前へ目次 次へ 3/5 1/10 夜の余白 内股の布が擦れる音だけを響かせて、身を縮こませながら私は歩道橋の上を歩いていた。 身長よりも高い塀からの閉塞感から解放されて、ヘッドライトが車道を流れていく夜景が現れた。 何気ない景色が夜の力を借りると、こんなにも美しく写ってしまうのだな。 その景色を眺めながら、ゆったりと階段を下っていき、最後の一段。 コトン。 歩道橋の下、周りの花は茶色く枯れている中、まだ見事に咲いている一輪の白い花に私はほっと息をついた。