11話 三ヶ月の訓練、そして旅立ちの日
俺が異世界に来てから約三ヶ月が経った。訓練は順調に進んでいる。また可能な限り知識を得ることに努めた。フェリアの言っていた高速思考術は本当に有用だ。欠点は魔力を消費するため、長時間だと非常に疲れることだ。
そして明日が旅立ちの日。今日は出発に備え、新型飛空船を召喚する。イカダとカヤックも良かったが、それだけではスキルが成長しない。準備して地下訓練場へ向かう。
そこにはフェリアの姿があった。しばらく姿が見えなかったから、ちゃんと会うのは久しぶりだ。訓練予定だけは予め伝えてあるから、何か用事かもしれない。
「ヤマト、今日は新しい船を創るんだよね。あたしも見学するわ」
「そのつもり、見学は御自由に。その前にステータスカードを確認するか」
総合六級、機動五級、攻撃五級、防御六級、生活七級、収納六級、娯楽七級。お、総合が六級に上がっているな。一通り目を通したら、意識を集中する。
「飛空船創造!」
現れたのは、一艘の手漕ぎボート。今まで使っていたカヤックより、少し大きい船だ。しっかりオールも付いているな。ただ普段はオールを使わないだろう。漕ぎながらだと、周囲の警戒が疎かになりそうだ。
「これは移動用かな?」
「一応、戦闘も想定しているよ。攻撃魔法が主力なら、この程度の幅でも対応できそうだしね」
斬った張ったの大立ち回りは難しいだろうけど。会話をしつつ、船の使い勝手を調べる。運用に問題は無さそうだ。
「ところで、今日の夜は宴会するわよ!」
「まあ、ここで生活する最後の日だからな。飲めるだけ、飲もう」
ただ問題は金か。正直、余裕が無い。三ヶ月で多少の金は貯めたけど、旅をするには心許ない額だ。この世界には、共通の貨幣が存在している。ここで得た金は、大部分の地域で使うことが可能。貯蓄は大切だろう。
「せっかくだし、予算を使い切るまで飲むわ!」
「予算? どういうこと?」
「被召喚者福祉予算に、最終日の遊行費が含まれているの」
へえ、そんな予算があったのか。助かるな。
「それじゃあ、ヤマトの部屋で飲み会ね! ちょうどいい時間になったら、お酒と料理を持っていくわ!」
それまでに明日の準備を終わらせるか。飲んだ後に準備は大変だからな。思った以上に作業が多く、準備が整ったのは日が落ちてからだった。フェリアと合流し、部屋へと向かう。せっかくだ、酒と料理を存分に楽しもう。
朝だ。まずい、飲み過ぎた。でも出発の支度だ。二日酔いで出発を延期します、とは言えない。延期の申請をしようにも、フェリアは休眠状態に入っているしな。別れの挨拶は昨日の内に済ませたから、準備ができたら出発しよう。一般の村人が着るような質素な服を身に着ける。そこに赤色の鞘を固定し、木刀を差す。出発に備え、用意しておいた服装だ。
――数時間後、俺は空の旅人と化した。目指す場所は、多くの人間が住む大陸。一日では到着しないため、何度か浮島で夜を明かす。飛空船上で就寝は、危険だ。飛行能力を持つ魔獣や空魚が存在するからな。油断をすれば、船ごと空の藻屑へと消えるだろう。図書館に周辺の地図があったのは幸いだ。おかげで、航路の選定が捗った。
「見えた! あの島だな!」
早めに上陸し、明日に備えるつもりだ。休めるときは、十分に休息を取ることが鉄則。魔力が尽きれば、飛空船は動作を停止する。体力が尽きれば、集中力を欠き操作が不安定になる。幸い、この世界は魔法で動く飛空船が発達していた。操船を補助する魔道具もある。魔力と体力が充実していれば、近くの大陸まで辿り着けるだろう。
魔力に関しては、船の動力となる魔石も用意しておいた。万が一、自分の魔力が尽きれば魔石を使用する手筈だ。魔石の一部は旅立つ前に、フェリアから貰った。自分の船で島から出るなら、大陸まで送り届ける必要がなくなる。その分の魔石を融通してもらった。
「よし、到着っと」
慎重に飛空船を寄せ、島の近くまで辿り着いた。しかし島全体を覆う結界があるため、上陸のできる場所は限られる。外周を一回りするように、上陸地点を探していく。数分後、無事に上陸可能な場所を発見する。いわゆる港だ。
島に上陸したら、宿泊の準備。一人用の小型天幕を立てる。この天幕は魔道具の一種で、対魔獣用の防御魔法が掛けられた物だ。価格は効果によって様々だけど、手持ちの金で買えたのは八級相当の品。一級品だと上級魔獣にも耐えるらしいが、八級だと下級魔獣でも安心とは言えない。
「水は近くにあった泉を利用するとして、食料をどうするか」
持ってきた食べ物でいいか。初日だし下手に動くのは止めておこう。まずは旅に慣れないとな。本腰を入れて、狩猟も覚えたい。見様見真似での狩猟には、限界がある。魔法による収納を含めても、持ち運べる量は十分ではない。
「はぁ、今日は休もう。疲れた」
次の日、自然と目が覚めた。手早く出発の準備を進める。天幕を片付けイカダに積み込む。異空間倉庫にも入るけど、容量の残りが乏しい。この異空間倉庫魔法は習得したばかりのためか、容量が不十分である。しばらくイカダを倉庫の代わりにするつもりだ。
そして再び大陸に向けて旅立つ。一週間ほど、順調に進んだ。しかし大陸の端が見え始めたころ、大きな問題が起こる。空魚の大群に出くわした。
「まずい! こいつら魔力食いだ!」
空魚の種類には、肉食で危険な存在もいる。魔力食いは肉食より、遥かに危険な存在だ。飛空船を動かしている魔力が消えれば、間違いなく墜落する。俺は必死で飛空船を操り、大陸を目指した。船の防御結界が持たない! それでも速度は落とさず、全力で陸地に向かう。――あと、少し!
なんとか陸地の上空まで来た。しかし問題がある。大陸を守る結界に阻まれて、着陸できない。どうする? 打開策を見つけようと、思考を回転させる。そして、一つ思い付いた!
「フェリアに勧められて覚えた高速思考術が役に立ったな!」
結界と空魚が接触している場所に向けて、飛空船を進める。同時に異空間倉庫を開き、複数個の魔石を取り出した。それを――ばらまく! 中空に数々の魔石が、散らばっていく。空魚は一瞬、動きを止めた。
「今だ、突っ込む!」
予想通り、空魚は魔石に気を取られている。飛空船に向けられた襲撃が緩んだ。その隙に、全力で船を突っ込ませる。目標は空魚と防御結界の接点。空魚は結界の魔力も食す。つまり今なら結界の効力が落ちているはずだ。
飛空船と結界が衝突する。抵抗を感じるが、進めない程ではなかった。推測した通り、防御結界が脆くなっているようだ。
「落ちる!」
結界の中へ入った瞬間に、飛空船が落下を始めた。俺自身の魔力は残っている。なら原因は他にあるのだろう。気になるが、今は後回しだ。
「イカダ、召喚!」
素早くボートからイカダに乗り移る。荷物があるため、かなり狭いな。ボートは一直線に墜落した。近付いて、船の様子を確認。外傷は見当たらない。ただ魔力に対して反応しなかった。このままでは動かせないか。
船を魔力に還元――できない? ここで原因を調べるか? いや町まで行って、そこで調べた方が確実だな。今は先を急ごう。
辺りを見回すと、完全に森の中だ。空から見た様子だと、森を抜けた先に草原が広がっているはず。たしか町は草原を進んだ場所に見えた。方角の検討を付けて、歩き始める。
イカダやカヤックは使わない。荷物を満載しており、魔力の消費が激しい。また国によっては、飛空船の使用に許可が必要となる。現状が分からないため、歩いて移動した方が無難だろう。
「休息地だ!」
綺麗な水場もあるし、寝泊りできそうな小屋も複数ある。それから、魔獣除けの結界も機能していた。しかも小屋には鍵が掛けられ、怪しい人物を入れないようにできる。完全には安心できないが、天幕だけよりは遥かに休めるな。
次の日。目が覚めると、手早く出発の準備をする。上着を身に着けたところで、左腕に視線を止めた。
「あ、上着の袖が破れているな」
森を歩くのに、肌を露出させたままだと怖い。裁縫道具はあるけど、出発を遅らせたくない。荷物から布を取り出し、服の上から左腕に巻きつけた。以前、安売りしていた黄色の布だ。布は色々な用途があるからな。まとめて買っておいた。
「これでよし、と」
準備は整った。町を目指して出発だ。それから半日ほど、森の中を歩き続けた。ふと足を止めて、辺りを見回す。近くから、結界の魔力を感じる。休息地の結界と同質な気がした。今から向かえば、野宿は避けられるな。
同時に周囲の警戒を強めた。危険な場所ほど、休息の地を多く作る傾向がある。休息地間の距離が徒歩で一日か。野宿ができないくらい。危険な森かもしれない。暗くなる前に到着できればいいけど。
「……良かった、着いた」
急いだ甲斐があったな。日が暮れる前に到着した。休息地の中は、前の所と概ね変わらない。統一の規格でも、あるのだろうか。とりあえず小屋の中に入ろうと、視線を向けた。
唐突に、扉が開く。小屋の中から、一人の女性が出てきた。着物姿に刀を佩いている。綺麗な人だ。思わず目を奪われる。長く美しい黒髪と、紫の着物が似合っていた。とりわけ目を引いたのは、朱色の目立つ唇。声を掛けようとしたところで、女性の表情が驚きに染まる。
「賊!? 予測よりも早過ぎます!」
「え?」
いきなり浴びせられた怒声に、思わず間の抜けた声が出た。女性は刀を抜いて、距離を詰めてくる。魔獣とは違う、人が人に向ける殺気を感じた。とっさに木刀を抜いて、魔力を込める。突然、女性の近付く速度が上がった。
「な、なんだ!?」
「これを防ぎますか!?」
気付いたら目の前に、刀が迫っている。焦りを感じる間もなく、木刀で刀を受け止めていた。防御が間に合ったのは、自分でも奇跡だと思う。だけど相手の攻撃は終わっていない。続く二撃目も、なんとか防ぐ。同時に、その力を利用して後ろへ跳んだ。今の一瞬で理解した。接近戦では勝てない。
「火の矢、三連!」
三本の火矢を放つ。胴体に向けて二本、顔に向けて一本だ。二本は一太刀で切り払われ、一本は顔を傾けて避けられる。だけど一瞬、動きは止めた。
「追加だ!」
一瞬の隙を突き、右足に向けて矢を放つ。数は一本。詠唱を省略した魔法使用。これだと魔力消費が大きい。
この矢も、当たり前の様に避けられた。しかし、それでいい。避けられた矢は、その勢いのまま地面へと接触する。
「大地の矢、同胞と共に戒めの力となれ!」
「え!?」
地面が動き、右足を包み込むように纏わりつく。これで時間が稼げる。さきほど彼女は、俺を見て賊と言っていた。予測より早いとも。つまり俺は盗賊や山賊だと勘違いされている。誤解だと分かってもらえれば、戦う必要が無くなるだろう。
手にした木刀を離し、両手を上げる。女性は訝しげな視線を向けた。
「俺は貴女の言う賊ではありません。話を聞いてください」
「どういうことでしょう? 貴方は黄腕党の一味ではない、と言うのですか?」
やはり疑われているな。いや、待て。彼女は、今、何と言った!?
「黄腕党!?」
「まさか知らないとは言わないでしょう? この国の民なら、全員が知っている。外国からの旅人でも、入国する際に厳重な注意を受けます。決して腕に黄色の布を巻いてはいけない、と」
俺は視線を左腕に向けた。そこには黄色の布が巻かれている。これが原因か! とにかく拘束魔法の効果が切れない間に説得するしかない。早くしないと、本物の賊が来る恐れもある。
「疑うのは当然ですが、俺は黄腕党の仲間ではありません。飛空船で旅をしていたところ、空魚『魔力食い』の大群に襲われ、やむなく不時着しました」
「左腕に巻いた布は?」
「今朝、服が破けているのに気が付きまして。布を巻いて、肌を露出しないように対処しました。外しますので、確認してください」
右手を慎重に動かして、布を解いていく。片手のせいで少し手間取ったものの、布を外し終え地面に落とした。
「なるほど。その様子だと、黄腕党の一味とは考えにくいですね」
わかってくれた! 意外に早く信じてくれたな!
「しかし今の話が本当であれば、不法入国者となります。関係機関に事情の説明は必要ですよ」
「わかりました。町へ行ったら説明に行きます」
まあ、そうだよな。ただ説明だけで納得してくれるか不安だ。う~ん、故障中の飛空船を見せようか。空魚に襲われた証拠になるかもしれない。ボートの修復は、全ての事情説明が終わってからになりそうだ。
「ところで、拘束魔法は解かせてもらいますよ」
「あ、すぐに解きますよ」
「すみませんが、完全に信用したわけではありません。できるだけ魔力の操作は、控えてもらえると助かります」
それもそうか。専門の魔法使い以外だと、魔力操作の詳細な違いは分からない。拘束魔法を解除する振りして、攻撃魔法を放つ。そんな騙し討ちを警戒しているのだろう。ここは大人しく見ていよう。解除の魔法でも使うのかな?
彼女の様子を見ていると、唐突に魔力の質が変わった。変化の起点は赤い唇――口紅だ! 口紅に触れた魔力が、呼吸を通じて全身へと行き渡っているみたいだ。そして、いともたやすく拘束魔法から逃れた。
「これは魔化粧!? いや、聖化粧か!」
「あら、知っているのですか? そういえば拘束魔法の詠唱は故郷の言葉でした。もしかして同郷の方?」
明らかに彼女の雰囲気が軟化している。同郷者と勘違いしているようだ。ここは正直に否定するべきだな。後で嘘だと分かったら困る。
「違いますよ。聖化粧は本を読んで知っただけです」
その書物は島の図書館にあった。数少ない日本語で書かれた本だから、率先して読んだ記憶がある。魔化粧――魔力を込めた特殊な素材を使い化粧を施し、強力な効果を発揮する魔導技術か。読みの「まけしょう」が「負け」に通じることから、聖化粧と名を改めた。
しかし当時の翻訳魔法では、細かな表現が伝わらなかったらしい。気まぐれで、名前を変えたと思われたみたいだ。自分のこだわりが理解されなくて、大変だったと記載があった。ただ、その愚痴が数十行にも渡り辟易したな。読み飛ばそうかと思った。
「そうだったのですね。でも拘束魔法の詠唱は? 故郷の言葉でしたが?」
故郷の言葉というのは、日本語だろう。聖化粧の開祖は、日本人だったらしい。慣れない無詠唱魔法を使ったせいで、翻訳魔法が乱れたのだ。それで詠唱部分が、日本語で聞こえたのだと思う。誤魔化すのは難しそうだな。
「両親が使っていました。貴女の故郷を見ないと、同じ言葉か判別できません」
ぎりぎり嘘は言っていないはず。あからさまな偽証は、通じない気がするのだ。異世界関連は、可能な限り知られたくないから気を付けよう。
「そうでしたか。よければ私の故郷について、話をしましょうか?」
「それは興味がありますね。だけど今は黄腕党の話を聞きたいです」
本当に興味を持った。和風な文化が存在していると嬉しい。召喚された日本人が興した国もあると聞いたな。
「最大の特徴は腕に巻いた黄色の布。洗脳魔法が掛かっている危険な布です。この布を着用すると、自我や理性が薄れていきます。貴方が自分で布を外したことで、黄腕党ではないと分かりました」
そうか。何となく状況が理解できた。
「洗脳の効果は、どれくらいですか?」
「最初は少し感情的になります。布を身に着けている時間に応じて、段々と効果が上がっていくようです。それでも大半の人は、犯罪行為に忌避感を持ちます。仮に殺人を強制しようとするなら、かなり長期に渡って洗脳状態を継続する必要があるでしょう」
逆に言うと長期に渡り洗脳された人は、命令されると殺人すら行うのか。さらに一度でも身に着けると、自分で布を外そうとは考えなくなるらしい。いきなり斬り掛かるのも理解はできるか。怖かったけど。
「ところで黄腕党の一味が、この近くにいますよね。一人だと危険でしょうか?」
「その通りですね。あと貴方には密入国の疑いがあるし、できれば一緒に行動してもらえますか?」
当然だが、やっぱり覚えていたか。断ったら面倒事になりそうだし、仕方ない。一緒に行動して、危険な人間ではないと理解してもらおう。
「わかりました、同行しましょう」
「それでは町に着くまで、よろしくお願いしますね」
「ええ、よろしくお願いします」
問題は戦闘に巻き込まれそう、ということか。足手纏いになったら、迷惑を掛けてしまうな。
「それで黄腕党とは、いつごろ戦闘になりそうですか? 邪魔にならないように、どこかへ隠れていましょうか?」
「できれば手を貸してほしいですね。臨時の依頼として、組織から報酬もでます」
正直、気が乗らないな。そもそも、彼女のことを何も知らない。雰囲気からして悪い人とは思えなかったし、なんとなく信用する気になっていた。はっきり聞いておくか。
「まず貴女のことを聞いてもいいですか。後、組織とやらについても」
「あ、ごめんなさい。そういえば、名乗ってもいませんでした。私はサクラと申します」
「俺はヤマトです」
サクラさんか。和風な名前だな。
「ヤマトさん、ね。もしかして名前の由来は、異世界に存在した国名ですか?」
「どうでしょう。名付けの理由を聞いたことがないので、分かりません」
考えてみたら、本当に聞いた覚えが無い。名前の由来を発表する授業があったと思うんだけどな。なぜか記憶に存在しない。
「それよりサクラさんの状況を聞かせて下さい」
「私は魔物退治組合の者です。今回は騎士団の依頼で、黄腕党の討伐を行います。とにかく作戦参加者の数が必要で、他には魔物狩り協会にも声を掛けているとか」
たしか魔獣の被害を抑えるために、戦闘能力を重視しているのが魔物退治組合。素材の収集が目的で、探索能力を重視しているのが魔物狩り協会だったかな。
「それで依頼を受けていただけませんか?」
「……すみませんが足を引っ張ることになりそうです。お引き受けできません」
少し考えたけど、邪魔になる恐れがある。正式な依頼は、受けないことにした。しかし完全に無視はできない。
「ただ可能な範囲で、協力するつもりです」
「ありがとうございます!」
協力すると決めたのなら、何ができるか考えてみよう。まず接近戦は難しいな。次は魔法による援護射撃。正直、これも難しいか。連携訓練なしで魔法を使えば、味方に当たりかねない。できるとしたら、敵が近づく前に牽制するくらいだ。後は回復魔法だな。これは有用だろう。
「とりあえずケガをしたら、言ってください。初歩の回復魔法なら使えます」
「治癒術師ですか! それは助かります!」
なんか予想よりも、反応が大きい。もしかして過大評価されているかも。初級の回復魔法だと念押ししておこう。
「本当に初歩だけですよ。重傷は治療できません」
「その場で止血ができるだけでも、ありがたいです」
「協力するとして、少し打ち合わせしましょうか」
一通りの話を終えた後、俺は妙な気配を感じた。




