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飛空船創造スキルで大冒険! 2008年版七つの大罪と共存して特能獲得  作者: 石上夢悟朗
第三章 中型飛空船対抗五島制覇大競争の開催
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47話 対話、剛壁防御のシルド

「みなさん、どう思いました。槍と大地傭兵団は」

「こちらを騙そうという意志は、まったく感じられなかったな」


 俺の質問に、最初に答えたのはピヌティさんだ。彼女には相手の挙動を注意深く確認してもらっている。


「黙って見ていたのは、どうかと思ったけど。それにも理由があったわけだしね」

「悪い傭兵団とは、思えませんでした」


 続いてマリアさんとサクラさんが、答えてくれた。


「それから交渉の内容はどうでしょうか? 問題はありましたか?」

「大物の素材を優先したのは、正しい判断だと思う」

「商人としては、大量の魔石も気になったわ。でも異なる種類の素材を貰ったし、成功じゃないかな」


 ピヌティさんとマリアさんが、ほぼ同時に言葉を発した。二人から見ても、良い結果だったようで安心した。


「サクラさんは、どうでしょう?」

「私は見ていただけですが、最後は気持ち良くまとまったと思います。きっと問題ありませんよ」


 あと気になるのはドマさん個人のこと。槍と大地傭兵団の首領。というか一度も団長とは言ってなかったけど、ちゃんと傭兵団だよな。


「お頭は、どう思います? 面倒見のいい姉御みたいな人でしたが」

「ヤマト殿の隣で見ていたが、悪人とは思えないな」


 俺もピヌティさんと同意見だ。


「演技が得意そうにも、見えなかったわ」


 マリアさんの言葉にも頷ける。あれが演技だとしたら、人間不信に陥るほどだ。あらゆる人を疑うことになりそう。


「あの恰好だけは、何とかしてほしいですが」

「まあ、いいじゃないですか。ああいう鎧も」

「ヤマトさんは、あのような姿が好みなのですか?」


 ……余計なことを、言ったかもしれない。


「俺の好みは置いときまして、あの鎧には強力な防御魔法が掛けられていました。防具としても一級品だと思いますよ」

「ただ露出度が高いだけの姿では、ないのですね」


 一応、サクラさんも納得してくれたみたいだな。


「そろそろ出発しましょう」


 俺の言葉で三人が動き出す。ピヌティさんが前方を警戒し、サクラさんが中央で左右に注意する。マリアさんは後方だ。そして、俺は操舵席に向かう。皆、準備はいいようだ。


「風雷号、発進!」


 再び空の旅が始まる。飛行と休息を繰り返すこと、数日。大陸まであと少しだ。道中では初見の魔獣とも遭遇したが、力を合わせて乗り切った。

 周囲には他の飛空船も多い。この中に飛空船競技会参加者も、いるのだろうか。適度に距離を維持しつつ、風雷号を進める。


「ヤマト殿、港は目の前だ!」

「了解です!」


 よし、確認した。慎重に港へと船を寄せる。仮停留所に船を置き、入国の審査を受けた。このあたりの流れは、どこも大差ないだろう。審査の内容に、差はあると思うけど。門番に身分証となるステータスカードを見せたら、不審な顔をされる。詰所から一人、別の人間が出てきた。


「ちょっと、こちらへ来てもらおう」

「分かりました」


 詰所の一室に連れられた。三人には待っていてもらい、今は俺だけ。目の前には二人の男が座っている。年配の男と、年若い男だ。


「カイス王国で、前科があるな。証拠隠滅罪で罰金900万エル。間違いないか?」

「間違いありません」


 最初に口を開いたのは、年上の方だ。口調は固いが、責める雰囲気はない。嘘を吐く必要も無いので、正直に答えた。


「証拠隠滅で900万、ずいぶんな額ですね。スルカイタ帝国だと、精々30万が限度なんですけど」

「特殊罰の分がありますから。飛空船と時空魔法の使用が重なり、その金額に」


 今度は若い男に答えた。改めて見ると、俺より何歳かは年上か。得心したように頷いている。


「名前はヤマト、所属は魔獣狩り協会だな」

「その通りです」

「あ、おやっさん。この名前と所属に罪状、手配書で見た奴ですよ」


 手配書? お尋ね者にでも、なっているのか?


「誤解を招く発言だな。あれは手配書ではないぞ。貴様、内容を見ていないな」

「う、すんません」


 若い男は苦い顔をして、謝っている。


「ヤマト殿、貴公の身元は関係機関が保証している」

「関係機関ですか?」


 遠回しな言い方が気になる。どこの組織かな。被召喚者補助委員会は違うはず。保証するにしても、俺に連絡を取ってからだろう。そもそも身分証には、委員会と繋がる記載が削除されている。

 魔獣狩り協会ならグランザードさんが教えてくれると思う。報連相は確実に行う人だし、新しく支部長になった人も同じだと聞く。衛兵団は、国内にのみ影響力を持つ組織だ。これも違う。他に俺と関わりがあるのは、どこかあったかな?


「詳細は明かせない。だがカイス王国の同盟区域であれば、貴公の行動は束縛されないだろう」


 もしかして王宮か? 俺が拘留でもされたら、バイオレット様の進退にも影響が出る。ただ罪人を表立って保証するわけにもいかない。真実は不明だけど、なんにせよ助かるな。


「よし、若いの。一走り、魔獣狩り協会まで行ってこい。顔通しだけ、してもらう必要がある」

「了解!」


 若い男が立ち上がり部屋を出ていった。走っていくのか? スルカイタ帝国は、魔導通信技術が発達していると聞いた。詰所にも通信手段がありそうだけどな。


「すまないが、しばし待ってもらうぞ。協会は遠くないが、事情説明などで時間が掛かるはず」

「構いませんよ。お手数をお掛けします」


 その後は入国後の注意点など、説明を受ける。別室で他の三人も似たような話を聞いているらしい。一通りの話を聞くと、内容が雑談になっていく。




 しばらく時間が経過し、ようやく男が戻ってきた。同年代の男も一緒だ。


「お待たせしました! 協会から人を呼びましたよ」


 連れてきたのは、茶色の掛かった髪を伸ばした細身の男だ。あれ? この特徴、どこかで聞いたような。


「僕は剛壁防御のシルド。君がヤマトだね、よろしく。カッコイイ男じゃないか。僕の次くらいに!」

「よろしくお願いします」


 俺は立ち上がり、軽く頭を下げた。ほぼ同時に、年配の男も立ち上がる。


「魔獣狩り協会相談役のシルド殿ですね。後は頼みます」

「任せてくれたまえ! さあ、ヤマト。協会まで案内するよ」

「その前に仲間と合流させてください」


 詰所の中で、すぐに合流できた。


「ご無事でしたか、ヤマトさん」

「大丈夫だった?」


 サクラさんとマリアさんから、心配そうに声を掛けられた。いきなり詰所に連れていかれたら、不安にもなるか。


「話を聞かれただけです。問題ありませんよ」

「それは何より。ところで、こちらの御仁は?」

「この方は、シルドさんです――」


 ピヌティさんの質問には、慎重に答えた。ドマさんから要注意人物として、聞かされたからな。


「――というわけですよ」


 説明が終わったら、シルドさんの先導で協会への道を進む。周囲にある建物は、石造りが多いように見える。木造中心だったカイス王国とは、文化が違うのだな。気候も少し暑いか。


「ところで飛空船を所持しているそうだね。もしかして君も競技会に参加かな?」

「そのつもりです」

「それなら僕と君は、宿命のライバルというわけだ!」


 そんな運命を持った覚えはありません。というか同じ競技に参加するだけです。何人、宿命のライバルがいるのでしょうか。と思うけど、言葉には出さない。


「お手柔らかに、お願いします」


 ドマさんから、シルドさんの様子が変だと聞いた。今もおかしな人とは思うが、こういう意味ではないだろう。少なくとも、素材を奪おうとする人には見えない。

 とりあえず当たり障りのない会話をしながら、協会の前まで行く。外観はカイス王国支部と、大きく変わらない。ここで立ち止まると、シルドさんが大仰な仕草で協会を示した。


「到着! 中で手続きを進めよう。支部長との面談もあるが、ただの本人確認さ。すぐに終わるから、心配いらないよ!」


 そして協会内に入り、手続きを進めていく。協会では魔導通信機が不調らしく、大変らしい。だから詰所で通信機を使わなかったのかな。それから支部長室に呼ばれる。シルドさんの言う通り、すぐに面談は終わった。ほとんど会話もなく本当に身分証の確認くらいだったな。


 ここで飛空船発着場の紹介状を貰った。提示したら、許可が早く下りるそうだ。シルドさんは発着場まで、同行するとのこと。まず仮停留所まで一緒に行く。


「これがヤマトの飛空船か! 良い船だね。僕の剛壁防御丸には、少しばかり及ばないけど!」

「えーと、ありがとうございます?」


 今のは、褒められたのだよな。最後に自賛があったけど、褒められたとは思う。とにかく発着場まで行き、使用許可を貰うとしよう。紹介状の効果もあり手続きは速やかに進んだ。しかし格納庫は、予約が一杯で使えなかった。


「これから、どうするんだい? 格納庫は使えなかったのだろう」

「町で宿泊場所を探しますよ」


 風雷号に泊まるのは止めておく。停留所での宿泊は推奨されない行為だ。それに初めての町だし、観光がてら宿に泊まるのもいいだろう。


「そうか、町中には危ない人間もいる。気を付けてくれ。傭兵(まが)いの、ごろつきは特に危険だ」

「忠告、ありがとうございます」


 真剣に身を案じてくれている様子である。


「それでは、僕は行く。いつか、どこかの空で会おう」

「お気を付けて。いつか、どこかの空で会いましょう」


 なんだかんだ言って、世話になったな。今度、改めて礼を言おう。さて、今日はこれから町に出る。せっかくだし、楽しもう。

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