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83:傲慢の贄



「一体何が起きているんだ……神殿……なのか?」


 秘密裏に死克や守護連合に協力してくれている四豪商、グリーンマイト家の次期当主、パスカールさんに会うために彼の拠点に赴いた所、俺とエリアちゃん、守護連合所属の仲間達以外の人々が突然光り始めた。


「一体なんなの……これぇっ……あ、アタシも意識が──」


「ぱ、パスカールさん!!」


 先程まで問題なさそうだったパスカールさんまで目が虚ろとなり、光り始めた。パスカールさんは俺の呼びかけにはまるで反応しない。


「シャヒル殿……皆、移動を始めたぞ。どうやら操られているみたい……先に光りだした者達に合流した」


 エリアちゃんの指摘通り、ベイカルの人々は皆操られた様子で、ベイカルの各地にある境界線のラインの上に並んだ。


 そして、人々から出る光が次第に強くなると、それは光の柱となった。


「間違いない……パスカールさんが言っていた神殿だ……それにこの感じ……サイシューを取り憑いたダグルムが展開したダークゾーンに似てる。多分……一定以上の力のある存在でないと、あの光に操られてしまうんだ」


「では、最初に光りだした者たちは? 一体どういう違いなのか……」


「最初に強く光りだしたのはベイカル外縁部、そして次に中間域の光が強かった。これは望濫法典がばら撒いていた麻薬が流行っていた地域だ。望濫法典は何故かアレをばら撒くことに拘っていたし、多分関係あると思う」


「なるほど……では望濫法典はあの薬物を使って、人々を操るための準備をしていたのか。そして操った人間を使ってさらに操る人間を増やす……魂を支配し、ベイカルの人々の魂、集合意識の上に神殿を作っているのか? だとすれば、精神世界もしくは精霊、神の次元に神殿を創り出すつもりなのだろうか……?」


「ど、どどど、どういうことエリアちゃん!?」


「地上にただ神殿を作っても、そこに神や精霊が存在できる場が、精神世界になければ意味がない。神殿を機能させるには地上と精神世界にそれぞれ神殿を創り、それを繋げる必要がある。それらが繋がるポイント、地上の座標として望濫法典はベイカルを選んだ。そして奴らは人々の魂の力を使って神殿の精神体を創り出そうとしている……問題は、望濫法典が神殿を創って何をしようとしているのか……?」


 エリアちゃんの考察が正しいとして……望濫法典は何をしようとしているんだ? 正直な所、望濫法典は世界を滅ぼそうとしているのでは? とか雑な目的の予測はあったけど……神殿を創って……何を……


「神殿ってことは……そこに神なり精霊が降りるわけだろ? 望濫法典と関係のあるダグルムは神と相反する力を持ってる。そんな望濫法典が呼ぶ神なんて存在するのか? だって神とは相性悪いわけだろ?」


「……いやダグルムと相性のいい神はいる。神話では虚無の神がダグルムを創ったとある。虚無の神か、それに連なる神や精霊なら……」


「本当にそうなのか……?」


「シャヒル殿何か思う所が?」


「エリアちゃんの言い方だと、まるで望濫法典はダグルムのため、もっと言うとダグルムを生み出した勢力のために動いているようだけど……俺には望濫法典の幹部たちは、そんな従順な存在とは思えない……というか、そんな程度の存在であったなら……アルーインさんが、望濫法典のトップ、モラルスを恐れるとは思えない」


 エリアちゃんは俺の反論に少し驚いた後、顎に手を当て考え込む。


「それはシャヒル殿の、ただの直感ということか……しかし、私も自分の考えに何とも言えないモヤモヤを感じていたところだ」


「アルーインさんは対人戦における世界最強クラスのアダムと命がけの戦いをした時、死のリスクを認識しつつもまるで恐れていなかったし、世界を滅ぼす力を持つリバースピラミッドのボスを毎日作業感覚で倒してる人だ。そのボスだって、それこそ神のような存在だろう。でも……まるで恐れていない……ただの神では、彼女に恐怖を感じさせるには不十分。だとすれば……この神殿創建を計画したモラルスもまた、神を恐れないかも」


「……シャヒル殿はアルーイン殿を高く評価しているのだな。だが神を恐れぬモラルスは、神殿創建で何をする? 傲慢な人間であるなら、何を考える……?」


「傲慢な人間か……俺はモラルス本人を知らないからなんとも言えないけど。傲慢であるなら、自身より上の存在なんて認めないのかも。それが例え、神であっても。己自身を……神に? それか、自分に付き従う、自分のための神を生み出す?」


「……なるほど……そうか。大胆な予測、しかし……何故だかしっくり来る。私の直感というのもあるけれど……シャヒル殿の予測は今のこの状況を説明できる。ベイカルの住人の集合意識を使って神殿を創るなら、精神世界での神殿を創った後、集合意識を生贄、リソースとして使える。己を神とするか、新たな神を生み出すか、どちらに利用するかは分からないけど……」


「もし、そうなら……俺たちが今ここで対処できなければ、ベイカルの全住人は全滅する。街全体を生贄とするような行い……絶対に食い止めないと!」


 ──ガンガンガンガンガン。


「なっ……」


 激しい音が響いたと思ったら、神殿を構築していく人々から伸びる光が、完全に神殿らしい”形”となった。


「透けて……る?」


 神殿らしい形になったと思ったら、光の神殿は透けていって、肉眼では見辛くなっていった。


「──まずい!! 走れシャヒル殿!! 神殿へ! 次元上昇だ。神殿が上の位相に向かっている。今行かなければ! 置いていかれる! シャヒル殿なら間に合う!!」


 エリアちゃんの叫びと同時に、俺は神殿に向かって走りだす。色んな疑問、思考が頭を過るけど、悩んで、迷ってしまったら、間に合わない。そんな感じがしたから。


 俺は真っ直ぐに走った。ただ神殿へたどり着くことだけを考えて、ひたすらに走る。


 走って、走って、思いっきり飛んだ。そうして光で出来た神殿に手を伸ばす。実体がないはずの光で出来た神殿の外壁を、俺は掴むことができた。


「つ、掴めた……?」


『の、ようじゃな。シャヒル……下を見るんじゃ』


 実体がないはずの神殿に触れることができたことに、俺が疑問を持っていると、ガルオーンに下を見るように促される。


「なっ……あれは……俺の体……? じゃあ、今のここにいる俺は……」


『ああ、シャヒルの精神体、魂だけが……この神殿の移動に着いてきたんじゃ!!』





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