第15話 護衛するゴン
俺を雇った人は偉い人だろうな~って思ってたのだが、本当に偉い人だった様だ。あの人はこの都市の領主代理だった。会社で言えば副社長とかになるのかな? 貴族の階級とか言われても俺には分からないし。なんでも前の領主が急病で死んじゃったので、領主の息子である雇い主(まあ名前はフリードナンちゃら・カンちゃらと言う長い名前なので覚えていないのだが)さんが今は代理を勤めているのだそうだ。正式に領主になるには3ヶ月後の会議で投票が行われてから決まるそうだ。
「ゴン君、護衛を頼む」
「ウイ」
何やら色々忙しいらしく旦那さんは2日に一度は何処かへ出かけている、俺はその護衛をしているのだ。主人の馬車の前に騎馬が2体、左右にも2体、そして俺は馬車の後方を2体のゴーレムに乗ってシズシズと進んでいく。全部で護衛は5人、騎兵が4人と俺とゴーレム2体が護衛の全てだ。
「ゴン殿、ゴーレムが段々凄く成っていますな(´Д` )」
「うむ、主人を守らなくてはならぬからな」
俺のゴーレムを見て困った顔をしている護衛仲間に言われた俺は重々しく答えた。フリードさんは助けた俺を気前よく1000万ゴールドもくれたので全ての金をゴーレムに注ぎ込んだら大きくて立派になったのだな。
どういう風になったかと言えば、中の木製の骨格を全て金属製に替え大型化、更に両腕の武装も普通の剣からフリードさんの屋敷に有った両刃のブロードソードに変換、そして肩のランチャーもサイズに合わせて大型化した。そしてミノタウロスの人体部分にフルアーマーを着せて見たところ全備重量500キロの馬サイズのゴーレムに成っちゃったのだな。異様な見かけとガチャガチャ言う走行音で俺はこの都市でとても有名に成ってしまった。今のゴーレムなら体当たりで普通の騎兵を蹴散らせる、多分騎兵10騎位なら勝てると思うな。
「この位目立って居れば襲撃する方も困るだろうな、何せ住民が皆こっちを見ているからな」
「成程、そう言う意図がお有りになったのですか。流石はゴン殿」
俺は護衛なので襲撃された時に迎撃するのも仕事なのだが、一番良いのは相手に襲撃をさせない事なのだ。だからワザワザ強そうな姿を見せて、更に住民の視線まで集めて護衛をしているのだ。視線が多ければ犯罪者って奴は目撃者が増えるので犯罪を躊躇するのだ、俺はゴーレムを自慢したくてやっている訳では断じて無い。
「ゴン、何してるの?」
「ゴーレム造り」
「まだ造るの?」
「勿論」
平穏な日々が続いては居たが、話を聞けば前領主の死因もかなり怪しいらしい。どうやら領主に成り代わりたい人間が居る様な事を主人が言っていた。護衛をしている時も俺達をジット見ている連中が居る事にも俺は気がついていた。悪意の有る視線って奴は、俺は後ろを向いて居てもわかるのだな、これは底辺の人間にしか分からない超感覚なのかも知れないな。危険な環境で長年生きてきた事によるスキルの様な物かも知れない。
「ゴーレム造るのは理解出来るけど、何故屋敷で寝ないの? ご飯も独りで食べてるし」
「そうですわ、ご飯ぐらい一緒に食べましょうゴン様」
「そう言う訳にはいかんのだ、俺は護衛だからな。仕事を受けたからには完遂するのが俺の主義なのだ」
「護衛は御飯食べちゃダメなの?」
「うむ!」
俺は力強く頷いた、俺の異世界の知識がそれを正しい事だと強く肯定しているのだ。
「ほう、そこの所を詳しく話してくれないかね? ゴン君」
「これはこれはお館様、この様なむさくるしい所ろに来なくても呼べば参りましたのに」
「・・・・・・何かゴンが、戦国モードに入ってる・・・・・・」
主人が俺の行動の説明を求めているので仕方が無い、面倒だが説明する事にしよう。何故俺が屋敷のご飯を食べないのか、そして何故屋敷で寝ないのか。
「皆で食事をしないのは、毒を食わない為です」
「そんな事が・・・・・・」
「前領主は病死でしたね? 毒殺は非常に簡単で昔から多くの国で使われています。それにまとめて痺れ薬でも飲ませて、行動不能の人間を殺すのは非常に楽です。俺なら使います、普通に。失敗しても損しませんからね」
「しかし、我家には毒見役の者が居るのだがね」
「買収、家族をさらっての脅迫、幾らでも方法は有ります。ご主人は人を信用しすぎですな」
「・・・・・・」
「更に私が屋敷に寝ない理由ですが、それも簡単。襲撃の際には私なら屋敷に放火、または毒薬を霧状にして散布、そして屋敷内の人員全ての抹殺を狙います。閉ざされた空間で寝るのは非常に危険なのです。俺なら簡単に屋敷の人間を皆殺しに出来ますよ」
「なんと・・・・・・私はそんなに危険だったのか・・・・・・」
「まあ、俺なら簡単にやれますね。相手が間抜けで良かったですね大将!」
俺の説明で酷くフリードさんが落ち込んで居たので明るく声を掛けた。俺は空気を読む人間なのだ。そしてアフターフォローも忘れない。
「まあ、悪党が屋敷に襲撃を掛けて来たら俺とゴーレムが返り討ちにしてあげますよ。20人位までなら大丈夫です。ですから、食事だけには気をつけて下さいね」
「うむ・・・・・・分かった。ありがとう」
次の日から俺は度々ご主人に呼ばれる事が多くなった。ゴーレム作成の邪魔になるから本当は面倒なのだが、ゴーレムの改造には金が掛かるので雇い主の頼みは断れないのだ。う~ん、メンドくさい、逃げちゃおうかな~、逃げたらビックリするだろうな~等と能天気な事を考えながらも俺はご主人様と話をする。俺って意外と責任感の強い漢なのだ。
「護衛を増やそうと思うのだが、どう思う?」
「止めたほうが宜しいかと」
「何故だね? 護衛を増やした方が安全だと思うのだが?」
「今から護衛を増やしても、必ず裏切り者が紛れて来るでしょう。味方の中に敵が混ざると非常に危険ですな。俺が敵ならこの機に必ずスパイを送り込みます」
「う~む、それもそうか・・・・・・難しいものだな」
「そこで私めに良い考えが・・・・・・へへへ」
それから俺は安全・安心のゴーレム押しの話をフリードさんに行った。寝ない、食わない裏切らない。俺の命令しか聞かない不死身の戦士ゴーレムちゃん。まあ早い話、護衛用ゴーレムを造るから金を出せって言う話だ。フリードさんも事態の深刻さが理解出来たのか、大人しくお金を出し手くれた、本当に人が良いな、直ぐに詐欺に掛かりそうだが、この人は大丈夫なのだろうか?




