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異世界をゴーレムと伴に歩む  作者: ぴっぴ
第1章 ゴーレム使い放浪編
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第11話 森の中で

「ゴン! シャワーお願い」


「ちっ! メンドクセーな」


 俺のゴーレムハウスにはシャワーが有る、と言っても室内では無く。家の外の壁に付いているのだ。水用の40リットルタンクを備えているのでタンクの水を全部使うと5分ほど水が出てくる優れものだ。そして異世界人が経営している雑貨屋で石鹸とシャンプーも買っているので、街の宿屋よりもかなり快適に生活出来たりするのだ。ただし、俺が水の出したり止めたりをしなくてはいけないから、自分以外の人間が使うときは面倒なのだ。


「覗いても良いわよ!」


「誰が覗くか! 胸がチッとも無いジャン!」


「有るわよ! 失礼ね!」


 目つきの悪い方の女、ナナちんが壁越しに水を出せ、とか、止めてって言う度に俺はタンクのバルブの開閉を念じなくてはならない。何故か一緒に暮らし出すとナナちんは厚かましく成ったのだな。


「キャ~! お鍋が吹いてます~!」


「何だと! 俺の大事なオデンが」


 一方巨乳のカヤのんの方は家事が壊滅的だった、どうやら異世界では良い処のお嬢だった様で、家事は全てお手伝いさんがしていたのだそうだ。つまり俺はパートナーでは無く扶養家族が増えた様なのだな。


「いや~、良いシャワーだったわ。晩御飯まだ?」


「ぐぬぬぬぬ・・・・・・」


「ゴンさんの作るオデンは最高ですわ」


「へへへ、そうかな」


 何故か女共が街から帰って来ると忙しくなる。家賃がタダなので少し余裕が出来て来た為に晩御飯のオカズを街から買って来てくれるのは非常に助かっているのだが。でも何か納得いかない気がする。


「ゴンのお陰でお金に余裕が出来て来たわ、ありがとうね」

「本当に助かってます、有難うございます」


「ふっ、そう思ったら俺を大事にしろよ。家事は全部俺じゃね~か!」


 幾ら文句を言っても通じない、何だこの女共は! まあ、大体女ってこんなもんだよな、一緒に暮らし出すと分かるけど。

 こういう生活が3ヶ月程続いて段々他人との生活に慣れてきたゴンは、趣味のゴーレム改造に毎日飽きもせず取り組んでいた。最初は骨格だけだった8本足のミノタウロス型ゴーレムも暇に物を言わせて肉付けして今やかなりの大型化に成功していた、そしてある程度の改造が終わればもう一体の改造を行うと言うモデラーならではの終わりのない改良・改善作業を行っていた。兎に角、モデラーって言う人種は自分の作品に関しては欲張りなのだ、一切の妥協は許されないと思い込んでいる変な人種なのであった。


「立派になったな、ゴーレム」


「「カチ!カチ!」」


「そうかそうか、嬉しいか」


 ブン!ブン!


 ゴーレムは言葉こそ喋らないが、返事の変わりに音を出せる機能を付けたり尻尾を振って機嫌の善し悪しなど感情を表現する機能をつけてみた。そして改造すればする程ゴーレムとゴンは繋がりが深くなって行ってる、具体的に言えばゴーレム達はゴンの命令に対する反応速度が上がって来ている様な感じだった。


 そして大型化してパワーが上がると、当然それに伴って武装も強化されるのは当たり前の事。今や金属の装甲を持ち、両腕が剣に成った突撃型ゴーレムと。もう一体は金属の装甲を纏った上に金属製の盾と槍を持ったバランス型のゴーレムとが出来上がっていた。


「お前ら、明日から又ダンジョンに潜るぞ。戦闘力を見てみたいからな、頑張れよ!」


「「ガチャ!ガチャ!ガチャガチャ」」


 ゴーレム達もダンジョンに行くのが楽しみらしく、武器を打ち合わせて喜んでいる。うむ、やる気のある良いゴーレムだ。こいつらと一緒なら20階層位俺達だけで何とか成りそうだ。そして金を稼げば更にゴーレムを改造してもっと深い所に行けるかも知れないな。目指せ単独ダンジョン制覇! だな。


「ただいま! ゴン、お土産が有るわよ。ゴンの好きな串焼き」

「私も有ります、ゴンさんの好きなパンです」


「おお、有難う。最近すっかり街に出るのがメンドくさく成ってきてたから助かる」


 以前は腹が減れば街に出かけて屋台で御飯を食べていたのだが、彼女達が街で買い物をしてくれるのでワザワザ街に出かける必要が無く成ったのだ。必要が無いなら出来るだけ人混みは避けたいので、今ではバイト以外では森からスッカリ出なくなってしまっていた。兎に角人と関わり合わなければ人生の面倒事って奴は少なくなるのだな、まあ、楽しみも減るのだが。


「うん!?」


「「どうかした? 目つきが悪いけど?」


「お土産が来た様だな」


「「???」」


 ゴーレムハウスの中で鈴が鳴っている、此れはゴーレムハウスの周囲50mに生き物が入ってきたら鳴る警戒用ゴーレムなのだ。森の中でボッチなゴンに抜かりは無い、ゴンは不意打ちするのは好きだがされるのは大嫌いなのだ。


「へっへっへ、良く気がついたな」


 森の中から汚い格好の男達が3人出てきた。2人が付けられていた様だ、ここは魔物が出る森なので冒険者以外は普通は入って来ないのだ。


「何の用!」


「「「そんなの決まってるだろ、なあ、兄ちゃん」」」


「うむ、分かっている。どうせ女を買う金も無い雑魚だから、ここでこいつらを襲うつもりだろう? それに弱すぎて金を稼げないから女から相手にされないのだろう。一目見ただけで分かったよ、お前らが雑魚のゴミだって事はな!」


「「「何だと~! クソ餓鬼が~!!!」」」


「「ゴンがいっぱい喋った~!!」」


 2人が驚くのも無理はない、俺は普段は余り喋らない。但し他人の悪口を言う時は別だ、幾らでも喋れるし、相手が一番言われたくない事を延々と言いまくるのだ。そう、俺は普通の喧嘩だけでは無く、口喧嘩も強いのだ。


「「「お前を殺した後で、女は犯して売り払ってやる!」」」


「それは無理だな、お前ら雑魚に俺は殺せない」


「「「ただの素人が偉そうに、お前は死ね!」」」


「フハハハ~! お前が死ね! ゴーレム!」


 中々向かって来ない小汚い男達3人にゴーレム2体を突進させる、対ハイオーク用に造ってあるので、人間相手には過剰な戦力なのだが、折角造ったゴーレムなので使わないと勿体無い。


 真後ろから突進したゴーレムに2人の男が跳ね飛ばされる、2人の男は手足が変な方向へ曲がっていた、そして一人残った方はゴーレムの構えた槍に胸を刺されて槍の穂先で手足をバタバタさせている。男の胸から血がドバドバ出ていて汚い、俺の庭が汚れてしまうので大変だ。


「ぎゃ~!!! イテ~! いて~よ!」


「うるさい!」


 俺の庭を血だらけにして汚した挙句、大声で喚くので俺の機嫌は最悪だ。静かにするべく棍棒で3人の頭を殴って静かにさせる。ふう、これでやっと静かになった、万事解決だな。俺は静かな環境が好きなのだ、騒音は嫌いなのだ。


「殺したの? ゴン?」

「死んだのでしょうか?」


 2人はどうやら人が死ぬのに慣れていない様だ、多分ラノベで良くある罪悪感とか忌避感とか言う奴のせいだろう。勿論俺にはそんな高尚な物は無い、多分前世に置き忘れて来たのだろう。


「ううん! 殺してないよ~、神の元に送っただけ」


「「殺してるジャン!」」


「フフフ、彼等がこれ以上悪行を積まない様にしてやったのだ。此れは神の意思である」


 まあこの位言っとけば良いだろう、俺は全然悪くない。むしろ良い事をしたのだ、世の中から悪人を3人も減らしたのだからな。神様が居るならば、良くやったと褒めてくれるだろう。


 こんな具合にゴンと2人の女性は森の中で平穏に生活を送っていた。





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