第41話 ドワーフ王からの招待状
クラーケン討伐で村は救われたのだが、30キロのモリを投げたりクラーケンの触手を双剣でズバズバ切ったりしていたココアはかなり無茶をしたようで、討伐の次の日からは温泉でまったりして体の治療に専念しているようだった。そして俺は盛大に35ミリ砲を撃った為に弾の残りが殆ど無くなってしまったのでいささか困った事態に陥っていた。
「大丈夫かココア?」
「まだ肩が痛むにゃ、もう少し治るのに時間が掛かるかもにゃ~」
「頑張ったから仕方無い、ゆっくり休んでくれ」
クラーケン討伐から1週間位は村や町も騒いでいたが、直ぐに日常の生活に落ち着いた様だった。そして俺達もそんな中で温泉に浸かってゆったりと過ごして居たのだが、俺の性格なのかそれとも異世界で受けた洗脳のせいなのか、ゆっくり暮らしていると落ち着かない、何かしていないと罪悪感に襲われるのだ、もしかしたら筋金入の貧乏症なのかも知れない。
という訳で始めた新型モデル制作、世の中の常識を変えたり急激な発展等は害悪なので自重していたのだが、暇過ぎてついつい造ってしまうのがモデラーの性って奴かもしれない。
「おっちゃん! 俺にもちょ~だい」
「ほらよ! 皆で遊べよ」
「ありがとう! おっちゃん」
俺は今は竹とんぼを造って遊んでいるのだ、そして竹とんぼを造って飛ばして居ると村の子供達が寄ってくる。物欲しそうにしていたので出来上がった奴を子供達に分けてあげていたのだ。
「ひゃ~! スゲ~! 凄く飛ぶぞコレ!」
「おっちゃん、スゲ~な!」
「そうだろう、そうだろう。俺を敬うのだ」
傍から見ていると子供達と遊んでいるようにしか見えないが、実は竹トンボの翼面の角度を変えて効率の良さそうなプロペラを研究している所だったりする、スパコンが有れば計算して最適値を調べたり出来るだろうが、ここにそんな上等な物は無いので、実験して一番上に上がる奴を調べるしか無いのだ。そして最大効率の竹のプロペラが出来たら次に造るのはドローン、俺は空を飛ぶ偵察型ゴーレムを造って居る所なのだ。材料は竹なのでナイフで簡単に造れる所が良い所だ、そして俺は魔力でプロペラを回せるが、他の人間には出来ないので、ドローンを造ってもこの世界には影響が無い所が良い所だな。そして子供達に大量の竹トンボを渡して実験した結果、俺の飛行型ドローンは出来上がってしまった、これを大型化すれば俺が実際に乗って空を飛べたりも出来そうだった、まあ実際に人が乗れるサイズにした場合はプロペラは木製でも良いがプロペラの軸は金属製にしなくては、多分摩擦熱で火を噴くと思うのだが、金属加工は難しいのでこれまたドワーフの協力が無くては無理そうな話だった。でもまあ必要が有れば空中戦も出来るゴーレム使いって奴もかっこ良いカモ知れないな~等と能天気な事を考えていた。
「ゴン! お客さんが来てるにゃ」
「お客さん? 誰?」
「王都から来たドワーフの偉い人みたいだにゃ」
「ふ~ん」
クラーケン退治から2ヶ月程経ったある日のこと、ココアの肩や体も完治して、俺の飛行型ドローンも完成していよいよする事が無く成った頃、そのドワーフはやって来た。高価そうな馬車に護衛の騎士2名を連れた王都からの使者、その名もゲドン、何だか強そうな名前のドワーフだった。
「そちらがブラザーゴン殿で間違い無いかな?」
「ウイ! 俺がゴンだ」
「ドワーフ王国に多大なる貢献をしているゴン殿に国王からの招待状が出ておるのだ、王都に来て頂きたいのだが、都合はどうかね?」
「王様が俺に何の用なのかな? 一向に心当たりが無いのだが?」
「リボルバーカノンじゃよ、あれのお陰でドワーフの軍事力が上がって、オマケに大儲け出来ておるのじゃ、そのお礼の招待状じゃよ。報奨金と爵位の授与も有る予定なのじゃよ」
「あ~、あれか~。さて? どうしようか・・・・・・」
「行くにゃ! 直ぐに行きますにゃ! ゴン、支度するにゃ」
「どうしたココア? 偉く乗り気だな」
「王都って言うぐらいだからキット旨い物が一杯有るはずだにゃ! 色々な物が食べたいにゃ」
「良いな! そろそろ魚や山菜にも食い飽きた所だしな、じゃあ行こうか」
「ドワーフ国の王都には色々な物が有りますぞ、特に有名なのは酒ですな、あとは色々な魔道具や金属加工が大陸でも有名です」
ドワーフ王が俺を貴族にしてくれるらしいので王都に出かける事に成った、くれる物は何でも貰う主義なのだ、要らなくなったら捨てれば良いだけだからな。
「それじゃココア、旅の食料を頼む。俺はゴーレムと家の整備をするから」
「分かったにゃ! 何日分位買えば良いのかにゃ?」
「ここから王都まで歩きなら1ヶ月、馬車で2週間、早馬なら5日間位ですな。一緒に行きましょう」
「だったら俺のゴーレムで行きましょう、馬車の2倍以上の速度が出ますよ。そちらの馬車よりも早いと思います」
ここら辺の人の一日の移動距離は約20~30キロ、馬車だと50キロ位なものだ、遅いと思うかも知れないが舗装された道など無いので、凸凹の荒野を移動する事を考えるとこんな物なのだ、だが俺のゴーレムは馬よりもパワーが有る上に餌も食べないし休息もしなくて済むので本気で頑張れば馬車の2倍以上の距離を稼ぐ事が出来るのだ。俺達は冒険者を辞めても運送屋をすれば普通に稼げて暮らせるので気楽なものなのだ。色々な生活手段を持って居るって言うのは心に余裕が出来て良い事なのだ。
次の日には食料を1週間分買い込んで王都へと旅立つ事にした、ゴーレムハウスを1体のミノタウロス型ゴーレムが引っ張り、ドワーフの豪華な馬車ももう一体のゴーレムに牽引する事にした。そうしないと普通の馬ではゴーレムの速度に付いて来れないのだ。そして護衛の2人はそのまま騎馬で俺達を護衛して貰う、騎兵ならゴーレムに付いて来れるだろうと思う。
「「「「男爵~! 行ってらっしゃい! 早く帰って来て下さいよ~!」」」」
「応! お土産買ってくるからな~!」
「直ぐに帰って来るにゃ! 元気で頑張るにゃ!」
「ゴン殿は村人に愛されてますな、立派な事ですぞ」
俺達が王都へ旅立つと知った漁村の皆と温泉町の住民が大勢見送りにやって来た、思えば3ヶ月程この場所で屋台をしたり、温泉に入ったり、子供と遊んでみたり、大人と相撲をして遊んでみたり、綱引きをしてみたり・・・・・・あれ? 遊んでばかりだったカモ知れないな、まあ良いだろう、長い人生こういう事も有って良いと思うな。兎に角、俺達は住民に暖かく送り出して貰ったのだった。




