いました。
その少年こそバルディ・レイゾーン。
レイゾーン国の初代国王となるのです。
レイゾーン国創設記