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ドラゴンはデカい

王都の人々とドラゴンの戦いです。

 お昼ごろ、教会を囲む王都の軍はドラゴンに攻城兵器を使った。大型の投石器である。

ドラゴンは顔がデカいので投石が成功した。騎士は顔を狙ったのだ。効きそうなので。


 ドラゴンの顔のデカさは、頭長24mで幅は16m(これは地球のバスケットコートとだいたい同じくらいだが、ドラゴンの顔は平面ではないのでバスケはできない)。

 顎の下から頭頂部まで、角を抜きにして15mくらいある。デカすぎる。

ドラゴンが顎を地面につけ、くつろぎ、横にティラノサウルス(全長13m)が鼻先で一転倒立し尻尾を伸ばしてもドラゴンの頭頂部と2mの差があるのだ。矮小な恐竜だ。ドラゴンには角もある。頭頂部から後方に向かうように伸びている。赤くてキラキラした角がな。それも2本もあるんだなぁ、ふはっ。


 えー、つまり、バスケットコート一面、ぎちぎちに一転倒立したティラノサウルスを想像してほしい。

100m先から投石器で狙って、ティラノサウルスをなぎ倒せるか、いけそうな気がする。

だから顔に石が当たったのである。兵の訓練の賜物でもある。どちらでもある。


 「投石器型兵器儀仗」と王国が呼ぶ兵器は、魔力で強化されていない城壁なら一撃で崩す。

王国の現有、最大火力である。

 地球のマンゴネルに似た投石器には、銀による装飾や神を称える文字が刻んである。

石を放つとき、兵は魔力を流し、装飾は揺れ、刻印は青く輝く。ただの投石器ではないのだ。


少し前「これは投石を補助する魔法の杖である」王国儀仗技師はこう主張し、貴族は首を傾げた。

その後、戦場で威力を見て納得した。ただの投石器でなく魔法の杖だと。この国に「兵器儀仗」が生まれた。


 太陽はいまだ高い。

ドラゴンはのっそり起き上がり、巨体を住民に晒す。棒立ちで街の方を見ている。

石がぶつかる、魔力の込められた矢の斉射も当たる。ドラゴンは気にせず街の方を見ている。


 街と教会の中ほどの広場に人だかりができていた。

石が山と積まれて、人々はそこに群がっている。


 王都の住民は石に魔力を込める。強い殺意とともに。敵を殺せと願いながら魔力を込める。

女子供や老人はドラゴンを睨みながら石に手を当てる。石は次第に魔力を帯び青い燐光をまとう。

殺意の魔力がこもった石は、荷馬車で教会近くの陣に運ばれる。

動線長いなと思われるかもしれないが、戦場は貴族と騎士のものである。女子供の居場所はないのだ。

 魔力切れで人が倒れると簡素な担架で近所の家屋に運ばれる。

魔力切れは辛い。体温が低下し、頭痛に吐き気、手が震えなどの症状の他、のどが渇きを感じる。ひどい場合は、幻覚や幻聴(亡くなった親族や友人が現れる)を見聞きする。そして最悪死ぬ。

今、運ばれていく老婆は、もう喧しくパンを買うことはない。


 教会近くの陣地に、街の男はいた。近くで騎士が大声で指示を出していた。

志願兵の若い男は、荷台から投石器へ、青く輝った石を運ぶ。

騎士が石を設置し縄が引かれ、石が放たれる。

ごお、と音が鳴り、騎士の視線の先、ドラゴンへの青い軌跡が走る。


 石の運搬は駆け足で行われた。肉体強化し石を抱え男は走った。

男たちは緊張と恐怖を抑え込み、石を運び続けた。馬に乗った騎士がともに駆け、監督する。

馬使えやと思われるかもしれないが、軍馬は騎士の資産なので荷運びはしない。だから平民が運ぶ。


 殺意で青く光る石が高速(同型の投石器で投射された石と比較)でドラゴンの腹にぶち当たる。

ドラゴンは光る投石器に興味を持った。石に込められた魔力にも。

寝てるとき、鼻っ面にもらった一撃に「痛っ」と思ったからである。魔力が鼻をぬける感覚もあった。

油断していたとはいえ、ドラゴンに「痛っ」と思わせたのだから大したものだ。

人類に少し関心を持ってみようか、などと考えつつ、ドラゴンはさっきからうるさい足元を見た。


 イカレた騎士が一騎で突撃してきた。青く光るランスを突き出している。

ドラゴンは爪でその騎士を弾いた。騎士と馬は、ぽーんと飛んだ。当たり前だろ。

ドラゴンに単騎でランス突撃が効くと思うのか、あの騎士はなぜ突撃してきたのだ。


 ドラゴンは騎士の集まった陣に火を吐き、投石器を焼いた。

その後、街へは向かわず、王城へ向かって飛んだ。

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