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飛空船創造スキルで大冒険! 2008年版七つの大罪と共存して特能獲得  作者: 石上夢悟朗
第三章 中型飛空船対抗五島制覇大競争の開催
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42話 秘刀術、斬撃奥義

 現状における最大火力を考えてみた。命力増幅からの魔力合一は必須だ。そして俺が竜人船トライバスターの機動を制御。サクラさんが竜炎牙刀を使って、必殺の一撃を叩きこむ。これが最高の威力だろう。


「始めます」

「わ、わかりました! ヤマトさん!」


 サクラさんを抱き寄せ、唇を重ねる。命力増幅、発動。二人の力が、増幅されていくのを感じた。さらに魔力合一を使う。彼女の身体から発する光の力に合わせ、闇の力を混ぜていく。発動、成功。過去最高の魔力だ。


「成功です。行きましょう」

「ええ」


 船を転移扉の直前まで移動させる。竜炎牙刀の間合に入った瞬間、サクラさんに制御を渡した。


「お願いします!」

「秘刀術、斬撃奥義! 一刃竜断(いちじんりゅうだん)!」


 ただ斬ることに特化した力が、封印の鎖に襲い掛かる。一瞬で鎖は切り裂かれ、消滅していく。そして斬撃は、後方の扉にも及んだ。

 ちょっと待った! 転移扉も切り裂かれている!? 


「補助者、転移扉に異常はあるか!?」

『回答。活性化状態にある七枚の転移扉を確認。異常なし六、異常あり一。詳細を希望しますか?』


 異常があるのは、間違いなく目前の扉だろう。俺は迷わず返答する。急ぎ状況を把握しなければ。


「希望する!」

『転移扉に多大な衝撃を確認。機能の九割九分九厘が停止。自己修復機能だけが、正常に稼働。修復完了まで、およそ三十時間』


 良かった。転移機能は回復するのだな。三十時間だと、明日の夜ごろか。元から夢幻島を出発するのは、明後日の予定だった。問題ない。


「情報、ありがとう。助かった」

『感謝の言葉を確認。返答。どういたしまして』


 心なしか、少し嬉しそうに感じた。気のせいかな?


「あの、ヤマトさん?」

「転移扉は三十時間で、修復するらしいですよ。想定以上の威力でしたよね」

「まさか、あれほどの力が出るとは」


 問題は身体への負担だ。前回は反動で一定時間、魔力の自然回復が阻害された。今回も同じだと、実戦での使用は難しい。サクラさんの様子は、どうだろう。


「身体は大丈夫ですか?」

「私は問題ありません。ヤマトさんは?」

「……魔力の回復が遅くなっています。ただ前回ほどでは、ありません」


 これは朗報だな。実戦での魔力合一も可能になるかもしれない。訓練の進展にもよるけど。とりあえず下に降りて、バイオレット様の話を聞いてみるか。


「見た感じ、どうでした?」

「予想以上の威力ですね。まともに当たれば、地利級の魔獣も倒せるのでは?」


 バイオレット様も、組合の魔獣区分を知っているようだ。トリアさんに聞いたのだろうか。下から順に人剣、天時、地利、人和だよな。


「しかし攻撃を当てるのは、至難の業ですよ。敵は動き回りますから」

「それは練習あるのみ、でしょう。私も暇を見付けて、異界の無花果で訓練方法を調べてみますよ」


 それは助かるな。異界の訓練、ちょっと気になる。


「防御の薄さも課題です。火力に特化しすぎて、魔獣の攻撃に耐えられません」

「島で取れた素材は、なるべきヤマトに渡します。それで強化していきましょう」

「ありがたいですが、島で使用する分を優先してくださいね」


 そろそろ訓練を再開するか。サクラさんに声を掛け、竜人船に乗り込む。魔力が大幅に減っている状態での訓練となる。どこまで動けるか、試してみよう。




 その後、昼食の時間まで訓練を続けた。午後からは、それぞれ開拓に向けて動き出す。俺は風雷号で、周囲を見て回ることにしよう。一緒に行くのはサクラさん、ピヌティさん、マリアさん。つまり中型船大レース参加組だな。操船訓練も兼ねている。


「ヤマト殿、結界の端だ!」

「確認!」


 間違いなく、結界の終わりだな。込められた魔力が大きすぎて、はっきりと感じられる。あれを見たら、この内側が安全だと判断できるだろう。


「このまま結界に沿って、移動するのですよね。魔獣を切り伏せる準備は、できています」

「サクちゃん、移動するのは結界の内側でしょ。魔獣は出るのかな?」


 マリアさんの疑問は分かる。ただ絶対に出ないとも言い切れない。


「結界も万能では、ありませんし。警戒は必要だと思います」

「それもそうか。うん、あたしも気を付けるね!」


 結界に脆弱な箇所があったら困るしな。俺も周囲に気を付けよう。


「ところで現地点は、転移扉から東に直進してきた場所だ。次は北か南、どちらへ向かう?」

「……南に進みましょう」


 ピヌティさんの質問に、少し考えてから答えた。南に決めた理由は、特にない。考えても進路を決める要素が思い付かなかった。結局、ただの勘だ。


「ヤマト君、あたしも操船して構わないかな?」

「そうですね、お願いします」


 かなり前から、マリアさんは操船の勉強をしている。障害物の少ない平原なら、動かすのに問題はないだろう。


「やった! それじゃ、出発進行!」

「安全運転で、お願いします」

「了解!」


 平原ではあるが、岩や木の根などは存在する。飛行中に高度が下がると、衝突の恐れがあった。それと動物――魔力を持たない生物もいるな。ここの結界は魔力に反応して、侵入を阻む。油断したら動物と接触する心配がある。


「南だと遠くに大きな岩壁が見えます。あそこを目指しませんか?」

「目標として、分かりやすいですね。そうしましょうか」


 サクラさんの提案に、俺は賛同の意を示した。他の二人も異論は無いみたいだ。マリアさんは進路を微妙に調整する。これで後は直進するだけか。しばらく進み、ようやく岩壁の近くまで到着した。


「思ったより、遠かったわ!」

「予想よりも巨大な岩でしたね。とりあえず、高度を上げてください」


 俺の言葉を聞き、マリアさんが飛空船を上昇させる。上からの景観を眺めた。


「あれは、湖?」

「行ってみましょう」


 ピヌティさんの声を聞いて、少し興味を持った。本当に湖らしき場所が見える。マリアさんに近くまで飛空船を進めるよう頼んだ。


「到着!」

「お疲れ様でした」


 緊張していたのか、疲労の色が見える。俺は労いの言葉を掛けた。人の操縦する船に乗るのは、新鮮だな。それと勉強にもなる。


「先に降りますね」

「私も行こう」


 サクラさんが率先して大岩へ降りていく。それにピヌティさんが続いた。周囲の警戒を買ってくれたのだろう。あちこちに岩石や草木が見える。物陰に何か潜んでいるかもしれない。


「俺たちも行きましょうか」

「先に行ってて! 操船中に気付いた点を、書き記すから!」

「分かりました。後で見せていただけると助かります」


 地面に降りると、俺も周囲を警戒する。ただ飛空船から遠くにはいかない。いつでも船に戻れるようにだ。サクラさんとピヌティさんが帰ってくるのを待つ。


「戻りました」

「周囲は問題ない」


 二人が警戒から戻ってきた。ピヌティさんが、結界の方を見ながら呟く。


「ここは眺望が利くな」

「見晴らしが良いですよね」

「物見台を立てれば、さらに遠くまで見渡せる。南側の警戒に役立つのでは?」


 なるほど。大型魔獣の襲来を、早期発見するのに使えるな。


「そうですね。戻ったら相談してみましょう」

「しかし今の人数だと、実際に運用するのは難しいですよね」


 サクラさんの指摘に少し頭を働かせる。夢幻島に逗留するのは九人。東西南北に一人ずつ配置すると、それだけで半数近くが必要となる。


「記録だけでも残しておけば、後で有効活用しますよ」

「ならトリアに伝えるといい。地形の詳細を記録している」


 そうだったな。開拓に必要な情報は、トリアさんに管理してもらっている。話をしていたら、マリアさんが船から降りてきた。


「わ~! 凄い湖だね!」


 俺も前方の湖を見る。ずいぶんと透明度が高い。生物が存在しないのだろうか。しばらく眺めていると、わずかに魔力を感知した。場所は湖の中だ。もしかして、魔道具? なぜ、こんな場所に?


「湖の中に何かあります。魔道具かもしれません」


 これは重大な発見の可能性がある。

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