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68:謀殺計画



「守護連合がボクらのことを調べてるって? そりゃ当然だろ? ベイカルで望濫法典と戦うってんなら、ボクら死克の存在は無視できない。ボクらが手を組むべき存在がどうか見極めたいんじゃない?」


 死克の聖女ロイスは、シャヒルがケリスを倒したのを見て、守護連合の邪魔とならないよう、関係性を疑われない程度の、陰ながらの支援を守護連合に行うと決めた。


「ボクだったら、もっと血みどろな解決方法しかできなかった。でも、守護連合てゆーか、シャヒルくんだよね。あの人のおかげで、結局死者はケリスの一人だけで済んだ。はっきり言って奇跡に近い……確かにケリスに勝ったのは奇跡っぽいんだけど、でも……死人が、悲劇が少なく済んだのは、偶然なんかじゃない。あの人がそれを望んで、そうなるように行動できたから……」


「ロイス、彼を評価したいのは分かりますけど、はっきり言ってリーダーとしては失格ですよ。体を張りすぎです……足りないピースを、自分の命で補うようなやり方……あまりにも危うい……ま、そういうのはロイスも同じですから。あなたは何も思わないんでしょうけど……」


「うるせぇよジェイド。命張らなきゃ守れねぇんだから仕方ねぇだろ!」


 へいへいと生返事のジェイド。ジェイドは納得いっていなかったが、年下のロイスに叱られ続け、いつの間にか上下関係を受け入れていたので、それ以上の意見はやめ、彼女を理想、意思をどう現実化するのかを考える。


「……ロイス、あなたの方針は、陰ながら守護連合を支援と言いましたが、本当にそれでいいんですか? どうも、あなたの性格とは噛み合わない判断だなと思って」


「な、何が言いてぇんだよ! ボクが脳筋バカだって言いたいのか? ボクだって時には慎重に動くことも……」


「いや、その……もし、守護連合と正式に組んで、共同戦線を張りたいのなら、そうしてもいいかなと。あの一件で民衆達は守護連合を認めたし、民衆達も、死克と守護連合の共同戦線を望んでいる。実際今日も、守護連合と組まないのかと、鍛冶屋のおやっさんにも聞かれました。民衆が、我々と守護連合を繋げるように、勝手に動き出すのも時間の問題かもしれないと考えています。組めば、ベイカルの支配者達を打倒できると、確信しているんですよ」


「……どのみちそういう流れになるから、今のうちに組む方向性で動け、そう言いたいのか? まぁ、ジェイドの言うことにも一理あるけどよ……死克と守護連合じゃ、基本理念が違い過ぎんだろ。そりゃ、ボク達だって最終的には平和を目指しているわけだけど……死克はそのために皆死ぬ覚悟がある。敵を殺して死ぬ覚悟がな。守護連合は守るために存在するけど、ボク達は悪を倒し、殺すために存在している。やり方の相違で食い違うのは目に見えてる」


「どうしてもですか? もう、良いんじゃないですか? 復讐心に囚われて、自分たちが変わるキッカケを手放しても、私達は幸せにはなれない……」


「──無理だね。死克を一つにしているのは怒り、復讐心。ボクはやつらを許すつもりはない……ブッ殺す、絶対にだッ! ボクの神は、その炎を止めるなと、ボクを後押ししてくれている」


 ロイスの右腕の十字傷が光を放つ、炎のように煌めく、魔力は、ロイスの言葉を、復讐心を肯定しているかのようだった。



◆◆◆



「おいおい、どうなってんだ? ケリスを死なせただけじゃなく、反抗勢力を殺すどころか、勢いづけちまってんじゃねーか。殺されてーのかよ」


「なんだとっ……!? 我々は対等な関係のはずだ! そのように上からものを言うのはやめてもらおうか! ったく、なぜナンジュースではなく、この男が交渉役なのだ……」


 望濫法典の幹部であり筋骨隆々の粗暴な男、ドルカス。彼はベイカルの支配者達の失態を叱責、そして交渉するために、ベイカルの中央へとやってきていた。


 四豪商家のブルーマイト家の屋敷で、四豪商のトップ達四人とドルカスで会議を行っている。


「あァッ!? ナンジュースだとッ!? 二度とその裏切り者の名を口にするんじゃねェ!! ブッ殺すぞ!?」


 ドルカスはオレンジマイト家の当主、アルロースがナンジュースの名を口にした瞬間、声を荒らげ、会議に使っていた机を叩きつけ、一撃で破壊してしまう。


 机は破壊されて木片となり、破壊の衝撃と共に勢いよく飛び散った。


 木片がアルロースの頬をかすめ、彼の頬を深く切り裂いた。


「ひ、ひぃ!!」


 アルロースは元から威圧的な見た目のドルカスのことを強者だろうと、そう認識していた。しかし、アルロースはドルカスが王宮に使われるような対破壊の術式を組み込まれた頑丈な高級机を、一撃に破壊するほどの化け物だとは思っていなかった。


 結局、この破壊を見て、アルロースは初めて自身の見た手違いを認識することになり、それからアルロースは嘘のように大人しくなった。耳障りな小言が口から出そうになれば、口を抑えて、止めるほどに、アルロースはドルカスに恐怖していた。


「チッ、最初からそういう程度でいいんだよ。謙虚さは大事だぜ? まぁでも、めんどくせぇよなぁ? いくら俺様が強かろうと、見た目がただの人間じゃぁ、そう強くは見えねぇ……化け物がうじゃうじゃいる世界じゃ尚更な。俺が見るからにつえーと、化け物だとわかる見た目だったら、話もはえーんだがな。はぁ、もっとバケモンみてーな見た目に生まれたかったぜ」


「ははは、それは面白い着眼点ですねぇ。それでドルカスさん、望濫法典の我らへの要求は? 我らに何をさせたいのです?」


 四豪商家の一家、ブルーマイト家の当主、ブルーマイト・ドン・ジェイス、糸目のか細い男がドルカスに対応する。他の当主達が怯える中、ジェイスだけは落ち着いた様子だった。


「ま、大体は今までと同じだよ。反抗勢力を叩き潰し、俺らの作ったヤクをばら撒く。できるだけ多くの廃人を作れ。今までと違うのは、守護連合対策だ。特にリーダーのシャヒル、あいつを殺せ」


「リーダーのシャヒルの殺害ですか。しかし、ケリスさんでも殺せなかったあの男を、我々の力で殺せるでしょうか?」


「ちゃんと、わかってんじゃねーかブルーマイトの。俺らだってテメェらだけでシャヒルをやれるとは思ってねぇよ。どうやらあいつはレベル以上にやるヤツっぽいからな。でなきゃ、ケリスが負けるなんてありえねぇ。だからよ、しっかりと計画を立て、ヤツを殺す。ヤツが孤立する状況を生み出し、確実に殺す。まぁあれだ、善人ぶってるバカを引きずり出して罠にハメるのは難しいことじゃねぇ、問題はその先だ。単純な戦力の問題だ」


「ええ、ですからその戦力問題はどう解決するので? ドルカスさん自らが手を貸していただけるなら、こちらとしても楽なのですが」


「いや、残念ながら俺が直接やんのは無理だな。最近、色々と忙しくなっちまってよ……ベイカルばっかに構ってるわけにもいかなくなった。どれもこれも、ナンジュースと、雑魚死したケリスのせいだ、クソがッ……ま、だからお前らに戦力増強のための、方策を授ける。これを使え、俺ァ、こいつのことは詳しくしらねぇ、一緒についてる説明書を読んで勝手に使え。んじゃ、俺はこれで帰る。ま、期待しねぇで報告を待っとくよ」


 ドルカスは大きな瓶をアイテムボックスから取り出し、机に置こうとしたが、机がないので、床に置いた。瓶の中には緑と黄色の液体が蠢くカプセル錠剤が大量に入っていた。床と瓶の間に挟まれた薬物の説明書はドルカスが乱雑に扱っていたためにクシャクシャだ。


 そうしてドルカスが去っていった後、ブルーマイト家の当主、ジェイスはクシャクシャの紙切れと拾って読んだ。





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