1章 1 卒業式
来たるこの日、まだ寒さは抜けきっていない中、卒業式が行われた。
「おい彼方!俺ら、もうすぐ高校生だぜ!そしてたっぷりの遊ぶ時間が待っているのだ〜!やっふ〜!!」
「駿樹はいいもんなー、あんなカワイイ彼女さんがいるんだからなー、マジでズリいよ」
「ははん、そうだろそうだろww」
二人の視線の先にはとある女の子が。
神城和瑚。
成績優秀にしてスタイル抜群。また、清楚美人として学校の男子に学年問わず人気のある女子である。
一部…いやほとんどの男子からその可憐さから『天使さま』とも呼ばれている。
その和瑚と俺-瀬早駿樹は、はるばるもう三年も付き合っているのだ。
俺があの可愛い笑顔に一目惚れしました。てか、しない人いるのか??
告白した時は当たって砕けろぉぉぉー精神だったからな…。OKもらった時は何度も聞き返してしまったよ。
あの和瑚が付き合ったという事実は学校中に激震をもたらしたみたいだ。
ちなみに彼方曰く、俺も和瑚ほどではないが意外にもモテているらしい。ボケにも限度っちゅうもんがあるだろ。
「そういや駿樹、春休みに天使さまとの予定はあるのか?」
「当たり前だろっ、映画にショッピング、水族館まで行く約束してるんだからな!」
「うわっ、やっぱお前ら次元違いすぎるわww」
「羨ましがっとけww」
「お前相変わらずだるっww」
そんな負け惜しみ…こっちも悲しくなるよww
そうやって良き親友-溝口彼方とわいわいがやがや話してると、
「しゅんく〜ん!!」
天使が降臨されました。はい。とても可愛いです。人目があるところだが、そんなの気にしないんだ俺はー!
「わこり〜ん!!」
「しゅんくん、聞いて欲しいことがあるの!」
わこりんの満面の笑み、いただきました。
「なになに?もしかして次のデートプラン?」
「ううん、そういう話じゃなくてね!」
「そうなの?それで!?」
「あのね、別れよっ!!」
うん!…うん??き、聞き間違いか…?
「い、今なんて…?」
「別れよって言った!」
「なんで…?え、どうして?わこりん、俺のこと嫌いになったの??俺なんか悪いことしたのか!?」
「んーとね、だってやっぱりしゅんくん面白くないもん!」
理解できない。頭が追いつかない。
あの天使のわこりんがこんなこと言ってくるなんて思ってもいなかった。
「それにね、高校生ならもっといい彼氏作れると思うんだ!」
「あ、ああ…そうなのか」
もうこれは無理なんだな…ww。
「じゃあ、もういい?そろそろ人、いっぱいきちゃったよ?」
「ああ、いい。」
もう返す気力もないよ…ww
俺は立ったまま思考が停止してしまった。
___
「OK!それじゃあね、瀬早くん〜!…3年間も騙されてくれてありがとっ!おかげで楽しかったよww…」
「待て!お前今、何つった?」
なんかいい予感がしない。悪い前兆だ。
「溝口くんか〜、聞こえちゃったww?」
「お前今の正気か?」
あの天使さまと言われている神城和瑚が言ったとは思えないんだが。
「やだな〜、そんな怖いふうに言わないでよww。ただ和瑚は瀬早くんと遊んでただけだよ?」
「ガチなのかよ…、おい、謝れ駿樹に」
許せない。あんなに素直に接していた駿樹がこんな目に遭うのは。
「なんで?和瑚は悪くないよ?」
「はぁ、もういいよ。」
こんなに話が通じない奴だとは思っていなかったぞ。
「そうなの?なら友達も待ってるし行くね〜!せいぜいソイツと仲良くしてればww?」
「……。」
とりあえず駿樹の心が落ち着くまでは伏せておこう。今はそれが一番アイツのためになるはずだ。
___
「…nき!駿樹!」
「んん…あぁ、彼方か。」
「お前大丈夫か?」
そうだ、俺は和瑚にフラれたんだ。
「ああ。一旦落ち着いたよ。」
「…そうか」
「……。やっぱりフラれたの悲しいよおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「いや、全然落ち着いてなくない!?」
「ふう。」
「まあ、高校で頑張れよ」
「そうだなww」
こんな感じで俺は3年間付き合った彼女にフラれ、中学校生活の幕を閉じたのだ。
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