表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/217

111話 新目標、戦艦型飛空船

 捜査班長の合図で、班員が小型船を発進させた。間近で見たら、戦艦の巨大さが実感できる。短い旅を終えて、戦艦型飛空船の内部に入った。ここは格納庫だな。多くの飛空船が保管されている。この雰囲気、いいと思う。


「俺は別の案件がある。後は班長の指示で動くように」

「承知しました」


 足早に、クラースさんが去っていく。騎士も大変そうだ。さて許可証を受け取りに行かないと。


 当然だが、戦艦内では自由に動けない。先導に従って事務室に行き、注意事項の説明を受ける。その後、入国許可証を受け取った。最寄りの港にだけ有効だ。正式なものは改めて発行される。

 そして素材の話になった。事務室の隣に倉庫があり、そこで対応を行う。班長に続いて倉庫に入った。


「ヤマト殿、素材を置いてくれるか」

「それでは、どんどん取り出しますよ」


 とりあえず端の方から順に、並べていこう。そこまで数が多くないので、すぐに終わった。


「ご苦労、鑑定は我々が受け持とう。後日、魔獣狩り協会へ行ってほしい。素材を渡しておく。構わないか?」

「問題ありません。飛空船の強化が楽しみです」


 道すがら欲しい素材の希望は出しておいた。ある程度、考慮してくれるらしい。期待しておこう。


「よし。それでは大型飛空船まで、送り届けよう」

「お願いします」


 ボートやイカダを召喚すれば、一人でも戻れる。異空間倉庫を使ったふりして、取り出したように見せればいい。

 しかし断るのも失礼な気がして、送ってもらうことにした。他人の飛空船に乗るのは、貴重な機会だからな。距離は短いけど。


「格納庫から発進する船、いいですよね」

「よく分かる」


 炎雷丸の格納庫は、前甲板の下部分だ。この戦艦だと、後方に設置されていた。見ていると、戦艦型飛空船が欲しくなるな。新しく創造してみようか。


「到着した。ヤマト殿、手間を掛けたな」

「送迎、ありがとうございます。すぐ許可証を貰えたので、助かりましたよ」


 これは本音だ。もっと時間が掛かると、覚悟していた。港に着くまで、まだ距離がある。別の臨検部隊と、遭遇することもあるだろう。そのとき許可証が、大いに役立つはずだ。軽く挨拶を交わし、捜査班長たちが戦艦に戻る。


 やっと休憩できそうだな。サクラさんとピヌティさんが、近付いてきた。戦艦の様子を話しておくか。


「――というわけで許可証を頂きました。港へ向かいましょう」

「分かりました。日が暮れる前に、この場を離れるべきですよね」


 サクラさんの言葉で、夕方が近いことに気付く。戦艦内にいると、時間の経過が分かりにくいな。


「マリアさん。方角を確認後、港に向かってください」

「わかった! ちょっと待って!」


 言われた通り、少し待つ。


「進行方向、確認! 炎雷丸、発進するよ!」


 ずいぶん早かったな。待機中に場所を把握していたのだと思う。おかげで速やかに出発できる。




 日没までに、できるだけ進んだ。ここで今日は空中泊となる。結界を強化して、全員で休むつもりだ。すでに帝国の空域内。ある程度は安心できる。夕食の後に、少し時間を貰った。


「戦艦型飛空船を、創造したいと思います。少しずつ準備を進めるつもりですが、何か要望はありませんか?」

「警戒の方法を考えてほしい。船が巨大になれば、後方に死角が生まれやすい」


 ピヌティさんの意見に、少し考える。警戒の基本は、彼女の視覚に頼っていた。操舵室には魔導遠見筒もあるけど、十分な性能とは言えない。


「優先課題の一つですね。何か思い付いたら、ピヌティさんにも伝えます」

「私も少し、思案してみよう」


 警戒なしに、空の旅は不可能だ。解決しない限り、実際の運用は無理だからな。フェリーでは何とか対処している。しかし戦艦は、さらに大型だ。帝都テノプルに着いたら、資料を探したい。


「基本の施設は、どうなるの? 訓練場とか」

「炎雷丸にある部屋は、戦艦型飛空船にも設置するつもりです」


 マリアさんは頻繁に、射撃場を利用している。やはり気になるのだな。訓練場や休憩室などは、グレードアップを目指す予定である。また娯楽室や遊戯施設なども創ろうと考えている。内容は未定だけど。


「格納庫の場所に、変更はありますか?」

「炎雷丸と同じように、前甲板の下にするつもりです」


 後方も良さそうだけど、甲板での戦闘も考慮して前方に設置しよう。時空魔法で格納庫を拡げることも忘れない。


「船の武装は? さっきの戦艦には、魔導火砲や魔導機関銃などが見えた」

「まだ考えていません。ピヌティさんは、必要だと思いますか?」

「使いこなせれば、有用ではあるな。不可欠とまでは、言わないが」


 とりあえず可能なら創造しておくか。命中精度が低くても、牽制には十分だ。


「ところでヤマトさん。大きさは、どのくらいでしょうか?」

「外観は炎雷丸より、一回り大きくするつもりですよ。それと内部は、時空魔法を最大限に活用します。見掛け以上に、広くなるでしょう」


 大型船を超える、巨大船だな。


「それと帝国の戦艦も、格納庫を拡大しているみたいでした。時空魔石を利用しているのだと思います」

「なるほど。だから多数の人型飛空船を、運用できるわけか」


 ピヌティさんは、納得したように頷いていた。


「でも、いつ創るの? 帝都に着いたらすぐ?」

「この国では、調べるだけです。探す資料の方向性を、考えたいと思いました」


 おそらくカイス王国よりも、戦艦型飛空船の情報が集めやすいはず。機密事項に属することは無理だろうけど、それは王国でも同じだ。


「まだ時間はありますので、気付いたことがあったら教えてください」


 さすがに一日や二日で、できることではない。気長に挑戦しようと思う。途中で良いアイデアが浮かぶことを期待したい。




 それから一週間ほど後、帝国の港が見えてくる。一週間で二回ほど、臨検部隊に呼び止められた。最初を含め、合計三回の臨検。それだけ警戒しているのだろう。しかし許可証の信頼性が高いな。見せると、短時間で解放された。


「魔獣との交戦よりも、臨検の方が疲れますね」

「ヤマトさんもですか。私も同じように思いました」


 変に気疲れする。そして、これから港で手続きだ。毎回、大変なんだよな。早く終わるといいけど。――意外に、早く終わった。そこで新しい許可証を受け取る。帝国の首都テノプルに向かうのは、明日の朝にする予定だ。借りた格納庫に行き、出発までの行動を話し合う。


「まず最初に、魔獣狩り協会へ行きます」

「魔獣退治組合もだな。私だけで報告してこよう」

「あたしも行くよ。納品依頼の掲示板を見たいから」


 ピヌティさんの提案は助かるな。マリアさんと一緒に、組合へ行ってもらおう。素材の需要や価格を、チェックするのだと思う。協会でも掲示板を確認しないと。


「それなら、私はヤマトさんと一緒ですね。接近戦なら、任せてください!」

「……お願いします」


 きっとトラブルが起きたときの話だろう。


「ところで商品の販売は、どうしましょう?」

「俺は帝都で商売した方が、いいと思います」

「あたしも賛成。高い値で売りたければ、首都に行くのが基本だからね」


 それと相場の情報も、集まりやすいはず。いつか本格的に交易をする日が、来るかもしれない。今の内から、しっかり勉強しておこう。


 話し合いは終わった。さっそく行動しよう。勢い込んで協会に行ったら、帝都の支部に顔を出してほしいと言われた。素材の受け渡しも、そこで行う。掲示板だけ確認して、外に出る。


 格納庫に戻り、組合に行った二人と合流した。納品依頼の内容を聞くと、協会と似たり寄ったりみたいだ。観光するには、中途半端な時間か。長旅で疲れている。もう今日は休むことにした。帝都で用事を済ませてから、ゆっくり町を回ろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ