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男が1%の世界で  作者: ガッキーシステム
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プロローグ

最初に感じたのは圧迫感だった。

四方八方からぎゅうぎゅうと押され少しずつ頭のほうに進んでいく。

ところてんにでもなったような気分だ。

目はなぜか開かないが圧迫感がなくなり外が明るくなったと感じた頃、尻をバチンとたたかれた。

いてぇな、何するんだ!と言おうと口を開いたがそんな言葉は出てこなくて代わりに出たのは、


「おぎゃあ、おぎゃあ!!」


そんな泣き声だった。


どうやら、俺は転生したらしい。




時は流れて、2015年1月1日除夜の鐘が鳴り響くころ、俺は15回目の誕生日を祝われていた。


「「「優ちゃん(優)(お兄ちゃん)誕生日と明けましておめでとう!今年もよろしくね!」」」


母さんと姉の凛、妹の柚子がはじけるような笑顔で言ってきた。


「ありがとう。あけましておめでとう。今年もよろしく。」


毎年何となく変な言い回しだと感じている返事をすると、家族はいったん自室に戻り俺へのプレゼントを持ってリビングに戻ってきた。


「今年から優も高校生だし電車に乗るときなんかに必要だろうから今年は腕時計にしたわ。」


「私はベルトね。制服にも私服にも合わせやすそうなのを買ってきたよ。」


「私はお兄ちゃんの好きな歌手のサイン付きCDにしたよ!」


そう言って母さんは高級そうな腕時計、凛姉さんは何かのブランドのロゴが入ったベルト、柚子はCDの入った包みを俺に渡してきた。

どれも俺の好みに合ったものばかりでとてもうれしい。


「ありがとう。大切にするね。」


そう言って今年から始まる高校生生活に思いをはせていると柚子が大きなあくびをした。

無理もない。もう夜中の1時近い。小学生にはつらい時間だろう。

柚子の大あくびを契機にして俺を含めた家族は解散した。


自室に戻りベッド寝ころびながら正月が誕生日だと家族全員が絶対に祝ってくれるから得だよなぁと考えていた。

そう家族全員だ。


俺には父親がいない。


離婚や死別などの事情があるわけではなく初めからいない。

俺は人工授精で生まれた。

前世では不妊等の事情がないと人工授精での出産は行われなかったがこの世界ではほとんどの人が人工授精で生まれる。


その原因はこの世界の男性人口は人口の1%しかいないという男女比の不均等による。


転生して驚いたこと。


自分の母親が絶世の美女で、姉がその遺伝子を十全に受け継いだ天使のようにかわいらしい女の子であったこと。


かわいい妹が生まれてうれしかったこと。


男性人口が少ないことを知って、驚きとともに納得したこと。


小学校で学年に男は2人しかおらず6年間同じクラスで親友となったこと。


隣の家の幼馴染と遠足で近所の山に登って楽しかったこと。


常に動物園のパンダのように注目されてつらかったこと。


あるきっかけからそのつらさに対処できるようになったこと。


転生して15年の人生を振り返っているうちに次第に瞼は重くなり意識は暗転していった。

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