1話-5
『Silent Night』-1-5
…教室
「よぉ…今日も遅刻ギリだねぇ優海ちゃん」
『いつもの事だろ?
…屍くん』
「屍じゃねぇ!
然跳だ!」
『…どっちでもいいだろ』
「よくねぇっての!」
『じゃあ、名字にちゃん付けは辞めろ、誠治』
「…わかりましたよぉ
蒼真ちゃ…」
『…ハァ』
「…蒼真」
『よく出来ました』
こいつは然跳誠治
あだ名は『屍』
俺の級友で
腐れ縁(このクラスのほぼ全員がそうなんだが)
勉強がまるで駄目なスポーツ馬鹿
「でも、またギリギリなのは違いないわね」
「…ごめん委員長」
「美羽が謝る事じゃないわね…
ね?蒼真」
『え?何が?』
「『え?何が?』じゃないでしょ!
基本蒼真が原因でしょーが!」
『間に合ってんだからいいじゃねぇか』
「…兄さん」
『おいおい、いつもの事だろ~』
「ちょっとは反省しなさい!」
ブンッ
『おっと!』
ブォッ
「このっ!このっ!」
『ははは
お前の攻撃は見切ってるぜ~美羽ぅ!』
「…ハァ
悲しいけどいつも通り、か」
彼女は已内華歩
うちのクラス委員長だ
委員長と言ってもかたっ苦しい性格では無い
だが、責任感が強い子なんで
俺みたいな奴には……
「…まぁ、間に合ったからいいんじゃないかな?」
『ほら、俊一だって言ってるじゃないか
…おっと』
「なら、せめて反省くらいはしなさい!」
『いや~してる
してるよぉ~』
「何処が!?」
『ただ、俺は低血圧で朝が弱いのさ』
「目茶苦茶動いてるじゃない!」
『これでも無理してるんだぜ~
…ほ…ら…』
ふら~ッ
「あっ」
ガタンッ
俺は自分の机に倒れ込むようにした
「…もう」
『……』
「やれやれ…蒼真君のほうが一枚上手か」
彼は得木俊一
誠治と正反対で勉強は出来るが運動が出来ない
その甘いマスクと眼鏡の絶妙な組み合わせで女子にかなり人気だとか(詳しくは知らない)
「……あ……お、おはよう…蒼真君」
『…ん…おはよう…楓…』
「……は、はい」
この俺の前に居る娘は
四条 楓
それなりにいいところのお嬢様らしい
三、四年程前に引越して来た(それ以前の記憶がない為曖昧)
口下手で少し男性恐怖症らしい
…実は俺が好きな子であったりする