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41:惹かれ合う運命◆挿絵


「ここってもしかしてカイティス王とエージーが話した小屋か?」


「ああ、そうだぜ! つってもオレは憶えてないけど! エリアはサリアからその話聞いてから、あそこを気に入ったらしくてさ。お義父さんにせがんで貰ってた」


 サイディオスの森の近くにある小屋……石みたいなので四方が囲まれてるな……結界かなんかかな?


「エリアーーー! でてこーい! 父さんの親友が来てくれたぞ~!」


 っはは、記憶もないってのに、親友だったって話聞いてすぐに受け入れちゃうのが凄いよな。これも記憶がなくとも心が憶えてるってやつなんだろうか?


 ──ドタッ、ドタドタドタ!


 小屋から物凄い物音がしたと思ったら、その瞬間、ダンっと勢いよく小屋のドアが開けられた。小屋の中から青と金髪のエルフが出てきた。見た目は人間でいえば17程度に見える……顔はエージーにちょっと似てるけど、表情がまるでエージーと違うな……なんというか鋭く、キリリとした感じ……


「……」


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 青と金髪のエルフ、おそらくエリア氏は、小屋の前にいる者たちを見渡す。首を右から左へ動かしていく中、俺の方を向いた時、首の動きがピタリと止まった。そして、俺の太ももを見るとニヤリと笑った。


「間違いない……足が太き者だな」


「っぶ、はははははは! シャヒル! 足が太き者だってよ! だ、だせぇえええ!!」


「う、うるさいなぁ。そうだよ、俺ね? エージーと親友っていうのは」


 滅茶苦茶に笑うエージーに怒りを覚えながらも、俺はエリアに話しかける。


「もしかして世界を救う定めを持ってたりする?」


「なっ……なぜそれを……皆分かってくれなかったのに……いや、父様の親友であるならそれも分かって当然か……」


「えええええええええええ!? エリア、お前……マジか……そうだったのか。お前の言う特別ってそういう意味だったのか……」


 なんと俺の予測は正しかった。まぁ、奇跡の確立で生まれた特別な生まれの子だもんな。自分のことを特別だと思ってもおかしくない……


 まぁ、俺もエリアちゃん? が本当にそういった世界を救う定めを持ってるとは思っていないけど……その一方で、本当に特別な能力を持っていてもおかしくないと思っている。


「父様はやはりエルフになったことで霊性が劣化している。私や父様を守る、異世界の神が見えぬとはな……だが……やはり父様と仲が良かったということは、今まで神霊に排除されなかったということで……その時点で、神霊に気に入られているか、善良であるかのどちからか……」


 エリアちゃん、めっちゃブツブツ言ってる。そんなエリアちゃんをエージーやサリアさん、マイティス王子は可哀想なものを見るような目で見ていた。う……確かに、こういった視線に晒されていたのだとしたら、エリアちゃんが反抗期になるのは無理もない……


「神霊? 異世界の神? どういうこと?」


「ん? 見えないのか? ふーむ、しかし……異世界の存在だとすれば、私と共振させれば見えるのではないか? シンクロ・トーン!」


 【シンクロ・トーン】


 ──魔法耐性を上昇させる音を放つ風魔法。風属性、魔法、使用回数制限?/?。


 エリアちゃんから振動波が発生し、それは俺に当たると、俺の内部へと浸透し、俺を内側から振動させた。身体がっていうより、脳? いや、もっと先の……まさか、た、精神、魂に作用してるのか!?


「え、エリアちゃん? な、何を──えッ!?」


 俺は目を疑った。何故ならエージーとエリアちゃんを上空から見下ろす、超巨大な鳥のような巨人がいたからだ。さっきまでこんなのいなかったのに……


「こ、こここ、この鳥みたいな巨人が神霊!?」


「お、おおお! やはり見えるのか! やっぱり私の理論は正しかったんだ!」


「おい、娘、余にもその魔法をかけろ。シャヒルばかりにズルいぞ! 余もその遊びに混ぜろ!」


 何故かムっとしているダクマが、エリアちゃんにシンクロ・トーンの発動を要求する。エリアちゃんは少しキョトンとしていたが、まぁいいかといった感じでダクマにもシンクロ・トーンをかけた。まぁシンクロ・トーンは攻撃魔法じゃないし、多分ダクマも無効化しないだろうけども……


「お、おおおおお!? でっっか、え!?」


「え、え!? 何それ……なんなのこいつ……」


 エリアちゃんを見下ろす鳥の巨人を指差すダクマ、ダクマの上空を指差すエリアちゃん。エリアちゃんが指差す方を俺も見てみると……は?


 巨大な黒い鎧武者のようなものがそこにはいた。白く長い髪が触手のように蠢いていて、明らかに危険な感じの雰囲気をしていた。


「シンクロ・トーンが変質して私に反射されたのか? だからあの娘についていたのが私にも見えたのか? まるで、ラアトゥムと危険な神霊が混ざりあったかのような……足のふと……シャヒル殿、そこの娘は何者なのだ? それも異世界と関係のある者なのか?」


「えっと、説明難しいなぁ……」


「余は魔王の落胤。シャヒルの妹とシャヒルの写身の子だ! くだらぬ運命を破壊する者だ」


「な……に……? お前もそうなのか? 私と同じ、世界を救済する者だというのか?」


 やばい……エリアちゃんとダクマが文字通り同調シンクロしてしまっている……ど、どどど、どうしよう……?


 とりあえず、このままダクマに喋らせると変な感じに誤解されそうだから。時間はかかるけど、しっかり説明したほうがよさそうだな。


「あーちょっとまって。時間かかるけど、ちゃんと説明するから……」



◆◆◆



「なるほど……そのような特殊な生い立ちであったのか……それならば、あの奇っ怪な存在にも納得だ。いわば二つの世界の存在の純粋な融合体、二つの世界の性質を持ち、世界と世界を繋ぐ力を持つ、その繋ぐ力が、強大な何かと繋がった、そういうわけだな」


 俺はとりあえずダクマの生い立ちだとかをしっかり最初から最後まで説明した。エリアちゃんは俺の説明を受けると何か納得したようだった。


 エリアちゃんの話はやっぱりよく分からないけど、なんとなく彼女に霊感的なものがあるんだろうというのは分かる。俺としても彼女と同調した結果、実際に鳥の巨人の神霊を見てしまったわけだし……


「けど、あんな強そうなのの力を使えたらどうなっちゃうんだろうな。怖いと思ったけど、正直カッコイイし、ちょっと羨ましくもある……」


「マジ!? そんなダクマちゃんについてるのかっこよかったの? 絵に描いて見せてくれよ!」


「あ? ああ……ちょっと待てよ?」


 エージーにせがまれたので、ダクマについていた鎧武者的なのを絵に描いてやる。


「お、おおおお! うまいなシャヒル。余が褒めて使わそう」


 滅茶苦茶背伸びして俺の頭を無理やり撫でるダクマ。


「かっけーーー! こりゃあれだな。能力バトル漫画に出てくる化身的なアレだな! ん……? あれ? 能力バトル漫画ってなんだ?」


 エージー……能力バトル漫画の概念は憶えていたのか、それとも思い出したのか?


「おそらく、私とシャヒル殿、ダクマが出会ったのは偶然ではない。強い運命同士が惹かれ合い、道が交わったのだと思う。よし、父様、母様……私はサイディオスを出るぞ。シャヒル殿と同行し、共に世界を救って参る」


「ええええええええええええええ!?」


 そんな驚きの声をあげたのは、この場にいたエリアちゃんとダクマ以外の全員だった。





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