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異世界をゴーレムと伴に歩む  作者: ぴっぴ
第1章 ゴーレム使い放浪編
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第6話 ゴーレム3号機・改

 ゴーレム1号と2号は失敗だった、潔く認めよう。だが前作を糧にして新たなゴーレムを造れば問題無い訳だ、あくまで仮にだが女に振られても振られた女よりも次により良い女を捕まえればそれは結局勝ちなのでは無いだろうか? いやまあ勝ち負けの問題では無いって事は重々承知しているがだ。 下手な鉄砲も数打ちゃ当たるって言うではないか。つまりあれと一緒だ、次に活かせば良かった事になるのが人生って奴だ。時間経過で結果を書き換えられるのだからそれを利用しない奴は愚かなのだな。

 前回の失敗は人型にこだわったのが悪かった、人型兵器って奴にはロマンが有るが、それは現実では有り得ないからロマン兵器と言われるのだよね、つまり現実的な兵器としてゴーレムを作成すれば良いだけだ、と言う事は目的に合わせた特化型のゴーレムを造れば上手く行くハズなのだ。


「しかし、先立つものは金だな!」


 魔物を狩りまくって稼いだ金は約10万ゴールド、節約すれば野宿なら2ヶ月、安宿に泊まれば2週間位の生活費になる。だがゴーレムを造るとなるとこれに材料代が掛かるのでこのくらいでは全く足りないのだな、次こそ実用に耐えるゴーレムを造りたいのでバイトをするしか無いようだ、薬草採取は割が悪いので今回はパス。やはりここは異世界、ダンジョンに潜って俺も人並みに稼いで豊かに成ってやる。


 こう言う時は冒険者組合に行くのが一番、冒険者って個人事業主だから自分で依頼を探すよりも派遣業者である組合の方が沢山依頼が有るのだ。まあ上前は撥ねられるが、精々2割位しか組合は取らないのだここら辺は派遣のピンハネの上限が決まっている外国みたいだな、因みに日本は幾らでもピンハネが出来る構造なのだ、不思議だろ? マスコミも政治家も誰も改善する気は無い様だ、つまりはそう言う事なのだ。


「おう、お前さん。職探しか? 俺の仕事を手伝う気は無いか?」


「うん? お~! この間のオッサンじゃね~か」


 この間組合の隣の食堂でチョット暴れた時に止めに入ったオッサンだった。なんでもダンジョンの地下20階層の攻略に人手が欲しいのだそうだ。丁度俺も独りでダンジョンに潜ろうと思って居たので引き受けた。10回クビに成ったが、初心者ばかりだったので俺は地下6階層までしか行った事が無いので良い経験に成ると思ったのだ。


「成程、俺は前衛兼荷物持ちで良いのか?」


「おう! 前衛の盾持ちが怪我しちまったんだ、代わりを頼むぜ。お前さんなら大丈夫だろ」


「良いとも、但し盾は持ってないから貸してくれ、それと日当は現金でな」


「良いとも、日当は1日1万でどうだ? 20階層を突破出来たらボーナスも出すぜ!」


「うむ! 俺とゴーレムに任せておけい! 準備に1日掛かるが良いか?」


「良いとも、では明後日朝の6つ時にダンジョンの前に集合だ」


 次の仕事が決まったので俺は急いで家に帰る、仕事の前って何か緊張するな、まあ緊張しないと本気を出さない性格なので丁度良いのだが。稼ぐあてが出来たので、またもやゴーレムの材料を大人買いする、食料や宿代はケチル癖に趣味に使う金は全然惜しくないのが不思議なものだな、やはり漢って奴はロマンに生きる生き物なのだろうな。材料を買うついでにダンジョンの情報も集めておく、失敗すると金だけじゃなく命の危険まである仕事なのだよ。

 聞いた情報を整理すると、確か20階層のガーディアンはオーク5体だったな、ジェネラルオークが1体とハイオークが4体、俺一人ならハイオーク2体が限度だな多分。でもまあ、あのオッサンも攻略に行くくらいだから他の3体位はチームで何とかしてくれるだろうな・・・・・・多分。魔法使いとか居れば何とかなるんだけどな。でもまあダンジョン攻略に失敗した場合は独りで逃げ出す予定だ、知らない人に義理立てして死んだら馬鹿らしいからね、これがボッチの最大の利点って奴だよね、シガラミってヤツが全く無いのだよ、但し困ったときにも誰も助けてくれないって言う欠点も有ったりするのだが、困らない様にすれば問題無いのだ。


「フンフンフ~ン!」


 ダンジョン攻略に一番必要なのは初心者は戦力って考える、まあ素人が戦争を語るときに戦術を語る様なものだな。そして俺の様な玄人は運搬について考えるのだ、ダンジョン攻略でも戦争でも一番大事なのは物資の補給なのだ、これが出来なければ負けちゃうのだよ、武器だけ有っても意味が無い、武器は弾が無ければ唯の重しなのだな。それに例えば冒険者が1週間分の水と食料50キロ位を背負って2日程歩いた所で戦闘になった場合、疲れていて全力が出せないのだな、だから現代の歩兵は機械化しているのだ、まあ昔と比べて今の人間が軟弱だって事も有るのだが。


「1日最低水が2リットルで2キロ、5日分として10キロ。調理の分や体を清拭する分を加えると約20キロか~、ついでに着替えと装備と薬品を入れると一人最低でも30キロの荷物が有るな」


 今回のダンジョン突入は約5日間の予定らしいので、俺の分の荷物が30キロ、チームの荷物を50キロとすると俺の運ぶ荷物は約80キロ位だろうか、背負えば運べるけど運びながら戦闘は勘弁して欲しい、戦闘力が落ちてしまうから。普通の荷運びなら背負いながら歩いて、戦闘時には荷物を置いて戦闘に入るのだが、俺にはゴーレムという強い味方が有るのだ、俺のチート能力は全てゴーレム頼りなので運搬用のゴーレムを制作している。今回は俺も頭を使う事にしたのだよ、何時も力任せでは必ず行き詰まる時が来ちゃうのだ。前世の記憶もそんな感じの事を言っている様な気がするな、多分。


「じゃ! じゃ~ん!」


 失敗作のゴーレム2号(腕が4本付いた奴)をバラシて組み直す、2足歩行型だったので走破性能が低いのだからこれを改良して6本足にしてみた、人間でも赤ん坊は最初4足歩行から始めるのだから、これこそ初期型ゴーレムにふさわしい姿なのだ!


「なんか・・・・・・可愛く無い・・・・・・」


 6本足のゴーレムは森の中でもスイスイ動く、だが見た目がイマイチなのだ。骨組みが木なので7節と言う昆虫の大型版の様にも見えちゃうのだな、この世界に7フシが居るかどうかは知らんが。

 でもまあ足が6本も有るので、体重80キロの俺が乗っても動ける位タフなので機能は十分だ。さてこいつと伴にダンジョンに潜るとしようかな。


「おっと、肝心な物を忘れていたぜ」


 ゴーレム1号も折角なので3号の前方にくっつける、これで足が8本になり、運搬の他に偵察だって出来ちゃう多機能ゴーレムに成った。7フシから8本足のミノタウロスの骨格標本にパワーアップだな、ついでに肩に槍の穂先を発射するランチャーもつけておこう。戦闘・運搬・偵察をこなす万能ゴーレムの出来上がりだ。


 ついに完成したゴーレム3号機改、8本足のミノタウロス型ゴーレム。見た目はミノタウロスの出来損ないの骨格標本みたいだが、100キロの荷物を載せて、悪路も人並みの速度で動ける凄いゴーレムなのだった、ついでに肩には2連装の槍の発射機を乗せた凶悪な一面も持っている。大きさ的には前世の原付バイク位のサイズだ、人間が4足でいる位のサイズなので余り大きくは無い。


「相手が油断した隙に毒付きの槍をぶちかます凶悪なゴーレム! うむ、素晴らしい出来だ! よく見ると何かカッコ良く見えて来るから不思議なもんだな」


 見た目は悪いが肩のランチャーにはそこはかとなくロマンを感じる、それと同時にゴーレムと軽くリンクが繋がった感じがした、どうやらゴーレムを気にいるとリンクが繋がってある程度思い通りに動かせる様だ。これなら明日からのダンジョンでも活躍出来そうだぜ。


「ふふふふふ、怒られない程度に頑張っちゃうぜ!」


 給料分だけしか働く気が無いゴンで有った、一体前世で何が有ったらこんな性格になるのだろう?


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