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94:薬と毒



「ど、どうしたの急に、首なんてかしげて……」


 ブロックスの守護連合本部の食堂で、ダクマやエリアちゃん達と食事をしていた所、エリアちゃんは唐突にじっと俺を見て、薄目で首をかしげた。


「いや、うまく言い表せないけど、シャヒル殿の雰囲気がいつもと少し違う気がする。何かあった……?」


「え? 雰囲気が違う? いや特に何もなかったと思うけど……まぁ例のごとく意識があっちに行っちゃって倒れたぐらいで……他は……」


「それは本当? うーん、たしかに嘘を言っている感じはしない……ガルオーン殿、何か知らないか? シャヒル殿の自覚がない所で何かあったのかもしれぬ」


『えぇ!? ワシ!? ワシは何も知らんぞ!? いや~特に何もないんじゃよ!』


 ガルオーンが慌てた様子で、俺とエリアちゃんから目を逸らして答えた。あ、怪しすぎる……


「なるほど、話す気はないと。まぁいいでしょう。ただ一つだけ教えて欲しい、それは彼にシャヒル殿にとって悪影響のあることなのか?」


『いや、悪影響はないんじゃないかのう? 多分……少なくとも悪意のあるコトではないんじゃよ』


 ガルオーンがそう答えるとやはりエリアちゃんは薄目で疑いの眼差しをガルオーンに向けた。しかし、ちょっとするとため息をついてエリアちゃんは元のクールな状態に戻った。


「まぁ悪影響がないのならいいとしよう。それはそうと、シャヒル殿の意識喪失現象については対策をしなければ。なのでシャヒル殿に提案があります」


「提案? どうにかできるの?」


「さぁ、前例がないので良くなると確約はできない。探り探りでもやっていくしかない……提案というのは修行というか、シャヒル殿の魂を改造すること。具体的にはシャヒル殿の魂がよく伸びるようにする。こうモチみたいにうにょーんと、できるように」


「うにょーんと? 伸ばせるように? え!? それ大丈夫なの? なんかヤバそうだけど」


「シャヒル殿の魂が精神世界へ行っている間も、その魂は肉体と繋がっている。もし接続が切れていれば再び肉体に戻ることはない。例えるなら肉体と魂がヒモで繋がっているようなモノ。そしてそのヒモも、魂そのものと言える。しかし、ヒモ程度の意識がないために、意識を失っている間は精神世界の方しか認識できない」


「なるほど? 肉体に残せる魂、意識を大きく、太くできれば、気絶しないで済むかもしれないってこと?」


「なぁエリア、シャヒルをモチみたいにするってどうやるんだ? やっぱ餅つきするのか?」


 ダクマ……こいつ本気で言ってる? 言ってそう……顔がマジだ。ふざけてない……


「毒を使う」


「ぎゃああああああああ!!! どのみちヤベーじゃんか!!」


 そんな……エリアちゃんはまともだと思ってたのに、俺に毒を使うなんて……


「まぁ少量から慣らしていけばいけるかと。魂溶草という文字通り魂を溶かす毒草がある。基本的に敵対者を殺すために用いられるけど、過去には魂が硬化する呪いに掛かってしまったエルフがそれを治すのに試したという文献を見たことがある」


「試した? 結果は?」


「エルフ本人は行けそうだと手応えを感じていたようだけど、失敗して死んでしまった。魂はドロドロになって消えた。そういったこともあって、魂溶草は使うなというのが薬草学では常識となった」


「じゃあ使うなよ!! 死ぬじゃん、絶対……俺、そんなリスク冒せないよ……」


「私とシャヒル殿ならできるはず。私もシャヒル殿も魂を認識できるから。さっきの話のエルフは魂が見えていない。なんとなくの存在が感じられる程度だったはず。何故ならそのエルフは精霊を経由して情報を得ていたから。はっきりと魂が見えないから精霊を頼っている、そう推測できる。私やシャヒル殿が持つ魂を認識できる力、おそらくかなり稀なこと。サイディオスに戻って王族の書庫にある文献を漁ったけど、魂が認識できると思われる人物はたった二人だった。数千年のうちに二人だけ。もちろん……エルフだけの話ではあるし、抜けもあるだろうと思う。が、かなり例外的な存在というのは分かる」


「……そ、そんな希少な力なの? まぁ、エリアちゃんは才能なんだろうけど、俺はベイカルの神殿創造時にあっちに行っちゃったり、呪いで現実世界と精神世界を行ったり来たりしたせいだろうな」


「どちらにせよ、魂が認識出来ているのには変わりない。例えるなら我々は味見をして料理ができるが、件のエルフは味見ができないまま調理したといった所か。素材の味も分からず、なんとなくでやれば失敗するのは当然だと言える」


「……うーん、なんか……聞いてたら、いけそうな気がしてきたな」


「そう思わねば提案などしない。私もシャヒル殿に死んでもらっては困る」


 ということで、俺は自分の体、魂で実験改造を行うことになった。結局リスクがあると思っても、俺はエリアちゃんの言う事を信じてしまった。


 直感が鋭い子が言ってるからか、こちらとしても、うまくいくんじゃね? と根拠なしに思ってしまう。


 実際、ベイカルでの神殿創造が始まった時、エリアちゃんに走れと導かれなければ、彼女の直感に従わなければ、ベイカルの住民も、ベイカルにいた守護連合の仲間もきっと全滅していただろう。


 それだけじゃない、ベイカルの特別性ミスリルドラゴンが完成していたから、どうなっていたか……敵の、モラルスの計画が完全な形で遂行されていたなら、きっと……もっとヤバイことになっていたはずだ。


 魔法のある世界での、精度の高い直感というのは、本当にある”力”なんだ。





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