第11話 〇〇になってしまった。
この話は、4つの話を結合しています。
【おでんになってしまった。】
いい湯だな〜。
懐かしさを感じる優しい香りといい湯加減で、身も心も温まっていく感覚がする。
あぁ、そうだ。俺は、おでんになったんだ。
俺はずっと三軍なんだと思っていたけど、こんなに人の笑顔を引き出すポテンシャルを持っていただなんて。
俺は、おでんになるために大根に転生したんだな。
人に食べられるって、こんなにも素晴らしいことだったのか。
おでん最高ー!
こうして俺は、二日で食べ切られたのだった。
【切り干し大根になってしまった。】
うおぉ〜。体からじわじわと水分が抜けていって、カラカラになっていく感覚がする〜。
と思ったら、今度は体の中へ水分が入ってきてるぞ。
なんだ、これ。
これが、“整う”というものなのか。
あぁ、そうだ。俺は、切り干し大根になったんだ。
俺は「尖ったやつだ」って言われたこともあったけど、こんなにもお袋(概念)のように優しくなれたんだ。
人に食べられるって、こんなにも素晴らしいことだったのか。
切り干し大根最高ー!
こうして俺は、二日で食べ切られたのだった。
【大根のべっこう煮になってしまった。】
甘さと辛さの入り混じった香りが漂ってきて、文字通り俺の全身を刺激してきている。
あぁ、そうだ。俺は、大根のべっこう煮になったんだ。
「君ってどっちつかずなんだね」って言われたこともあったけど、甘くても辛くても、どっちがあってもいいじゃないか。
俺ってこんなに輝けたんだ!
俺は、大根のべっこう煮になるために大根に転生したんだな。
人に食べられるって、こんなにも素晴らしいことだったのか。
大根のべっこう煮最高ー!
こうして俺は、一日で食べ切られたのだった。
【たくあんになってしまった。】
なんだか辺り一面に独特な匂いが漂っている。でも、嫌じゃない匂いだ。
ボリボリッと、歯切れのいい音がするどんどんそれがクセになり、快感へと変わっていく。
あぁ、そうだ。俺は、たくあんになったんだ。
俺の体から、EDMのいい素材になりそうな音が出てるなんて、最高すぎやしないか。
俺は、たくあんになるために大根に転生したんだな。
人に食べられるって、こんなにも素晴らしいことだったのか。
たくあん最高ー!
こうして俺は、一週間以内に食べ切られたのだった。




