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異世界をゴーレムと伴に歩む  作者: ぴっぴ
第1章 ゴーレム使い放浪編
19/54

第19話 ゴンのお手伝い

 村の娘達5人を無事に送り届けた俺は村から歓迎された。何も無い村なので素通りしようと思ったのだが、折角の善意を断るのも何だか悪い気がして2~3日村に厄介になることにしたのだ。


「手伝おうか?」


「有難う、おっちゃん」


 ゴーレムの整備を1日で終わらせた後は何もする事が無い、田舎なので見る物と言えば、畑位しか無いのだ、村の人口は100人位なのか? 典型的な田舎って奴だった。都会暮らしの人は田舎に幻想を抱いてるが、田舎は兎に角暇なのだ、1日が50時間位あるのが田舎って奴だからな、余りにも暇なので俺はナビ子の家の周りを散歩していたのだが、ナビ子がクワを持ってトコトコ歩いている所を見かけたのだ。畑仕事って奴は結構キツい、耕されてる畑を掘るのは簡単だが、普通の地面は物凄く硬いのだ。ナビ子みたいな子供が出来る様な作業じゃ無いのだな。そこで俺は手伝う事にしたわけだ。


「ナビ子、何処まで耕せば良いんだ?」


「ナビ子じゃ無いよ! モモだよ」


「お~、そうだったな。スマン、スマン」


 旅の途中で俺の横に座って、道を教えてくれた少女。あまりの便利さにナビと間違えてしまった様だ。俺のゴーレムにもカーナビが欲しい所だ。


「ふむ、これだけなのか? 狭いな」


「家は母さんと、私しか居ないから畑が狭いの」


 モモの家の畑は狭かった、1反位(300坪)しか無いのだ。これでは専業農家は無理だな、家で食べるには十分なのだがな。感心な娘に祝福を! 俺と違って立派な人間みたいだからタマには良い目に会うのも良いだろう。


「成程、それでモモは出稼ぎに行って家計を助けていたのか。偉いな! フフフフフ、ならば俺の本気を見せねばなるまいて」


 それから俺は村長の所へ行った、畑を耕す道具を借りに行ったのだ。手で畑を耕すのは大変で時間が掛かる、俺が頑張っても一人分の作業しか出来ない、いや、慣れてないから村人の半分位しか出来ないかも知れない。しか~し、俺にはゴーレムが居るのだ、彼等と俺の頭脳を合わせれば俺達は無敵になるハズなのだ。


「村長さん! この村にスキって有る? 馬や牛が引くやつ」


「おお、これはゴン殿。有りますけど。最後の牛が死んでから5年になりますかのう、それ以来使っていませんのじゃ」


「それ貸して下さい、ちょいと畑を耕しますから」


「良いですが・・・・・・人間に引ける様な物では有りませんよ?」


「ふふふふふふ、お任せあれ」


 昔はこの村にも牛が居て、畑作業等に活躍していたらしい。しかし、5年前に死んでしまったのだそうだ、そして牛は買うと高いし、餌を沢山食べるので貧乏な村で飼うのは大変なので今は居ないのだそうだ。

 村長から借りた鋤、牛に引かせるのでかなり大型で重い、大体50キロ位有るかな、重量が無いと地面に食い込まないのでそれなりの重量が有る。まあ、それでも俺のゴーレムなら牛1頭位のパワーは有るので何とかなるだろう。


「モモ! 借りてきたど~」


「おっちゃん、どうするのそれ?」


「これで畑を耕すのだ、俺のゴーレムは万能だからな」


 2体のゴーレムを呼び寄せ、鋤を取り付ける。1体でも500キロ有るゴーレム2体で約1トン、これなら牛よりパワーが有るはず。


「行け! ゴーレム! 魔力全開!」


「うわ~!! 凄い!! 凄い!!」


 ガゴゴゴオ~!!


 2体のゴーレムのパワーは圧巻だった、俺が張り切り過ぎて魔力を全開にしたせいか、それとも2体では多すぎたのか、地面を30センチほど抉りながらゴーレムは軽々と走りだす。気がついた時には遥彼方まで地面を掘り起こしていた。


「戻れゴーレム!」


「おっちゃん! やりすぎ」


「な~に、男はやり過ぎ位で丁度良いのだ、セコイ男は駄目だぞモモよ」


 しかし俺は反省する男だ、今回の教訓を生かして魔力を抑え目にしてゴーレムと一緒に歩く事にした。どの位広げれば良いか分からなかったので、モモをゴーレムの背に乗せて指示をしてもらう事にした。


「おっちゃん、もうこのくらいで・・・・・・」


「まだまだ~! 大は小を兼ねるって昔の偉い人は言ったそうだ」


「でも私とお母さんじゃこんなに広い畑の世話が出来ないよ」


「な~に、その時は他の奴らに畑を貸し出せば良いのだ。心配する事は無い」


 ゴーレムを使った開墾は素晴らしい速度で進んだ。3日程ゴーレムを使って開墾したら初めは1反しかなかったモモの畑は今では100倍程になり村一番の大地主に成った。開墾作業中に村の連中がビックリした顔で見ていたが気にしない、文句が有れば言って来れば良いのだ、言わなければ俺には分からないからな。


「ふむ、此れぐらいで勘弁してやろう、もう空き地が無いからな」


「おっちゃん、やり過ぎだよ。どうすんのこれ?」


 モモは少し困った顔をしていたが、本当は嬉しいに違いない。なにせ村一番の大地主に成ったのだ、もうモモは出稼ぎに行かなくても良くなったのだ。ふふふふっふ、言わなくても分かっておるとも、俺は感が鋭いのだよ。

 そしてモモの畑を造りまくった俺は開墾作業に飽きて、モモの家で昼飯を食わせて貰ってボ~っとしていた。すると何やら、外が騒がしい、この村は静かなので人の声がよく聞こえるのだ。なにやら、モモと誰かが揉めている様な感じだ。


「どうしたのだ? モモ」


「おっちゃん! 助けて」


 家から出てみると、村人が5人程やって来ていた。モモに何かを言っていた様だな、何やらこっちを見てニヤニヤしている。5人の中の一人は2m近い巨体で、オークの様に太っていた。まあ、見た感じハイ・オークって感じかな異世界だけに。


「おう! アンちゃん、俺達にも畑造ってくれや。モモの家の分だけ造るってのは差別って奴だぜ!」


「????」


 何を言ってるのだろう? このハイオークとその取り巻きは?


「聞こえなかったのか! 早く俺達の分の畑を作りやがれ!」


「??????」


 俺がキョトンとした顔で辺りを見渡していると、ハイオークの取り巻きだけでは無く、他の村人達も遠巻きに見ていて、何やらニヤケた顔をしていた。そしてモモは青い顔をして俺にしがみついていた。成程、流石の俺にも状況が理解できた、こいつらは俺の敵に違いない、俺とモモを奴隷としてこき使う悪人達なのだ。

 状況さえ分かれば俺の対処は早い、スタスタとハイオークの前まで歩いていき。ニヤニヤしている顔に棍棒を叩きつける。


「ギャ~!!!」

「「「「イキナリ何をするだ!!!」」」」


 歯を撒き散らし、顔面に手を当てて蹲るハイオーク。どうやら此奴はハイオークよりかなり脆い様だ、ハイオークなら怒って向かってくるのだがな。


「おや~、ハイオークかと思ったら違ったのか。スマン、スマン、ごめんなさい」


「「「「何て乱暴な! これだからよそ者は! ギャ~!」」」」


 ボコン! ギャ~!

 ガコ! ギャ~!

 バキ! ウワ~あ! 何するだ~!


 取り巻き連中も顔が気に食わないのでとりあえず棍棒で殴っておく。こいつらに言葉は通じないので棍棒で会話する事にした。


「俺様相手に良い度胸だ! 俺がお前らの奴隷に成るとでも思ったのか!」


「オラたちは畑が欲しいだけだ~!」


「はあ~! 聞こえんな~。俺を働かせたかったら俺を倒してみろ! ハ~ッハッハハ~」


 大笑いしながら5人を棍棒で叩きのめす、こう言う連中は恐怖って奴を教えてあげなくてはいけないのだな、躾がちゃんと出来ていないので他人に迷惑をかけちゃうのだ。これも世の為人に為って奴だ、こんなカスを真人間に躾てさしあげる俺は何て良い人間なのだろうか、その内神様に表彰されるかも知れんな。


「ゴン殿! お止め下され! 死んでしまいます」


「おおこれはこれは、つい教育に熱が入ってしまった様だ。ごめんなさい」


 もう少しで半殺しから全殺しになろうとしていた所に村長が慌ててやって来た。そしてもしかしたらやり過ぎたかも知れないので、ちゃんとゴメンナサイと言っておいた。俺はとても礼儀正しいのだ。


「やり過ぎですぞ! ゴン殿!」


「あ~ん!」


 村長が俺に文句を言っているので棍棒を握って睨みつける、村人の行動には村長が責任を持つのが当然なのだ、ついでにこの爺にも教育が必要かもしれんな。まあ、学ぶ前に死ぬかも知れんが、それは俺のせいでは無いな。


「ヒイ!」


「おい! ジジイ! 隠れて見てたのは知ってるんだぞ。俺に畑を造らせるつもりだっただろう。舐めた真似をすると村ごと滅ぼすぞ!」


「命ばかりはお助けを

~! 勘弁して下され! 勘弁して下され! この通りですじゃ」


 村長と5人組みが土下座をして謝るので、俺は一応暴れるのを止めた。これ以上やっては子供の教育に宜しく無いから、俺は常に気配りを忘れない。そして、ついでに遠巻きに眺めている村人達にも釘をさすことにした。


「良いかお前ら! モモの畑にチョッカイ出したら。俺が教育してやるぞ! 手加減抜きでな~! 解ったか!」


「「「「「ヒイ~!!」」」」」 


 こうして俺は危うく村人の奴隷にされそうな所を切り抜けた、畑が欲しい場合はモモに借りてチャント代金を支払う様にキツく村長に命じておいた。万が一約束を違えた場合は、俺が今度は本気で教育をするって言っておいたのだ。


「あの~、ゴン様。前回の教育は本気では無かったのですか?」


「うむ、物凄く手加減したのだ。本気で殴ると頭が消し飛ぶから汚いのだ」


「「「「・・・・・・」」」」


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