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きんいろのどんぐり

作者: 七瀬みる

 その日、ゆうたくんは、そのきんいろのどんぐりを、いもうとの、ゆうこちゃんに、こっそり、見せてあげました。

 いかにもだいじそうに、


「いいか、ふたりだけの、ひみつだぞ」


 なんて、もっともらしく、いいながら。


 それは、そうですよね。

 ほかのだれにも、知られるわけにはいきません。

 きっと、おおわらい、されてしまいます。


 だって、ゆうたくんがじぶんで色をぬっただけの、うそっぱちの、どんぐりでしたから……


 でも、まだちいさい、ゆうこちゃんなら、きっと、すなおに信じてくれるにちがいありません。

 だから、ゆうたくんは、そんなふうに、いったのです。


 いもうとをだますなんて、ひどいお兄ちゃんでしょうか?


 でも、けっして、わるぎがあったわけでは、ないのです。


 ゆうたくんは、ゆうこちゃんにも、じぶんと、おなじ夢を、見てほしかっただけなのです。


 さきに、そのことをお話ししておきましょうか?


 それは、こういうわけだったんですよ……


  ※


 ちいさいころから絵をかくのがすきだったゆうたくんは、お誕生日に、十五色入りの絵の具セットを買ってもらいました。

 それまでつかっていた十二色セットより、三色もおおくて、しかも、そのうちの二色は、きんいろと、ぎんいろでした。


 そんなきらきらした絵の具をみるのは、はじめてでした。

 とってもすてきな色でした。

 だから、さっそくつかってみたのです。


 でも、あれあれ?

 なんだか、へんてこでした。

 ほかの色とくらべると、あんまり、ピカピカのキラキラで、なんだか、そこだけ、めだちすぎてしまうのです。

 きんいろのヤカンとか、ぎんいろの蛇口とか、ピカピカしているからって、そのまま、きんやぎんでぬっても、だめみたいですね。

 絵がとくいなゆうたくんですから、そういうことにも、すぐに気がつきました。

 だから、せっかくの、きんの絵の具も、ぎんの絵の具も、あんまり、つかわなくなったのです。


 でも、すてきな色でした。

 友だちのだれも、そんな絵の具はもっていません。

 だから、つかわないなんて、もったいない。

 どうかして、つかってみたかったのです。


 そんな、ある日の、放課後でした。


 ゆうたくんは、こんどはなにを絵にかこうか、ひとりで、校庭をぶらぶらして、さがしていました。

 そして、見つけたのが、あのどんぐりだったのです。


 雲ひとつない、やけに空のきれいな、午後でした。


 校庭のすみっこで、ありふれた、どこにでもあるような、どんぐりをひろって、見つめて……どんなふうにしたらじょうずに絵にかけるだろうか、なんて、かんがえていると、なんだか、ふしぎな気もちになっていきました。


 あかるい秋の日にてらされて、きらきら、しずかにかがやく、どんぐりの……そのきらめきのなかに、すうっと、意識がすいこまれていきそうな気がしたのです。


 そうして、すいこまれていった、そのさきでは、どんな魔法も、空想も、ほんものになるような、そんな気がしたのです。


 あんまりきらきらしたひかりを見すぎたせいで、アタマのぐあいが、ヘンになってしまったのでしょうか? サイミンジュツにでも、かかったみたいに?


 でも、とにかく、そのつやつやしたどんぐりを見ているうちに、ゆうたくんの頭のなかには、おはなしの本にでてくるような、たのしい空想が、どんどん、わきあがってきたのでした。


 ここから北の、北の(どうしたって、北じゃないといけません。南なんてモッテのほかです)――北のはてのうら側に、だれもしらない、森があります。

 その森のおくふかくに、たった一本、百年にいっかい、三日のあいだだけ、きんいろのどんぐりをみのらせる、魔法の木がはえているのです。

 その実をてにいれれば、どんな願いごとでもかなうのです。

 世界をすくうことだってできるのです。

 でも、そこにたどりつくことができるのは、えらばれた子どもたちだけ。

 どんなにえらい魔法つかいでも、どんなにつよい勇者でも、大人では、だめなのです。

 だから、魔法の国のおひめさまが、ゆうたくんに、たのむのです。

 魔法の国を、すくうために……。


 ゆうたくんは、しばらくのあいだ、その空想にふけりました。

 気もちよく絵がかけているときみたいに、その世界に、頭っからはいりこんで、そのなかで、息をして、かけまわっているみたいでした。


 でも、きゅうに、ぴゅっ、と、秋のおわりのつめたいかぜがふいて……

 ゆうたくんは、われにかえりました。


 とたんに、頬っぺたがあかくなりました。


 だれも見ていないのに――だれかに見られたからって、頭のなかまで、のぞかれてしまうわけじゃないのに――それでも、だれかにバカにされるんじゃないかと、きゅうに、はずかしくなったのです。

 なんて、子どもじみた、空想だろう。もう三年生にもなるのに……ってね。


 でも、三年生だろうと、なんだろうと、すてきなものは、すてきです。

 その空想は、ゆうたくんのこころをとらえて、はなしませんでした。


 たのしいとき、うれしいとき、わくわくするとき、きのう読んだ本がおもしろかったとき――

 みなさんは、だれかに、お話ししたくなることが、ありませんか?

 ゆうたくんだって、そうだったんです。

 でも、だれに話しましょう?

 こんな「こどもじみた」なんて、じぶんで思ってしまった空想を……


 ゆうたくんは、手にしたままだった、どんぐりを、じっと見つめました。

 そして、はっと、思いつくと……

 そのどんぐりをぎゅっとにぎって、走りだしました。

 そうして、一目散に、家にかえると、きんいろの絵の具をとりだして、きれいに、ていねいに、ぬったのです。

 

 だから、ね?


 おにいちゃんは、きのう、こんなすてきなおはなしをかんがえたんだぞって……ゆうたくんは、その空想を、ゆうこちゃんに、話してあげたかっただけなのです。

 でも、それだけだと、なんだか、照れくさかったので――だって「こどもじみた」空想ですから――話のとっかかりになる、なにかが、ほしかったのです。


 もちろん、すぐに、たねあかしは、するつもりだったんですよ?


 なあんだあ、って、ふたりで、わらって……


 でも、おはなしが、おはなしだって、わかったあとも、それがたのしいおはなしなら、ふたり、いっしょに、たのしめるじゃありませんか。


 それでいい。それがいい。

 そうするつもり……だったんです。


 モンダイは、ゆうこちゃんが、あんまりそのどんぐりに、夢中になりすぎてしまったことでしょうか。


  ※


 そのどんぐりを、ひとめみると、ゆうこちゃんは、そのきんいろにまけないくらい、目をきらきらさせました。


「おー」


「すごいだろう、兄ちゃんが、みつけたんだぞ」


「きらきらー」


 ゆうこちゃんは、うれしそうに、手をのばしました。

 ゆうたくんは、そっと、にぎらせてあげました。


 あとから思えば、ずいぶんやすっぽい、ぺかぺかの、きんいろでした。

 でも、ふたりの空想の入口には、それで、じゅうぶんでした。


 ゆうこちゃんは、いろいろなことを、おにいちゃんに、ききました。


 どこにあったの?

 あぶなかった?

 オバケいた?

 お姫さま、きれいだった?

 ケッコンするの?


 ゆうたくんは、つぎつぎ、こたえてあげました。

 おはなしは、スラスラでてきました。

 どんどん、ふくらんでいきました。

 波乱万丈の一大ファンタジーです。

 じぶんは、こんなにうそつきだったのか、と、じぶんでもびっくりしたくらいです。

 そうして、たねあかしをするのが、どんどん、むずかしくなっていったのです。


 だって、ゆうこちゃんは、きらきらした、ソンケーのまなざしを、ゆうたくんに向けてきます。

 いまさら、ぜんぶウソでした、なんて、とても、いえません。

 調子にのって、話しつづけて、さいごには、とうとう、こんなことまで、いってしまいました。


「最後のどんぐり、おまえにやるよ。何をお願いする?」


 ゆうこちゃんは、目を、それこそどんぐりみたいにおおきく、みひらきました。

 そして、うーん、うーん、しんけんに悩みだしたのです。


(ちょっと、やりすぎたかな)


 ゆうたくんは、そう思いましたが、いまさらひっこみはつきません。

 まあ、いいや。じぶんに、いい聞かせました。

 あんまりむちゃじゃない、ちょっとしたおねがいくらいなら、じぶんが、かなえてやったっていいんだ。そう思ったりもしました。


 でも、ゆうこちゃんが、たどりついた結論は、ゆうたくんの予想をこえていました。


「うえる!」


 と、ゆうこちゃんはいったのです。


 みなさんも、どんぐりをあつめたことがあれば、いちどくらい、かんがえたことがあるかもしれませんね。

 植えて、育てることを。

 いったい、どんな木になるのでしょう。

 どれだけたくさん、実がなるでしょう。

 かんがえるだけで、わくわくします。

 まして、魔法のどんぐりなら、きっと、きらきらした金色の実が、すずなりになるのでしょうね。


 そのうえ、ゆうこちゃんは、いうのです。


「そしたら、おとーさんも、おかーさんも、じいじも、ばあばも、みんな、おねがい、きいてもらえるでしょー」


 じぶんだけじゃなくて、家族みんなが、しあわせになりますように。

 ちっちゃなゆうこちゃんが、いっしょうけんめいかんがえて、たどりついた、それが結論でした。


 じぶんでも上出来だとおもったのでしょう。えっへん。ゆうこちゃんは、じまんそうでした。

 そのきらきらした笑顔が、ゆうたくんにはまぶしく見えました。

 お兄ちゃんなのに、そんな、家族のことなんて、ちっともかんがえなかったじぶんが、はずかしいような気がしました。


 でも、どうしましょう。

 困りました。

 ニセモノの金のどんぐりなんて、植えたって、生えてくるのは、ただの、ふつうのどんぐりの木だけです。

 どんなにか、ゆうこちゃんを、がっかりさせることでしょう。


 ゆうたくんは、いっしょうけんめい、いいわけをかんがえました。


「植えるのは、いいけど、でも、うちは魔法の国じゃないからなあ。金のどんぐりにはならないかもしれないぞ。そもそも、百年に一回しか、できないんだから」


 でも、このときばかりは、ゆうこちゃんのほうが、いちまい、うわてでした。


「だったら、それを、おねがいする」


 はやくおおきくなって、まいとし金の実をつけてください。

 ゆうたくんは、また一本とられました。

 いよいよ、ひっこみがつきません。


(いいさ。植えたって、どうせ、育ちやしないんだから)


 それに、もし、うまく芽がでるとしても、そうなるまでには、まだまだ時間がかかるでしょう。

 そこからもっとおおきくなって、実までつけるようになるのは、さらにずっとさきのことになるはずです。

 それまでには、たねあかしをするチャンスだって、きっとあるでしょう。

 ゆうこちゃんのほうが、あきて、わすれてくれるかもしれません。


 それで、ふたりは、裏庭に、いったのです。


 ゆうたくんは、ものおきのなかから、植木鉢をひとつ、ひっぱりだすと、そのへんの土をつめこんで、まんなかを、ちょっとへこませてあげました。

 ゆうこちゃんは、だいじそうに両手でつつみこんだ、どんぐりを、その穴のなかに、そーっと、そーっと、おきました。

 そして、ふたりいっしょに、土をかぶせて、うめたのです。


 ゆうたくんの胸が、ちょっと、ズキンとしました。


  ※


 それから、まいにち、ゆうこちゃんは、植木鉢のまわりをぐるぐるしながら、おまじないをしました。

 ニンジャみたいに、両手をにぎって、人さし指をたてて、下から上に、つきあげるのです。

 お気に入りのアニメで、そんなおまじないを、みたのです。

「なんだかカンチョーみたいだぞ」なんて、ゆうたくんはわらいましたが、ゆうこちゃんは、しんけんです。

 まいにち、まいにち、つづけました。

 あめの日と、ゆきの日は、おやすみしましたけどね。


 あと、さむい日と、かぜのつよい日も、おやすみしましたけどね。


 それから、クリスマスと、おしょうがつも、おやすみしましたけど……


 でも、わすれたわけでは、ないのです。

 ちゃんと、おぼえている日は、やりました。


 だから、ちゃんと、こうかがあったのに、ちがいありません。

 だって、春になると、どんぐりは、とうとう、芽をだしましたからね。


 ちっちゃな、よわよわしい、芽でした。

 でも、ほんものです。

 きんいろのまほうのどんぐりの芽がでたのです。


 ゆうこちゃんは、うれしくって、うれしくって、おおはしゃぎして……

 おかげで、「ひみつだぞ」なんて、おにいちゃんとのやくそくもわすれてしまって、おとうさんや、おかあさんや、おじいちゃんや、おばあちゃんに、さっそく、しらせにいったのでした。


「芽だよ、芽がでたのよ、まほうの芽なのよ、きんのどんぐりが、できるのよ!」


「あらあら、どうしたの?」


 おかあさんは目をまるくしました。

 おとうさんは、ふーむ、とうなって、ちらっと、ゆうたくんの顔をみました。

 おじいちゃんとおばあちゃんは、にこにこしていました。


 みんな、ゆうこちゃんが、おまじないをしていることには、気づいていましたが、「またへんなあそびをしている」「かわいいな」くらいに、思っているだけでした。

 だれも、ゆうこちゃんが、しんけんに、まほうを信じているなんて、思ってなかったのです。


 でも、やっと、ゆうこちゃんが、なにをやっていたのか、わかったのです。


 北のはてのうらがわの森のこと。

 百年にいっかいだけの、きんのどんぐりのこと。

 まほうの国のおひめさまのこと。

 そして、お兄ちゃんの、だいぼうけん。


 ゆうこちゃんは、いっしょうけんめい、お話ししました。


 ゆうこちゃんがなにをいっているのか、おとうさんや、おかあさんには、半分くらい、わからなかったけれど、にこにこしてきいてくれました。


 でも、にこにこしていたのは、ゆうこちゃんのまえでだけでした。


「ちょっと、ゆうた――」


 そういうと、おとうさんが、ゆうたくんを、べつの部屋につれていって……しばらく、しかりました。

 やっぱり、うそは、いけませんね。

 さすがに、これは、しかたないかなあ……って、ゆうたくんだって、なっとくしました。

 しかられながら、ちょっと、にがわらいしてしまったくらいです。


 でも、ふと見ると、しかりながら、おとうさんだって、にやにや、笑っているのです。

 そのうち、ふきだしてしまいました。


「魔法の国のお姫さまか。ゆうたも、いっちょまえに、色気づいてきたか?」


 そういって、おとうさんは、声をたてて、わらうのでした。

 ゆうたくんったら、しかられるより、もっと、ずっと、バツのわるい思いをしました。


 うそはよくありませんでしたけれど、わるぎのない、たのしいオハナシでしたし、なんにしても、どんぐりの芽は、ほんとうに、出たのですから、半分は、ほんとうです。

 ゆうこちゃんだって、せっかく、あんなにはしゃいでいるのです。

 ぜんぶ、頭ごなしに、うそはっぴゃく、なんて、ヤボなことはいわないでいいだろう。

 おとうさんは、そういうのでした。


「そのうち、ゆうこにも、わかるだろうしな」


 それから、こう、つけくわえたのです。


「どうせ植えるんなら、もっと、ちゃんと、せわをしろ」


 ゆうたくんたちは、ただ土にどんぐりを埋めただけでした。でも、おとうさんにいわせると、そんなやり方では、ちゃんと芽がでるかどうかわかったものではなかったのだそうです。

 出るには出たけれど、つよい芽になったかどうか、これからちゃんと育つか、わからないというのです。


「せっかく、ゆうこがよろこんでるんだ。がっかりさせるな」


 そうして、その週末のおやすみに、さっそく、おとうさんと、おじいちゃんが、あたらしい、ひとまわりおおきい植木鉢に、でたばかりの芽を、そーっと、そーっと、移しかえてくれたのでした。

 あたらしい鉢のいちばん下には、水はけをよくする小石をいれて、その上にえいようたっぷりの腐よう土をしきつめて……そこに、いためないように慎重に、まるごと鉢からはずした芽を、土のついたままおいて、すき間を、またあたらしい土でうめたのです。


 芽がよわすぎるから、と、ゆうたくんはてつだわせてもらえませんでした。

「ちぇっ」

 つぎの作業では、てつだわせてやる、と、おとうさんに約束してもらって、やっとなっとくしました。


 それからというもの、その鉢植えのおせわをするのが、ゆうこちゃんの日課になりました(さむい季節も、もうおわりましたからね)。

 そばにしゃがみこんで、あきずにじっと見ていたり、話しかけたり、また、あのおまじないをしてあげたり……ときどき、土が乾そうした日なんかには、おじいちゃんにおしえてもらって、水をあげたりもしたのでした。


 芽はすくすく育って、一年もすると、ちょっとヒョロヒョロ、たよりないけれど、それなりに苗木っぽいすがたには、なりました。


 おとうさんと、おじいちゃんが、その苗を、植木鉢からとりだして、裏庭のすみに植えてくれたのは、その半年ごの、秋でした。


 おじいちゃんも、おとうさんも、たのしそうでした。

 子どもたちより、はりきっていたくらいです。

 ふたりとも、もともと、庭いじりがすきなのです。


 その孫だったり、子どもだったり、するのですから、ゆうたくんにだって、素質はあるのかもしれません。

 このときは、やっと、ちょっとだけ、ゆうたくんも、てつだわせてもらえました。

 それが、やっぱり、たのしかったのです。


 作業はとどこおりなく終わりました。


 おとうさんも、おじいちゃんも、仕上がりを、満足そうにながめました。

 ゆうこちゃんは、さっそく、植えたばかりの若木に、おまじないをしてあげました。


 そのゆうこちゃんのすがたを、目をほそめて、見つめながら、


「なあ、ゆうた」


 おとうさんが、いいました。


「あんなよわよわしかった芽が、こんな苗木に育って、これから、どんどん大きくなっていく。うまく育てば、おまえや、わたしより、ずっと長生きするだろう。そしてまたどんぐりを実らせ、そのどんぐりが、また、どこかで芽をだす。そうして、いつまでもつづいていく。それが、ほんとの魔法じゃないか?」


 おとうさんが、こんな、ロマンチックなことをいうなんて。

 ゆうたくんは、あっけにとられました。

 でも、そんなおとうさんが、なんだか、いつもより、カッコよくみえたりも、したのです。

 だから、おおきく、うなずきました。

 おとうさんは、はにかんだように、わらいました。


 さあさ、おつかれさま、と、おかあさんが、みんなにお茶をいれてくれました。

 おじいちゃんが、えんがわに腰かけて、ふうっと、汗をふきました。

 おばあちゃんが、それを、仏壇のなかから、にこにこわらって、見ていました。


 ゆうたくんと、ゆうこちゃんの、ひみつのどんぐりは、こうして、家族みんなの木になったのです。


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― 新着の感想 ―
拝読中も終わっててからも、胸にずっと熱い何かがながれていました。 私も空想好きな子供だったので、ゆうたくんの一大冒険譚を思いついた時の気持ちにすごく共感しました。 子供の気持ちをとてもよく分かっていら…
すごく良かったです! 小さなどんぐりの実から芽が出て大きなどんぐりの木になるように、ゆうたくんの空想からどんどん話が広がり、家族みんなを幸せにする……というのが、素晴らしい童話だと思いました。
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