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異世界をゴーレムと伴に歩む  作者: ぴっぴ
第1章 ゴーレム使い放浪編
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第4話 ゴンの木製ゴーレム

 さて樫の木を買い込んできたゴン、ついでに1週間分の食料も買ってきた。ゴンは拠点を持っていない根無し草なので落ち着いてゴーレムを造れる場所を先ずは探さなくてはならない。そこでやって来たのが街の傍に有る森、魔物も多少は出るが比較的安全な場所なのだ。少なくとも街のスラムや安い宿よりも安全で材料の木材が盗まれる心配は無かった。ゴーレムを造るには静かで安全な環境が必要だった、極度に集中して正確なサイズの切り出しと調整、そして素材自体に自分の魔力を込めて行かなくては成らないのだ、土魔法使いのように魔力の代償だけで出来る雑魚ゴーレムとは成り立ちが違うのだ。


「ハフ~、大変・・・・・・土魔法使いが羨ましい・・・・・・」


 強がってみては居たが、ゴーレムの部品造りは地味で大変な作業だった。サイズが違えばバランスの悪いゴーレムが出来ちゃうのだ、例えば素人が椅子を造った場合、4本の足のサイズがバラバラでガタガタした椅子が出来るのだが、正確なサイズを切り出して加工しなくて上手く動けないゴーレムに成ってしまうのだった。それにひきかえ土魔法のゴーレムは地面から勝手にニョキニョキ生えてくる楽チンなゴーレムなのだな、魔力が増えれば大きいゴーレムになるし、術者がレベルアップすれば石のゴーレムや金属のゴーレムを呼び出せる超絶便利魔法なのだ。

 愚痴をこぼしながらでも手は休めない、先ずは足から造ってゆき下から組み上げてゆく。上からでも良い様なものだが人型なので下から組み上げた方が楽なのだ。なにせ小型とは言え人間に近いサイズなので重さもそれなりに有るのだ。


「足は重くして、重心を下げて。関節は全体の重さを支えるので・・・・・・」


 今回は戦闘にも使えるゴーレムを目指しているので、足の指を1本1本造ったりはしない、5本まとめて造って一つの関節で動きを調節する。細かい動作は出来ないが歩く位ならこれでも平気なのだ、それに可動部分が減ればそれだけ強度が増すのだ。

 設計図も無く適当に造っても大体想像通りに出来るのがモデラーって奴の特徴なのだな、此れは山程人型マスターグレードを造っていたら、段々図面なしで組み上げられる様に成ってきて習得出来るスキルなのだ。まあ組み上げるだけなら簡単なのだが、そこから改造して自分だけのモデルに仕上げるのがモデラーって奴だったりする。組立見本程度なら簡単に見本より良い作品に成るのだが、そこから改造すると数百倍の時間と手間がかかるのだ。あれ? 何でこんな関係無い話をしてるんだ? ボッチだから独り言が増えるのかな? 確かに妄想は多くなる様な気がするが。


「出来た~!」


 そこにはカカシの様なゴーレムが出来上がっていた、大きさは成人男性程度。見た目はハッキリ言って悪い。頭部は必要無いのだが一応造って有る、顔はのっぺらぼうなのでチョット怖いかも知れない。


「う~ん、イマイチだよね」


 自分で造っておきながら出来の悪さに嫌気がさす。手抜き故なのか、それとも手間暇をかけていないから思い入れが少ないのか、どちらにしろ前のゴーレムの様には出来なかった。


「やっぱり魂が入ってないよな・・・・・・此奴は唯のゴーレムだわ」


 ゴーレムと自分とのリンクが無いのを感じ取った俺は、このゴーレムには魂が宿っていない事に気がついた。真のモデラーが造った作品には魂が篭って独自の存在感を放つ事が有るのだ。


「でもまあ良いや! 次!」


 失敗したくらいでめげてはモデラーはやってられない、それに此奴は俺が寝ている間の見張りさえ出来れば良いゴーレムなのだ、だから失敗では断じて無い! 計画通り、予定調和なのだ。


「歩け! ゴーレム」


「・・・・・・」


 ゴーレムが命令に従って前に進む、やはりぎこちない動きだ。まあ生まれたてだとこんなものかも知れない、自分とのリンクが有るゴーレムなら命令を頭の中でするだけで自動的に動くのだが、このゴーレムには一々命令を行わなくては動かない様だった、


「止まれ! そのまま待機」


「・・・・・・」


 命令すれば動くが、やはり無反応は寂しい。首関節を造ってせめて首を振る位の機能は欲しい、欲を言えば返事をして欲しいものだな。これが承認欲求って奴なのかな? まあ人間って所詮は無い物ねだりばかりする習性が有るので無視しとけば良いだろう、人生に満足出来ればそんな変な欲求も無くなるものなのだからな。


「ゴーレム、俺は寝るから見張りを宜しく。何か来たら俺を蹴飛ばす様に」


 一日が終わり日が暮れて来たので、保存食を食べて寝ることにする。1日で見張りゴーレムが出来たので今日は上出来だ、今日はとても良い日だったのだ、俺は満足な気分で寝る事にした。次の日もゴーレムを造るのだ、明日は戦える奴を造る事にしようかな。


 そして次の日も又ゴーレム造りに邁進するゴン、昨日と同じように造るだけなので更に制作速度は上昇する。自分の周りの警戒をゴーレムにしてもらっている事もかなり制作速度が上がる原因の一つなのだな、安心して作業できればそれだけ速度が上がる。周りの警戒をしていると作業に集中しにくいのだ、それに集中して作業を行うと、モデラーは周りの状況が全く分からなくなってくる、勿論音なども聞こえないし時間の経過も分からなくなるモデラーの集中力は凄すぎて、作業している時に部屋に親などが入って来ると急に人が現れたと思ってビックリしちゃったりする程なのだ。


「よしよし、出来上がり」


 もう1体のゴーレムが出来上がった。慣れの為に今回は昼過ぎには出来上がった訳だ、そして今回のゴーレムは戦闘用なので武装している、と言っても単純な動きしか出来ないゴーレムなので剣や槍を持つ事は出来ない。指を1本1本作ってないので武器を上手く握れないのだ。だがなんら問題無い、握れないなら握らなければ良いだけだ、つまり肘から先を槍にしてしまえば握らなくても槍を持ったのと同じなのだな。


「ふふふふ、男のロマンからは少々外れたが、両腕が槍って奴も中々ロマンを感じるぜ」


 出来上がったゴーレムはカカシの様な外見だが、両腕の肘から先が槍に成っている攻撃特化型のゴーレムだった、木製の槍なので威力は少ないが、街で金属製の槍の穂先を買って来て取り付ければ威力は十分、更に先に毒を濡ればオーク位までなら何とかなるハズだ。しかし、俺は用心深いのだ、この位では満足出来ない、よって更に強化するのだ。


「ふふふふふ、ハハハハハ! ひゃっひゃっっは~!!」


 飲まず食わずで長時間作業して変なテンションに成った俺は高笑いしながらゴーレムを強化してゆく。腕が2本等誰が決めた! ゴーレムは自由度が高いのだ~・・・・・・多分。ということで更に腕を2本追加して4本腕に成った戦闘用ゴーレムが出来上がった。俺を襲う奴はこのゴーレムを突撃させて槍で突き刺してやるのだ~!!!


「ふう~、疲れた。もう寝よう。ゴーレム1号は周囲を警戒、2号は敵が来たら槍で攻撃せよ」


 疲労によるハイテンションは長続きしない、この変なテンションで何かをやろうとすると大概失敗するのだな、過去の思い出から教訓を得ている俺は最善の策をとる事にした、すなわち寝て気分転換をするのだ、感情が制御出来ない時は御飯を食べて寝るのが一番なのだ、こうして2日目も平和に過ぎてゆく、森の中は平和だった。



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