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飛空船創造スキルで大冒険! 2008年版七つの大罪と共存して特能獲得  作者: 石上夢悟朗
第三章 中型飛空船対抗五島制覇大競争の開催
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40話 結成、夢幻の集い

 夕方ごろに、ボーロングさん達が帰ってきた。アクスさんも一緒だ。草原と森の狭間で、農地に適した場所を見つけたらしい。森の中に少し大きい泉があり、水はそこを利用できそうと言っていた。

 安全地帯は結構な広さがあって、まだ結界の端までは行っていないとか。調査をしながらだと、距離を稼げないからな。


 少し遅れて、グランザードさん達が帰還。こちらは一直線に結界の端を目指し、安全地帯の外を見たらしい。


「結界の外は危険だな。強力な魔獣が歩き回ってやがる」

「そうね。調査だけでも命懸けになりそうだわ」


 グランザードさんの言葉にソフィアさんが頷いた。彼女は亜麻色のロングヘアが似合う、清楚な雰囲気を漂わせた女性だ。背中に負った金砕棒(かなさいぼう)をのぞいて。

 一方のグランザードさんは、魔導杖を持っている。見た目は厳つい戦士風だが、魔導師とのことだ。


「しばらくは安全地帯内の調査に専念しましょうか?」

「それが無難ね。ところでヤマト君、メイド二人を休ませるわ。ちょっとだけ急ぎ過ぎたみたいで、疲れているの」


 その二人は、しっかりとした鎧を装着している。あれで動き回れば、さぞ疲れるだろう。元支部長の二人は軽装だ。調査が目的だったし、機動力を優先したのだと思う。

 メイドたちは言葉少なに野草を渡し、休憩室へ引き上げていった。あの様子でも食料は確保してきたのか。凄いな。


「おーい、ヤマト!」

「どうしました?」


 二人のメイドと行き違いに、アクスさんが休憩室から出てきた。ボーロングさん達と一緒に休んでいたと思うけど、何かあったのか?


「補助者という奴と連絡は付くか? 聞いてほしいことが、あるんだが」

「何を聞きますか?」


 開拓の件については、補助者に頼り過ぎないよう気を付けたい。安易に頼ると、いつか大変な目に遭う気がするからだ。

 ただ絶対に頼らないわけでもない。その辺は上手くやろうと思う。


「この島に竜がいるか、聞いてほしい」

「了解です」


 魔獣狩人なら気になるのは、当然か。


「補助者、質問がある。夢幻島に竜種はいるか?」

『イエス。迷宮内も含めて、多様な竜種が存在します』


 いるらしい。前支配者が火竜の王種だったのだ。他の竜がいても不思議はない。安全地帯には入ってこないよな。


「存在するそうですよ。詳細を聞きますか?」

「いいや、そこまでは必要ない。竜種がいるなら、俺も島に拠点を移そうと思う。開拓の手伝いをしつつ、いずれは竜に挑みたい」


 アクスさんなら実力は確かだし、夢幻島に来てくれるなら助かるな。そして竜の素材を融通してくれたら、もっと助かる。


「大歓迎ですよ」

「感謝する。まあ、今すぐではないぞ。戻って報告も必要だからな。それと周囲に話を通す必要もある。また相談させてくれ」


 アクスさんは、休憩室内に戻っていった。これで全員が帰ってきたので、夕食の準備を手伝ってくるか。


「ヤマトさんは休んでいてください。三日間、中型飛空船の操縦を続けていましたよね」


 サクラさんに休むよう言われた。心配してくれているようだから、身体を休めることにする。夕食の準備は、トリアさんとサクラさんを中心として行っているな。そして手伝っているのは、ピヌティさんとマリアさんだ。


「それでは講義を始めましょう!」

「お願いします」


 この時間を利用して、魔法知識の勉強を行う。講師はバイオレット様だ。夕食の準備で戦力外通告を受けていたから講義を頼んだ。紅茶は自分で用意していたし、料理が下手というより経験がないのだと思う。料理を覚えたいとは言っていたが、今日はまとめて全員分を作る。明日からの方がいいだろう。


 ――夕食の準備ができるまで、講義をしてもらった。ときどき異界産と思われる言葉を発するが、おおむね分かりやすい。質問を挟みつつ、集中して聞き続けた。




 そして夕食が完成する。風雷号の休憩室に机を並べ、十四人が一堂に会するのは壮観だ。がんばって休憩室を拡大した甲斐があったな。今日は宴会だ。念のため、防御結界を十分に確認してから食事を始めた。

 そろそろ痛みそうな食材を中心に使った、豪勢な食事に感心する。野草料理も、好評だ。適度に酒も入ってきたな。時間が経って一息ついたころに、マリアさんが立ち上がる。


「ところで中型船大レースはチームで参加なんだけど。登録名は、どうしよう? 誰か良い案はあるかな」

「飛空船の所持者であるヤマト殿が決めては?」


 ピヌティさんから唐突に振られた。登録名か。どうしよう? 少し考えて、ふと思い付いた。


「夢幻の集い、これでどうでしょう」

「ヤマトさん、良いと思います!」


 サクラさんは賛成みたいだな。他の人にも一通り話を聞いたけど、とくに反対は無かった。とりあえず決定で、よさそうだ。


「名前の由来は何でしょうか? 」

「夢幻島に集まったメンバーで、大会に参加するからです」


 トリアさんの質問に、簡潔に答えた。工夫が足りないとも思うが、変に奇を(てら)うよりはいいだろう。夢幻の集い、英国風に言うならファンタジーギャザリングか。問題は夢幻島の存在を知らなかったら、意味が分からないことだな。


「ところで参加するのはヤマト、サクラ、ピヌティ、マリアの四名でしょうか?」


 バイオレット様に聞かれて気付く。はっきり参加者を決めていない。


「サクラさんとピヌティさんは、大丈夫ですか? 夢幻島から王都カイスに戻って報告したら、以降は依頼として扱われませんよ」


 現在の依頼は、煉獄島送りの人員を輸送することだ。王都で報告したら、依頼は終了となる。つまり中型船大レースに参加中は、報酬が出ない。


「私は大丈夫ですよ。手持ちの路銀には、多少の余裕があります。何より飛空船が集まるところを見たいですから」


 意外とサクラさんは、飛空船が好きなんだよな。特に人型飛空船に対する熱情が凄い。何か理由があるのだろうか。


「サクラは参加で決定か。私も問題はない。今まで仕事ばかり考えていたからな。たまには依頼から離れてみるのもいい。ついでに観光でもするか」

「珍しいですね。ピヌティが仕事のこと以外を考えるとは」


 自覚があるのか、ピヌティさんは苦笑を浮かべている。心境の変化でも、あったのかもしれない。


「あたしには聞かないの? ヤマト君!」

「そうでしたね。話を切り出したのがマリアさんですから、参加すると思い込んでいました。どうします?」

「参加するよ! 見聞を広めるのも、魔導商人として大切だからね!」


 これで参加者は決定だな。時間があれば、レースの訓練もしたい。出場するからには、優勝を目指す。


「ヤマト、頑張ってくださいね。私も夢幻島の開拓に力を尽くしましょう。贖罪の第一歩として……」

「バーネット、私もいるわ! 一緒に頑張りましょう!」


 王国全体に大きな混乱を招いたのだ。気にするな、というのは無理な話だろう。どう言葉を掛けようか考えていたら、少し離れて飲んでいたソフィアさんが近付いてくる。


「なんだい王女様、しけた顔して! ま、飲もう。飲んで忘れよう!」


 この人、かなり酔っているだろ! なんか人格が変わっていないか? それともこれが素なのか?


「そうですね、飲みましょう。さあヤマトも、ご一緒に」

「分かりましたよ、バイオレット様」


 あ! グランザードさんが、こちらの様子に気付いたな。慌ててソフィアさんを連れていく。メイド二人とボーロング三兄弟は、部屋の端で飲んでいる。それからアクスさんも一緒だ。気が合ったのか、楽しそうに談笑していた。


「私も混ぜてもらおうか」

「ええ、どうぞ」


 ピヌティさんも飲み足りないようだ。バイオレット様と一緒に酒盛りを続ける。この場で酒を飲んでいないのは、サクラさんとマリアさんか。


「ねえ、ヤマト君。この島はカイス王国の領土じゃないよね」

「そうですよ。開拓に成功したら、どうなるか分かりませんが」


 開拓も重罪人を送るための建前だしな。本気で領土にしたいと思っていたかは、ちょっと分からない。


「なら島の飲酒可能年齢は何歳になるの?」

「カイス王国の法準拠で、いいと思いますよ。十七歳から飲酒可能ですね」


 いずれ島独自の規則も必要になるかもしれないが、素人だけで判断するのは危険だな。専門家に話を伺ってからの方がいいだろう。


「わかったわ。行商していると、このあたり大変なのよ。同じ国でも、町によって変わる場合もあるし」


 マリアさんは十八歳だと聞いた。この年齢だと飲めない国の方が、やや多いか。それで確証を得るまで飲まないのだろう。


「今日はどうします?」

「しばらく、お酒はいいかな。無理して飲むものでもないしね。あ、サクちゃんも飲んでないのね?」

「私は故郷の飲酒年齢に達するまでは、どこの国でも飲まないと決めてますので」


 なるほど。そういう考え方もありか。


「じゃあ飲むのは三ヶ月後からだね」

「そうなります」


 なら中型船大レースが終わった頃だな。迷惑そうでなかったら、酒飲みに誘ってみよう。楽しみが増えた。

 そろそろ就寝の時間が近い。俺も程々にしておこう。明日は訓練の時間を取ってある。島から出るのに、竜人船を使うしな。扱いに慣れておかないと。ともかく、片付けの時間だ。

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