1話-7
『Silent Night』-1-7
(ふぅ…メシ食ったし…どっか適当なところで昼寝でもしないと…
…ん?)
学校の二階…用具室…
使われない物が沢山置かれた場所…
滅多に開く事は無いその場所…
しかし、その部屋からしかいけないベランダに何故か人陰があった
(誰だ?
…行って見るか)
本来なら面倒事が嫌いな俺でも
多少の知的好奇心を刺激されればそんなところぐらいなら簡単に行く
…
『…鍵は……』
ガラッ
『…開いてる』
自分でも笑みをこぼしてるのが充分にわかった
『……中は…ガラクタばかり、か』
別に俺はここに宝探しに来た訳じゃない
興味があるのは…ベランダだ
ガラッ
「ん?」
『よっ……と
…え?』
…もし、俺の目の前に居る人物が学生なら
制服を着ているはずだ
しかし、普段着を着ている
なら、教師なのか?
と、思っても
若すぎる
そして、
性別の判断がつかない
男でも女でもするようなショートカット
男性的でも女性的でも無い
間を取ったような顔つきと体つき
服装でも判断出来ない
第一印象から謎の人物だった
「君は…確か…優海蒼真君だね」
『……?
何で、俺の名前を?』
「…暇潰しにね
全校生徒の顔と名前を覚えたんだ」
『な?!』
「自己紹介がまだだったね
ボクは司堂一葉だよ」
『司堂一葉…さん?』
「さん付けなんて要らないよ
一葉だけで結構だよ
優海蒼真君」
『…下の名前でいい』
「わかったよ」
(一体何者だ?)
「ボクは君に近い存在さ」
『……な?!
なん…』
「『なんで、俺の思った事がわかるんだ?』」
『……ッ!』
「言ったよね
君に近い存在だって
だから、分かるのさ」
『どういう意味だ』
「…簡単な事だよ
ボクも傍観者だからさ」
『……!』
「だけど…君は…
少し違う…」
『…え?』
「君は表舞台の人間だ」
『…へ?』
「現に今だって上手く演じてるじゃないか」
『…何でそんな事まで…分かるんだ…』
「似た者通し…だからじゃないかな?」
『…そんな馬鹿な』
「でも、信じるしかないんじゃないかな?」
『……そこまで言われたらな』
「ああ、そうだ
ボクから一つ忠告だよ」
『忠告?』
「道に迷った時は…心の声に従うといいよ」
『……?』
「今はわからなくても…
いつか忘れた頃に気付くさ」