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異世界をゴーレムと伴に歩む  作者: ぴっぴ
第1章 ゴーレム使い放浪編
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第8話 ダンジョン突入 (バイト2日目)

「さて準備は良いか?」


「「「オォォ!」」」


 たっぷり休養を取った俺達は20階層の攻略に挑む、作戦は簡単。先ず魔法使いの爺様が全力の魔法を叩き込む、そして相手が怯んだ隙に俺達3人が突撃するのだ。急造のチームなので緊密な連携や、高度な戦術は無理なのだ。


「相手は5体、俺が2体のオークを受け持つ。サードはボスの気を引いていてくれ、ゴンは残りの2体だが大丈夫か?」


「フッ、任せておけい。直ぐに片付けてボス攻略に向かう」


「おいおい、お前さん本当に異世界人か? ベテランみたいな雰囲気なんだが・・・・・・」

「脳筋の異世界人は珍しいの~」


「勝敗は時の運、全力で運を勝ち取るのだ!」


「「「何だ此奴、いきなり将軍みたいな事を言い出した。オマケに何か不吉なような気がする」」」


 戦闘前でアドレナリン全開になったせいで何時もよりアクティブに成った俺は余計な事を口走る、戦闘前にアニメやドラマでフラグを立てる人間ってこう言う状態に成って色々余計な事を言っちゃうのだ。

 さてリーダーは両手斧を構え、サードさんは両手に短剣を構えている、俺は左手に盾右手に棍棒、そして魔法使いの爺さまは杖を構えて魔法の詠唱を始める。俺達の準備は万端だ、後は20階層に入った途端に戦闘が始まるのだ。


「行くぞ!」


「「「おお!!」」」


 そして全員で20階層に降りていった、さて狩りの時間だ。


「チッ! ツイテね~!」


「希少種だと!」

「不味いの~」

「???」


 そこにはオークが5体居たが、情報と違って変な色をしていた。どうやら希少種と呼ばれるレアな奴が出現したらしい。初めて見たが紫色の気持ち悪い奴だった、通常の個体よりも1ランク以上強いって噂だった。


「ぐちゃぐちゃ抜かすな! 魔物は殲滅する! それが冒険者って奴だろう!? リーダーさんよ」


「おっ! おう、その通りだ。行くぞ~! 野郎共!」


 一瞬呆然としている連中に声を掛ける、ツイテルかどうかは後で分かるもんだ。負けたらツイテ無いのかも知れないが、勝てば経験値が美味しいじゃないか。不幸は力技で強引にブチ破るのが俺の主義なのだ、希少種が出る俺はツイテいるのだ。


「爺! 撃て!」


 流石はベテラン、硬直していても直ぐに立ち直る。元々血の気の多い連中なのでパニック等には成らないのだ。


「「「「「グオオオオ~!」」」」」


 オークの中でも一番デカイ奴が咆哮を上げる、腹に響く低音だ。相手の強さがビリビリ伝わってくる。初心者なら腰を抜かして逃げ出すだろうな、だが俺には逆効果だ、俺は煩いのは大嫌いなのだ。


「ファイヤーランス!」


 後衛の爺様が中級魔法を打っ放す、高齢のため中級は2発が限度って言ってた内の1発だ、爺はあと中級1発か初級5発で魔力切れになる。戦闘時の攻撃で一番大事なのは初撃なので、最大火力で始めるのは正解なのだ、チマチマ戦力を温存していると負ける確率が上がるのだ。


「ウオオオ~!!!」


 絶叫を上げ左手に盾、右手に棍棒を握った俺は全速力でオークのリーダーに向かって走る。ファイヤーランスが着弾した瞬間に攻撃を開始するのだ、相手が混乱している状態は俺にとって有利だからな。一瞬遅れてこっちのリーダーのクランとサードが付いて来ている、それに少し遅れて俺のゴーレムもドタドタ走って来ている。


「グオ~!」


「ヘヘヘ」


 ファイヤーランスが着弾して爆発した瞬間、少し爆風で熱いが我慢する。そして2m半位あるオークの親玉に向かって走る。俺に気がついたオークの親分が棍棒を振り上げるが、俺はニヤリと笑い方向転換して隣のオークに突進する。残念だなオークよ、俺は正面から戦うほど馬鹿では無いのだよ( ̄▽ ̄)


 急激に方向を変えた俺が狙うのは一番端のオーク、そして防御しにくい膝の部分。此処に刺付き棍棒を力一杯叩き込む。勿論用心深い俺の棍棒の刺にはたっぷりと毒が付いている、即死はしないが2~3分で死ぬはずだ。


「ギャ!」


 膝を砕かれて倒れたオークの頭を蹴飛ばし、隣のオークに向かう。ファイヤーランスの爆発の衝撃といきなり隣のオークが倒れた事で呆然としているオークの脇腹に棍棒を叩き込む、人間ならば肝臓がある位置だ、人間なら肝臓破裂で倒れて気絶するのだが、中々オークはタフなようで、脇腹を抑えて蹲っていた。ハハハ~残ね~ん、頭が下がると攻撃しやすいのだよ。


「どりゃ~!」


 頭が下がったオークの側頭部に刺付き棍棒を叩き込み、次は仲間の手助けだ。俺の狙ったオークは既に戦闘力は残って居ない、本当は止めを刺したいが、仲間がピンチなのだ。


 リーダーは2体のオークと戦って居るが重い斧を使っているので、相手が2体だと手数で負けて押されている。シーフのサードさんはオークの親玉相手にナイフを投げて牽制しているが、相手が意外に素早く苦戦中だ。そして魔法使いの爺さんは乱戦になっているので、魔法を打つ事が出来ない、魔法攻撃をすると見方を巻き込んでしまうのだ。


 残りは親玉オークと2体の取り巻きオーク、一番良いのは親玉を倒す事だが。意外と手が長くて攻撃力が有るので俺一人では苦しそうだ、自分より強そうな奴は囲んでボコる方が安全だろう・・・・・・と言う事で次はリーダーが相手している取り巻きオークに突撃だ。


「何処を見ている! 俺はここだ~!」


 大声を出して背中を向けているオークをビックリさせる、まあ、戦闘中にいきなり背中から敵の声が聞こえたらビックリするだろうな。等と思いながら振り向いたオークの膝をぶっ叩く。


「すまねえ! ゴン」

「ふふ、良いって事よ」


 残りのオークを前後に挟んでリーダーと伴にタコ殴りで仕留める。そして膝を抱えて唸っているオークをリーダーと伴にボコボコにして親玉へと向かう、早くしないとサードさんが死んじゃいそうだ。


「サードさん、下がれ! 爺さんブッパナセ!」


 残りは1体なので対応は楽だ、遠距離でチマチマ削って安全に仕留めたい所だが、爺さんだけしか遠距離攻撃を持っていない。俺達3人は接近戦しか出来ない脳筋なのだ。


「俺が正面から行く! あんたらは左右から頼む!」

「「おう!!」」


 命令は簡潔に、それが戦闘中の作法だ。そして自分が一番危険な部分を受け持つことで部下に安心感を与えるのだ~! ・・・・・・って、何で俺が命令してんだ? まあ良いや、異世界では何か知らんが直ぐに出世するメンドくさい体質だった様な気がする、多分あれは呪われていたんだろうな、凄くメンドクサカッたからな。


 爺さんの最後の援護射撃を受けて3人+ゴーレムで突撃する、戦闘は気合なのだ。2mを軽く超えるオークは怖いが、逃げると殺されそうなのだ、殺られる前に殺るしか無い。


「グオオ~!!」


「うおおォォ~!」


 正面からぶつかると見せかけて急激に方向転換! さっきとは逆の方向へ向かう。親玉は前の急旋回を覚えていたみたいで俺の方に急激に向き直った。俺様大ピ~ンチ! だとか思ったのか? 間抜け!


 ブオン!


「ニヤリ」


 オークの親玉が俺に向かって棍棒を叩きつける、それを軽々と躱して俺は命令する。


「ゴーレム! 殺れ!」


 バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!


 俺の後ろからトコトコと付いて来たゴーレムが肩のランチャーから4本の毒付き槍を発射、俺だけを見ていたオークの親玉の脇腹やクビに3本命中した。


「ワハハハ~! 見たか俺様の頭脳プレーを! 人間様を舐めるなよ」


 その後は簡単だった、オークが近づくと逃げて、毒が体に回るのを待つだけだ。戦わなくても死ぬのだから安全第一なのだ。


 ドスン!


 300キロ近い巨体のオークがついに力尽きて倒れた。結構しぶとく生きていたので俺達3人は逃げ回るのが大変だったのだ。


「ぜ~ぜ~! やったど~!!」

「ふひィ~、やっとくたばったか」

「やったな、ゴン」

「儂は腰が・・・・・・限界じゃ」


 とうとう俺達はやり遂げた、それも希少種をやっつけると言うオマケ付きで。この話題で冒険者ギルドは1週間位盛り上がるだろう、希少種って年に1匹位しか出ない位珍しいのだそうだ。

 腰を痛めて歩けなくなった魔法使いの爺様を俺のゴーレムに乗せて帰ることにする、爺さまは歩かなくて済むのでゴーレムを絶賛している、ゴーレムを褒められると何だか嬉しい、見た目は悪いが俺の大事な相棒だからな。


「いや~、ゴンって結構やるな。ゴーレム使いとは何か違う様な気がするが・・・・・・」

「一応ゴーレムも使ってたけどな、けどゴーレム使いとは何か違う感じは確かにするな。バーサーカーなのか?」

「何でも良いじゃろ。ゴンもゴーレムも頼れる奴じゃよ」


「ワハハハ~、頼れる漢ゴンを宜しく! 又何か有ったら呼んでくれ、あんた達となら楽しくやれそうだ」


 こうして俺のダンジョン攻略は大成功に終わった、希少種の魔石が結構な値段で売れたので、俺はボーナスと日当で10万ゴールド貰った。約2日の稼ぎとしては十分だ、野宿なら2ヶ月位生活出来そうだ。しばらく働かずに森でノンビリしようかな。



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