1話-3
『Silent Night』-1-3
「兄さん!早く!」
『別に学校は逃げないよ』
「そうじゃないでしょ!遅刻するから!」
『なら、先に行けばいいじゃないか
俺は後から行く』
「だ、駄目よ!そんなの!」
『何でさ?』
「え?…えーと、その
…兄さんが遅刻したら周りの皆に迷惑かかるでしょ」
『そうなのか?』
「…ああもういいから行くよ!」
『朝メシは?』
「そこにあるでしょ!」
何故か本棚に皿にのったトーストと牛乳があった
『…俺、朝はコーヒーのほうが…
しかも、アイスよりホットのほうが…』
「いいから!」
俺は無理矢理トーストを口につっこまされ
牛乳を流しこまされた
『…がッ!!
ゲホッ…ゲボッ…
いきなり…なにすんだ…よ…』
「行くよ!」
『いや、まだ顔も洗ってないし
歯も磨かないと…
…それに成長期なんだしちゃんと朝メシ食いたいって言うか…』
「駄目!我慢して!
外で神子達が待ってるのよ!」
『…いや、だから
俺は後からゆっくり…』
「駄目!」
俺は半ば(と言うより完全に)強引に外に連れ出された。
「兄ちゃん、姉ちゃん遅いよ~」
「お兄ちゃんおはよう」
『ああ、おはよう二人共』
「ごめん!シンジ、ミコ…走るよ!」
『…ええー』
「兄さんが悪いんでしょ!」
この二人は霧生神子と霧生神子
俺の義弟と義妹で双子
七歳の小学生
何を血迷ったか漢字を同じで
読み方が違う為
大変ややこしい
ちなみに美羽とは一応血が繋がっているが
母親が違う
…やれやれ、我ながらややこしい家族をもったものだ
…
『じゃ、頑張って走ってくれ
俺は後から歩いてく』
「駄目!」
『駄目だ駄目だって…
そんなに否定ばっかしたら
子供は伸びないよー』
「兄さん!」
『冗談だ』
「もう!」
「…いつも通りだね、ミコ」
「…うん」