表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大根転生  作者: 大岫千河貢
この話はゲームの構成を意識して書いています
1/14

プロローグ 大根にハマってしまった。

「何回見てもクセになるな」


 俺は今、大学から帰宅している途中だ。1時間電車に揺られ、最寄り駅から家までの大通りを歩いている真っただ中である。そして帰宅のお供はというと、今SNSで大バズり中の動画だ。

 その動画は、EDMにノッて足の生えたような大根が宇宙をバックにしたり、渋谷のスクランブル交差点をバックにしたりと、いろんな背景の中ステップを踏んで踊っている動画となっている。

 今日はまだ4回しか観ていないのだが、最低でも毎日10回は観てしまうほど、俺はこの動画の中毒性にハマっている。


「あっ」


 ノールックでリュックのポケットへ入れようとした定期入れが、ポケットをカスり手から離れた感覚がした。視線をスマホから外し、歩いてきた地面に落とすと横断歩道の真ん中に、見慣れた定期入れの姿があった。俺はそれを拾おうと、定期入れのある方向に足をやり、しゃがんで手を伸ばす。


「きゃ! 危ない!」


 定期入れに手を伸ばしたのと同時に、女性の叫び声が聞こえてきた。人間の勘とは不思議なもので、悲鳴のぶつけられた先がわかってしまう。

 俺は首を横に曲げると、目の前にスピードを落とす様子のないトラックの姿が飛び込んできた。


「きゃーーーーーー!!!」


 トラックと俺の衝突は一瞬だったものの、またも響く女性の叫び声から俺が宙に舞う動作からなにもかも全てがスローになる感覚で、倒れた先に見えた信号の青い点滅が、EDMのリズムに合っているという発見をこんな時に得てしまった。

 “2月17日14時頃、男子大学生(20)がトラックに跳ねられ死亡”って報道されるのかな……なんて、わかりもしない未来のことが痛みを紛らわせるためか、冷静にも頭に流れ、視界が暗くなっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ