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1/20 昔恋
外に出た途端、走り出した彼氏を追いかけて駆け出す。
その途端、風がへばりついたような轟音が耳に当たった。
車のタイヤが回る音かと勘違いするほどの大きな音。
走り出した私の横を草木が揺れる音が通り抜けていく。
「待って」
その声は風に掻き消される。
小さくなる彼の背中へ私を、風が押した。
足を前へ前へと動かしていくスピードが加速していき、彼の背中が段々と近づいていく。
制服の裾が触れ合うすんでのところ。
高みへ吸い込む風が吹きつけた。
軽く振り返りながら笑う彼に、私は勢いよく飛びついた。
蜜柑を一粒ちぎって口に運ぶ。
その破れ欠けた断片がハンドクリームを塗ってあげても毎年のように荒れている彼の手を彷彿とさせた。




