前へ目次 次へ 17/28 1/26 無音の世界 真っ白に染まった空には境界線などどこにもなかった。 ただ、碁盤の目のように均等に張り巡らされていた電線だけが、定規で引いた無機質な線となって、虚無に近い空を切り取る。 道の先には人影ひとつ見えず、静まり返っていた。 唯一、耳に響くのは自分の内側から漏れる荒い吐息と凍てついたアスファルトを叩く硬い足音だけ。 冷え切った靴に掴まれた足先は感覚を失い、小さく固まる。 耳は赤く染まり、音が籠る。 冷たさが服を透かし、私は身を縮めることしかできなかった。