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男が1%の世界で  作者: ガッキーシステム
4/7

初詣

「お兄ちゃんは今年の初詣は行くの?」


「行くつもりだよ。近所の神社は学問の神を奉っているし、毎年行ってるのに行かないのは気持ち悪いからね。」


「じゃあ、みんなで行きましょうか。」


家から車で10分ほどの場所にそこそこの大きさの神社がある。

学問の神を奉ているので初詣の時期だとかなり混雑し、そこに行くには入念な準備が必要になる。


まず、シャワーを浴びた。

この世界の女性はかなりの精度で男の体臭を嗅ぎ分けるので体臭対策は必須だ。

シャワーから出た後は化粧水と乳液で肌の調子を整える。

サシェのいい香りが漂うクローゼットから外出用の中性的な服を選びそでを通す。

凛姉さんに薄くメイクを施してもらったもらった後、ウイッグをつけ臭くならないよう気を付けながらそれでいて香りが前面に出て主張するように香水をつけて準備完了だ。


女装は面倒だが自衛のため仕方ない。

普段学校に行くときなどは女装しないのだが混雑する場所に行くときは女装をする。

男が何の対策もせずにそういう場所に行くとかなりの確率で痴漢されるらしい。

俺は女装が似合う中性的な顔立ちなので問題ないが、女装が似合わない人は混雑する場所に行けないという。


「うん、いつも通りかわいい。」


鏡に映った自分の女装姿に思わずこぼれる。

はっきり言って女装した俺はかなりの美少女だと思う。


「お待たせ。」


結局、準備が終わったのは初詣に行こうと話してから1時間後のことだった。


「相変わらず、お兄ちゃんの女装姿かわいいね。」


「そうね。男だと気づかれなくてもレズの人に痴漢されちゃうかもしれないわね。」


男の少ないこの世界では同性愛は一般的で世界中のほとんどの国で同性での入籍、重婚が可能で、4,5人で家庭を築いている人も結構いる。


神社近くの男性優先駐車場に車を止め降りると、肌を刺すような冷気に襲われた。


「今日めちゃくちゃ寒くない?」


「天気予報で言ってたけどこの三が日は最低気温マイナスになるらしいわね。一応、優のニット帽持ってきたけどいる?」


寒さのあまり腕をこすっていると母さんがニット帽を差し出してくれたのでありがたく受け取った。

かぶる前にニット帽に顔を近づけてにおいを確認したが、かぶるたびに手入れをしているおかげでフローラルな香りがしたので安心してかぶった。


「あ!あそこで甘酒配ってるよ。せっかくだしもらっていこうよ。」


「え~。かなり列長くない?この寒い中並ぶのはちょっと嫌だなぁ。」


「甘酒なんてお正月くらいしか飲まないんだし俺は並んでもいいと思うけどな。」


「も~しょうがないなぁ。」


凛姉さんは反対のようだったが俺と柚子が賛成、母さんはにこにことこちらを見守っているのを確認すると折れてくれた。


幸い、列の消化は早く3分ほどで甘酒をもらうことができ、もらってすぐにアツアツの甘酒をすすると冷えた体に素朴な甘みが染み渡った。


「寒い中わざわざ並んで体を冷やしたからあったかい甘酒がよりおいしく感じる。マッチポンプだね、これは。」


「確かに、よく考えるとひどいマッチポンプだね。」


前世で読んだ漫画を思い出しながらつぶやくと、凛姉さんが反応してくれた。


甘酒を飲み終えて紙コップを近くのごみ箱に捨てると俺たちはお賽銭をしようと本殿に向かって歩き始めた。

鳥居をくぐるときは一礼するのが作法らしいが混雑のせいでできなかった。

何となく、後ろ髪をひかれる思いで鳥居を過ぎ左右を見ると様々な出店が軒を連ねていた。


ベビーカステラ、お好み焼き、たい焼き、くじ引き、射撃などなどいろいろなお店があるが店主も客もほとんどが女だ。

この世界に生まれて15年たつが未だにこの風景は不思議に感じる。


「どうしたの?おなかすいたの?」


「さすがにさっきおなか一杯昼ご飯を食べたからおなかはすいてないよ。」


出店を眺めていると母さんに誤解されたがいくら中学生男子といえどもこの短時間で昼食が消化されることはない。


本殿に到着し、賽銭箱に15円を投げ入れ二礼二拍手一礼した。


(いつも見守ってくださりありがとうございます。私は昨年もこの世界で楽しく過ごすことができました。本年もどうぞよろしくお願いします。)


転生の際に神様に出会ったということはないが、この超常的な現象を引き起こしてくれたのは神様なのかもしれないと感謝している。


「すいません。学問成就のお守りをいただけますか。」


「1000円お納めください。はい、ありがとうございます。あなたの勉学が成就しますように。」


黒髪の美しい巫女さんからお守りをいただき、初穂料を納めると、最後にうれしい言葉を付け足してくれた。


その横のブースでおみくじを引くと出たのは大吉であった。


「優おねえちゃんはどうだった?」


おみくじの内容を読んでいると、柚子に声をかけられたので顔を上げるとどことなく心配そうな顔をした3人がいた。


「大吉だったよ。学問も、したことがよい結果に結びつく、だって。」


「じゃあ最高の結果だったのね。」


待ち人は、来るも隠れり。探せ。また恋愛は、積極的にせよ。だった。

高校生活が少し楽しみになったが、その前に受験を乗り越えなきゃなと思い直し、おみくじを神社の柵にしっかり結び付けて家路についた。


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