第21話 冒険都市チャレンジャー
「馬鹿にするにゃ! ウチは猫獣人じゃ無いにゃ!」
「?、見るからに猫なんだがニャ?」
「猫じゃにゃくて、ワーキャット族だにゃ! 誇り高き戦士の一族なんだにゃ!」
「ほえ~、なんかカッコ良いニャ。で? ココアは強いのか?」
「超絶強いにゃ、お前なんか瞬殺にゃ!」
と言う事で暇つぶしに手合わせをしてみた。口先半分としても結構強いのかも知れん、頭は獣人なので悪そうだが、身体能力は人間を遥かに上回るのが獣人の特徴なのだ。
「ううう、えぐ、えぐ・・・・・・いたい、凄く痛い・・・・・・」
「すまんかったにゃ、手加減はしたんだけどにゃ~」
戦っては見たが、ココアは超絶強かった。俺の攻撃は全く当たらない、そして相手の攻撃は全て当たってしまう。身体能力の差が有り過ぎて勝負にすら成らないのだ。大体垂直跳びで3mも飛べる様な筋力と瞬発力を持っている相手に人間が勝てる訳無いだろう、そう、俺はいい気になっていたのだ、人間の様な雑魚に勝って浮かれていたのが間違いなのだ。世の中って広いな~等と気絶しそうな痛みの中で思って居た。
「うううう、人間の中じゃ強い方なんだがな~」
「人間にゃんて弱すぎて全部雑魚だにゃ、獣人を舐めるにゃ!」
無理、無理。ココア相手に喧嘩をすると絶対に負ける、ゴーレム2体を使っても多分負ける。全ての攻撃を躱されてボコられる自分の姿が見えてしまう。脳に行く栄養を全て筋肉に回して居る様な奴に俺が勝てる訳無いのだ、そう、俺はインテリだったのだ! 忘れていたが頭で勝負するのが俺の持ち味だった、これを気づかせてくれたココアに感謝しなくては成るまい。俺は負けても何かを掴んで立ち上がる男なのだ。
「分かった! 俺は料理人として頑張ろうと思う。戦闘はココアに任せたニャ」
「良い心がけにゃ、人間はウチに飯を造る為に居るのニャ」
どうやら俺はこの世界でも猫に餌をやるために働くらしい、輪廻からは逃れなかったって事だな。まあ、猫獣人の一人位食わせるのは簡単だろう、前世よりはマシだと思って頑張るしか有るまいて。ふ~流石は俺様、良い所に気がついた。これが並の人間なら勝てもしない相手に無駄な努力をして、無駄な時間を費やす所だが、俺は賢い男だ。勝てない相手は取り込めば良いのだ、戦うだけの男では無い所を見せてやろうじゃないか。
「良し! 美味い飯を造る為には町に行かねばならん。ここらでは美味い物が買えないからな、動物を狩って焼いて食うのにも飽きた。ココア、街まで道案内頼むぜ」
「任せるにゃ! ウチの野生の勘で冒険者の街に行くのにゃ!」
「冒険者の街?」
「そうにゃ! 冒険者が沢山集まる街にゃ、大きなダンジョンが有って稼げるらしいにゃ」
「よっしゃ! 稼ぎに行こうぜ」
こうして2人での旅が始まった、途中迷ったが、何故かココアの感が冴え渡る。必ず正しい近道を進んで行くのだ。必ず迷う俺とは正反対のスキルを持って居る女だったのだ。
「よっしゃゴン! この森を突っ切ったら街への近道みたいな気がするにゃ!」
「任せろ! ゴーレム出力全開!」
バキバキと音を立てて藪を踏みながら進んでいく、先は全く見えないがココアが行けと言えば行くのが俺の仕事なのだ。進めば何処かに着くだろう、深く考えてもしょうがない行動有るのみなのだ。
「ドンドン進むにゃ! 街の匂いがするにゃ!」
「わははは、任せろ!」
街の匂いが本当にしたのか、それとも適当に言ったのかはココアにしか分からないが。藪を抜けると本当に街が有ったのでビックリした、成程獣人の勘って奴は凄い様だ。
「あれが多分冒険者の街だにゃ!」
「多分って・・・・・・ココアは来たこと無いのか? 俺は初めてだけどな」
「ウチも初めて来るにゃ、でも野生の勘が此処は冒険者の街って言ってるにゃ」
なんだか随分都合の良い勘だ、もしかしたらココアも前世の記憶がウッスラ有るのかも知れない、それで以前の記憶を辿ってここに着いたのかも知れない、俺だけ前世の記憶が有るって言うのも変だし、ここの世界には転生者が集まるのかも知れないな。
この街は結構大きな街だった、この世界に共通する外壁を備えた城塞都市って奴だ。大きさは自由都市フリーデンの半分位なのかな、城壁の高さや幅が丁度半分位のサイズだった。それから予想される住人の数は約25万人程度、結構なサイズの街だった。
そして街に入るのは門からなのだが、ここは騎士や兵士ではなく冒険者が出入りの番をしていた。流石は冒険者の街って所だった。
「う~す! お前ら冒険者か?」
「ああ」
門番の冒険者に冒険者のタグを見せるとそのまま無料で街に入れてくれた。冒険者の街は冒険者が出入り自由、冒険者以外の商人達は出入りの度に5000ゴールド取られると言う冒険者だけが優遇された街だった。
「冒険者ゴン、Cランク。冒険者ココア、Cランク。間違い無いな!」
「間違い無い」
「間違い無いにゃ」
「冒険者の街へようこそ! 良い狩りを」
「有難う」
「ありがとにゃ」
顔は怖いが、愛想の良い門番だった。ここは冒険者にとても優しい街の様だ、そして多分冒険者のランクが大きく物を言う場所なんだろう。わざわざ俺達の冒険者ランクを見ていたしね。冒険者ってFランクから始まって、Cランクで一人前、そしてBランクで1流、Aランクが化物、Sが伝説級って言うのが通説なのだ。まあ勇者とか言う連中がSクラスだな、時代に一人居るか居ないのかって言うほど希少な存在だ。だけど魔物はSクラスがウジャウジャ居るのだ、例えばドラゴン。これは大概がSクラスで中にはSSクラスやSSSクラスまで居るって言う噂だ、勿論俺は見たことが無い、ドラゴンって言うのはそう言う伝説的な生き物なのだ。その他にも魔王の下僕のケロベロスとか巨人とかがSクラスって言う話だ、勿論それらも俺は見た事が無い、そしてなるべくそんな生き物が居ない所で暮らす予定なのだ。そんな化物に関わりあったら命が幾つあっても足りないからな。
「ゴン! どっかで美味い物食べて寝るにゃ! 狩りは明日からにするにゃ!」
「うむ、いい考えだ。今日は疲れた、頑張るのは明日の俺に任せよう」
街の中で食べ物を買い、そして何時もの様に外壁の外へ出る。街の宿に泊まると金が掛かるので、ゴーレムハウスに寝泊りする。これのお陰で俺達はお金を節約して、あまり稼がなくても生活が出来ちゃうのだ。そして余ったお金は非常食料とゴーレムの材料代に成るから益々俺は強く、そして稼げる様になっちゃうのだ。




