第1話 霊力が戻った幻想郷
霊夢「ふあ〜いつも通りの朝ね」
霊夢はあくびをしながら境内を掃除していた。
霊夢「最近は霧の湖のタイムがかなり動いているから、みんなここを走っているんでしょうね〜」
幻想郷ではかつて起こったあの異変での追いかけ方に皆がハマったせいか、霊力が元通りになってからもあえて2人1組で霊力を補い合って飛ぶことが流行っている。最近では異変によって走ったコースをどれだけ速く走りきれるか、というタイムアタックが各コースで流行っているようだ。各コースで出たタイムは河童達によって毎日記録されているようだ。
そして最近は最難関とも噂されている霧の湖でのタイムアタックが流行りのようだ。
霊夢「ふ〜ん1位は布都とお燐で1分59秒512か…私の自己ベストは2分30秒とかだから、天と地の差ね。まあ布都とお燐だからね〜、というか私の相方がなんであの天邪鬼なのよ!おかしいでしょ!」
そこに魔理沙がやってくる
魔理沙「よ、霊夢!」
霊夢「ああ、魔理沙。ご飯はまだよ?」
魔理沙「違う、スカイドリフトしようぜ!霧の湖を走りに行くんだよ!」
霊夢「え〜あそこは落下判定とか逆走判定とか色々追加されてるらしいじゃない。嫌よ〜」
魔理沙「そりゃお前、前走ってたのいつなんだよ!」
霊夢「え〜っと…半年前くらい?かしら?」
魔理沙「お前のタイム最初期から変わってないと思うんだが?」
霊夢「うっ!」
そう、霊夢は霧の湖が大の嫌いなコースだったため、1回タイムを出してから一切やっていなかったのだ。だから多少速いタイムが出やすい魔理沙がさすがにそれはないだろう、と誘ってきたわけなのだ。
霊夢「い、いや魔理沙がいなくても平気よ!こういうのは諏訪子とかに頼めばいいのよ!」
魔理沙「お前まだ諏訪子が強いって思ってるのか?時代遅れにも程があるぞ」
霊夢「え、だって空中速度最速って諏訪子なんじゃ…」
魔理沙「ステータスの問題じゃない。ポテンシャルの問題だよ、霊力が戻った今ならどんな人や妖怪、妖精、神のステータスにもなれるからみんなコースによって最適なステータスになってて同じなんだよ!霊夢、本当に大丈夫なのか?」
魔理沙の言った通り、現在では霊力が戻っているおかげで幻想郷の住人は霊力によってコースごとに最適なステータスとなっている。すなわちステータスによる有利不利がなくなり、完全な実力勝負となったのだ。しかし、そうなると別の問題が出てくる。
霊夢「それなら別にあんたでも他のやつでも変わらなくない?ポテンシャルの問題なんでしょ?」
魔理沙「お前、まだそんなこと言ってるのか?かつてのスカイドリフトでステータスが有利に取れていた組は軒並みポテンシャルが下がっていってるんだよ!そりゃあもうめちゃくちゃだぜ。諏訪子なんか前会ったときレート1000を下回ってたぞ」
霊夢「ええ!?1000を下回る!?私でさえまだ3000くらいあるのに…しかもそれ最高値でしょ!?」
この世界にはレートというものが存在する。レートは大体の実力を表すものである。
0から999までが妖精級。ポテンシャルがほとんどない、平均よりも低い値。
1000から2999が人間級。普通の実力。このあたりが平均値となっている。
3000から4999が妖怪級。かなりのポテンシャルで、コースの上位に入り込める。
5000から6999が神様級。コースの最上位勢レベルで、ポテンシャルが賢者級以上は確実にある者。
7000〜8999が賢者級。そのコースの絶対的トップがこの階級である。
9000以上が幻走級。どんなコースでも速すぎて誰も抜かせない、神のような存在。今のところこの階級の者は存在していない。
魔理沙「ああ、もう諏訪子や萃香は誰にも誘われないし相手にもされてないぞ…」
霊夢「ねえ、その2人に挨拶くらいしてから行かない?さすがに可哀想だわ…」
魔理沙「いや、もうその2人…いや、スカイドリフトで有利だった組には会えないぞ、霊夢」
霊夢「え、どういうことよ」
魔理沙「もう…あの2人は…
【この幻想郷にいないからだ】」