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飛空船創造スキルで大冒険! 2008年版七つの大罪と共存して特能獲得  作者: 石上夢悟朗
第三章 中型飛空船対抗五島制覇大競争の開催
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48話 宿泊、赤色の鼠亭

「ヤマト君。さっきの人、どう思う?」

「その話は部屋でしましょう。ここは停留所、人がいます」


 マリアさんを止め、今後の予定を決めることにする。


「これから町に行きますけど、最初に宿屋を探すので構いませんか?」

「そうですね。組合にも行きますが、先に宿泊場所を決めた方がいいでしょう」


 サクラさんから、同意を得た。居住場所を報告する必要があるからな。二度手間にならなくて済む。


「マリア。以前に来たときは、どこに泊ったのだ?」

「前は泊まらずに、そのまま帝都ガンベルまで行ったよ。帰りも朝早くに帝都を出発して、夕方頃に港町へ着いたの。そのまま夕方の便で、国外に向かったわ」


 それならマリアさんも、初めての宿泊か。まあ、そろそろ出発しよう。


「行きましょうか」

「楽しみですね、ヤマトさん」


 四人で飛空船発着場を出て、町中へ入っていく。魔獣狩り協会の受付に行き、紹介状の礼を述べる。そのとき何軒か宿屋の場所を聞いた。おそらく協会と提携している店だろう。


「あそこが一軒目だな」

「立派ではあるけど、少し高いと言ってましたね」


 ピヌティさんが指差す先に、一軒の建物が見えた。見るからに、高そうだな。とりあえず保留して、二軒目を見に行く。


「少し古いけど、大きいね!」

「駆け出し協会員が、よく使っているそうです。ただ個室が少なく、壁も薄い。内密の話ができませんし、次に行きましょう」


 マリアさんが、率直な感想を口にした。ここだとスキルの話も難しい。この場を後にして、三軒目に向かう。


「良さそうな宿ですね。隣は料理店でしょうか?」

「たしか食堂が併設されているとか。中で繋がっていると聞きました。食事だけの人も利用できるそうです」


 赤色の鼠亭、か。宿泊施設に鼠と名付けるのは、どうなんだろう。外観が赤色でもない。名前はともかく小綺麗で、清潔な印象がある宿だ。サクラさんは、この店が気に入ったみたいだな。食堂から肉の焼ける香りが漂い、腹が減ってくる。そろそろ昼食の時間帯か。


「ここで、いいんじゃないか」

「あたしも良いと思う!」


 二人も賛成らしい。俺も異論はない。ここに決めよう。内開きの扉を開け、宿の中に入る。


「いらっしゃい」

「四人ですが、個室は空いていますか?」


 店員に声を掛け、部屋の有無を確認してもらう。


「個室が四部屋、ちょうど空いていますね」


 良かった。空いているようだ。朝食付きで一泊3000エル。わりと安いな。聞くと食堂の利益を重視し、宿の料金は抑えめにしているとのこと。それぞれ鍵を受け取り、部屋に向かう。泊まる場所は、左から順に俺・サクラさん・マリアさん・ピヌティさんとなっている。




 部屋を取ったら、魔獣退治組合と魔獣狩り協会に向かった。どちらも宿泊場所の報告だ。そのついでに、昼食のオススメを聞いてみる。屋台通りに行くと、手頃な値段で軽食が楽しめるらしい。せっかくの情報だし、行ってみることにした。


「本当に色々な屋台があるな。目移りしそうだ」

「美味しそうですよね」


 ピヌティさんとサクラさんの会話を聞きながら、興味を()かれる料理を探す。椅子に座って、食べられる場所もあるみたいだ。


 試しに、揚げ物を買ってみた。ジャガイモと野菜を混ぜて作った、コロッケのような食べ物だ。けっこう美味い。複数のソースがあり、掛けながら食べると味の変化も楽しめる。口の中が渇いたら、果物を絞った飲み物で喉を潤す。その後も目に留まった料理を、食べていく。気が付いたら、かなり腹が膨れていた。


「そろそろ宿に戻りますか。明日の予定を、話し合いましょう」


 俺の提案に、三人が賛成してくれた。腹ごなしに、少し遠回りしつつ宿に帰った。少し迷い掛けたのは秘密だ。宿の中に入ると、マリアさんの部屋に集まった。


「ところでシルドという男、どう思う?」

「よく分からなかったかな」

「私も同じですね」


 ピヌティさんが、話を切り出した。マリアさんは、よく分からないと言う。サクラさんもだ。実は俺も判断が付かない。


「皆も似たような感じか」

「また会ったときに、気を付けるしかありません。ピヌティさんも、考え過ぎないでください」


 それから明日の予定を確認した。早朝に町を出て、帝都ガンベルに向かう。そこで中型飛空船の検査がある。そこまでは確定で、後は時間によって行動を変えるつもりだ。


 話を切り上げ、自由時間とする。再び町へ出るには、中途半端な時間だな。ゆっくりと部屋で休むことにした。魔法の教本でも読んでおくか。室内に本を()る音が、かすかに響く。




「ヤマトさん、夕食にしませんか?」

「今、行きます!」


 しまった。もう、そんな時間か。本を読んでいると、時間の進みが早く感じる。慌てて部屋の外に出て、三人と合流した。食堂に入り、席に着く。メニューを見ると、料理の名称は理解できる。ただ中身までは、分からない。説明文を頼りに、注文をした。ちなみに酒は無かった。この店の方針らしい。


 しばらく待ち、料理が届く。頼んだのは多くの具材が入った炊き込みご飯、辛味と酸味が強いスープ、スパイスが利いた野菜の蒸し炒め、魔獣肉の串焼き。何の魔獣かは気にしない。よくある表記だ。談笑をしながら、和やかに食事を続ける。


「ごちそうさまでした! 肉は珍味みたいで、美味かったですね!」

「確かに、良い味だった。ヤマト殿も、同じか」


 他の料理も、のきなみ口に合った。良い店だと思う。皆も満足そうに、感想を言い合っている。ここで今日は解散し、出発時に合流する予定だ。朝食は各自で取ることになった。皆も部屋に引き上げているし、俺も戻ろう。




 ――朝だ。今日も自然と目が覚める。食堂でバイキング形式の朝食を取り、速やかに身支度を整えた。宿の店員に手続きを頼み、出発の準備は完了だ。玄関近くに、四人が集まる。


「おはようございます。天気も良くて、出日和ですよ」

「晴れて良かったよね!」


 飛空船の結界なら、雨を防げる。だけど魔力の消費が激しくなるため、晴れているに越したことはない。今の魔力総量から考えると、大した消費量ではない。だけど常に魔力が減り続けていくのは、気分が良くないしな。


「とりあえず飛空船発着場まで、行きましょう」

「待ってください、ヤマトさん。服の(えり)が変ですよ」


 そういえば、今日は襟付きの服を着ていたな。ちなみに下し立てだ。新しい国に来たし、気分を一新しようと思ったから。直そうとしたら、サクラさんが近づいてきた。服の襟に、彼女の手が触れる。


「はい、これで大丈夫です」

「あ、ありがとうございます」


 どうやら直してくれたようだ。お礼を言いながら、頭を下げる。


「さあ、気を取り直して行きましょう」

「はーい!」


 マリアさんが元気よく返事をする。悪戯っぽい笑みを浮かべているが、気にしない。率先して宿を出て、発着場を目指す。……途中で組合と協会に寄り、出発の挨拶をした。危なく忘れるところだった。


 飛空船発着場に到着し、風雷号に乗り込んだ。飛空船競技会への参加者は、帝都までの街道使用許可が下りる。到着までは、十時間ほどと聞いた。出発しようとすると、ピヌティさんから声が掛かる。


「ところで警戒はどうする? 帝都までの道は、安全と聞く。交代で運用しても、構わないのでは?」

「たしかに、その通りですね」


 ということで、帝都までは三人で運航する。一人は休憩だ。


「あ! 出発の前に、お風呂に入ろうよ! 宿屋はシャワーだけだったでしょ」

「そうだな。朝から湯船へ浸かるのも、いいだろう」

「私も賛成です。風雷号の浴室は、気分が安らぎます」


 反対意見は無かった。帝都で落ち着いて風呂に入れるかは、分からないしな。公衆浴場なら存在すると思うが、混雑している恐れもある。それにしても、風雷号の浴場は大人気だな。喜んでもらえると、俺も嬉しい。


 ――全員が風呂から上がる。男女で分けて、正解だったな。順番を気にする必要がない。それから帝都ガンベルに向かって出発した。

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