第49話 指名依頼だにゃ!
ギルドの壁に書かれた俺達の名前、俺達の他に2チームAクラス冒険者が居る様だ。人間の国では国中で3チームしかAランクが居なかった事を考えると魔族の国の冒険者は質が高い様だ。まあ、そりゃあな、人間よりも大きいし魔力の量も多いから強いのは当たり前って奴だな。そう言えば、皆角が生えていた。角の数や大きさで大体の強さが分かるのだそうだ。
「ふ~、もうお腹一杯だにゃ~」
「凄い量だな、定食でも2人前位有るぞ。ここは豊かな国なのかも知れんな」
折角知らない国へやって来たのだから知らない料理を食べようと、街の食堂にやって来た。そしてどれが美味しいか知らないので、お昼のお勧め定食を頼んだのだが、凄く量が多いのだ、そして安い。定食が600ゴールドでオカズが3品付いてこの値段、食料品の供給が上手く行ってる国の様だ。ただし、凄く味が濃いのが珠にキズだな、魔族は濃口が好きな様だ。俺も焼きそばを焼くときに濃口にしなくてはいけない様だ。
そして夜に成って来たので街の外へ、宿に泊まると金が掛かるのでゴーレムハウスに泊まる。街から出る時に警備兵に挨拶した、普通ならば街の外は危険なのだが、俺達なら大丈夫だろうと、笑って見送ってくれた、中々話が分かる連中で助かった。
そして次の日から本格的に活動を開始する、俺達は金を稼いで、気楽に生活出来る様に再び成る予定なのだ。そして俺は魔石が大量に欲しい、りボルバーカノンの弾が大量の魔石を消費するからだ。
「ココアさんとゴンさん、指導の依頼が入ってますよ」
「へっ?」
「指導?」
冒険者ギルドに顔を出すと、受付のお姉さんが俺達に手を振って満面の笑みで話しかけて来る。もしかして指導って戦闘訓練の事かな? ココアは兎も角俺はゴーレムが使えないとCクラス冒険者程度の戦闘力しか無いのだが。砲撃すれば間違いなくAクラス冒険者を鼻息で飛ばす位の破壊力は有るのだが砲撃を避けろ! とか、砲撃を耐えろって言うのは無理な話なので、訓練とは違うと思うのだ。
「お二人に指名依頼です、戦闘訓練をしてもらいたいそうですよ」
「受けるにゃ!」
「嫌です!」
「にゃにゃ! にゃんで嫌がるのにゃ、可愛い後輩を可愛がるのは先輩の努めなのだにゃ!」
「だって~、俺弱いし~」
「じゃあウチが一人でやるにゃ」
「任せた!」
俺達に戦闘訓練を依頼したのはこの冒険者ギルドのCクラスハンターのチームだった。全部で5人の大男が重装甲の鎧で身を固めている、防御を鎧に任せて力で敵をねじ伏せるチームの様だ。鉄のフルアーマーなので鎧の重さが100キロ程、中の男たちも100キロ超級の男たちなので全備重量200キロオーバーの男が5人、全部で1トンという所だ。部屋の中で見ると物凄く暑苦しい男たちだった。
「姉さん、ご指導、お願いします」
「「「「お願いします!!!」」」」
「ニャっふっふ~、任せるにゃ。可愛がってやるにゃ。ゴン、棍棒貸すにゃ!」
5人のフルアーマーの大男達を引き連れギルドの訓練所に向かうココア、ギルドにいた冒険者達もゾロゾロ付いて行っていた、そして何故か受付嬢やギルドの職員達まで訓練所へと向かっている。当然の様にどっちが勝つか賭けが始まったので、俺はココアに10口程掛けた、これで1週間分の食費位は儲かりそうだ。当たり前だがココアが負けるとは少しも思っていない、人型の相手には無敵に近いのがココアなのだ。
指導試合はギルドの隣の空き地で行われる様だ、人が沢山集まって祭り見たいな感じに成って来た。ここで焼きそばを売れば売れそうなのだが、ココアが出ているので俺としては応援をしなければ成らないので、泣く泣く諦めた。まあ、見なくても結果は分かっているのだが、離れて戦う時には万が一って奴が有るから油断出来ないのだ。もしかしたら、相手が急に覚醒してスーパー○○人になるかもしれないしな。
「どこからでも掛かって来るにゃ!」
「「「「「ウッス! お願いします!」」」」」
5人のフルアーマー相手に余裕の表情のココア、相手に正対して指先をチョイチョイ曲げて挑発までしている。ココアは自分の双剣では無く俺の棍棒を持って行ったので、やる事は分かっていた。多分相手が涙目になるだろう。
ゴイン! ゴン! ゴイ~ン!
訓練所に響き渡る金属と金属が打ち合う音、結構な高音でしかもココアが力任せに叩くので大きな音がしている。これはココアが相手のフルアーマーの耳の横を思いっきりぶん殴って居る音なのだ。離れていてもこれだけの音がすると言う事は、実際に殴られてる連中はと言えば、頭を抱えて蹲っている。多分耳から出血して気絶寸前の状態になってるハズだ。
「理解出来たかにゃ? フルアーマーの弱点?」
ココアに殴られた連中は全員兜を外して耳を押さえているのだが、多分一時的に聴力が失われているのでココアの言ってる事が聞こえないだろうな。
「皆もフルアーマーだけに頼るとこうなるにゃ、フルアーマーを過信して防御を捨てると危険にゃのだ。理解したかにゃ?」
「「「「ウオオ~!! 姉さんスゲ~、分かり易いぜ!」」」」
ココアは観客に受けた、フルアーマーの相手5人を簡単に無力化したのが受けた様だ。実際にフルアーマーの冒険者5人を傷つけずに無力化するのは非常に難しい事を観客も知っているのだ。
そして次々に挑戦を受けるココア、いずれも簡単に捌き格の違いを見せつけていた。魔族の国でも獣人であるココアのスピードはずば抜けて居るようだった。
「「「「兄貴! 兄貴! 兄貴!」」」」
「誰だそれ?」
そして何故か沸き起こる兄貴コール。誰だそれ? と思ったらどうやら俺の事らしい。同じAクラスの冒険者なので俺も強いと思われて居る様だ、唯の誤解なのだがな。
「出ないと収まら無いのにゃ、ゴンも一手見せてやるにゃ!」
「マジかよ、仕方ね~な。ゴーレム!」
観客が盛り上がっているのに水を差すのは気が引ける、大体ここで良い所を見せなくてはこれからの商売にも響きそうだ、仕方無いので俺のゴーレムを見せる事にする。丁度最初にココアが可愛がったフルアーマーの連中が回復したようなので丁度良い。
「そんじゃ、俺も少し遊んでやろう。用意は良いかな?」
「「「ウッ・・・・・・ウッス!」」」
訓練所に呼び寄せた俺のゴーレム2体、魔法を跳ね返すオリハルコンのコーティング。ミノタウロス型なので両手に盾とハンマーを装備、そして8本足の異形、オール金属製で重量は1トン半、フルアーマーの連中はゴーレムを見ただけでビビっていた。
「突撃~!」
「「「「「ヒイイイ~!!!」」」」」
フルアーマー達を時速60キロで追い回すゴーレム、体当たりされた奴は10m程吹き飛ばされて転げまわっていた。そして足がもつれて転んだ連中はゴーレムに踏まれて悲鳴を上げている。どうやら初めから戦意が無いようだ、フルアーマーだけに頼っていた為にアーマーが通用しない相手では心が折れてしまったらしい。そして散々追い掛け回し、全員が動けなく成ったのでゴーレムを止めた。
「いいかお前ら、何か一つに頼るのは駄目だ、通用しない時にお手上げになるからな。自分達の力が通用しない相手が居ることを常に考えて対策を練っておく事が重要なのだ」
「「「「「へ~、そうなんだ」」」」」
折角俺が良い事を言ったのに観客の反応はイマイチだった。賢い狐は穴を2つ持って居るとか、常に備えよとか言っても脳筋の連中には受けない様だ。何だかな~。




