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異世界をゴーレムと伴に歩む  作者: ぴっぴ
第1章 ゴーレム使い放浪編
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第1話 10回目の解雇

 オッス! オラ異世界に転生しちゃった現代人、異世界での名前はゴン。元の世界の名前は覚えていない、多分凄くカッコ良い名前だった気がする・・・・・・まあ、気がするだけなんですけどね。そして異世界と言えば冒険者! 勿論俺も冒険者をやっているのさ、今はまだ駆け出しだけれど、その内SSS級の冒険者になってハーレム造ってウハウハに成る予定なのさ。


 そして今俺は冒険者の聖地、冒険者ギルドに仲間と伴にいるのであった。今からクエストを受けて冒険に旅立つ所なのだ。


「おいゴン! お前クビ! 役にたたね~から」


「そんな~! 俺だって少しは役に立ってるじゃないか、もう少し長い目で見ていてくれよ~」


「イヤイヤイヤ! ほんとに少ししか役に立ってネ~から! お前のゴーレム弱すぎだから」


 どうやら10回目の解雇らしい、どこの冒険者チームに入れてもらっても俺は直ぐにクビに成るのだ。それと言うのも俺の造るゴーレムは戦闘がまるで駄目なのだ、戦闘が駄目でも荷物を大量に運べるとかならまだ使い道も有るのだが俺のゴーレムは荷物も大して運べない、何せ俺のゴーレムは小さいのだ、サイズ的には魔物で言えばゴブリンサイズ、力の強さと大きさは大体10歳位の子供並しかないのだ。


「はふ~又クビか~、世の中ままならんものだな」


 ここで普通なら落ち込む所だが俺には前世の記憶が有るので全然めげたりしない、人生って奴は最後に笑った者が勝ちなのだ、俺はそれを良く知っているのだ。若い頃の失敗等は悩む必要すらないのだ。


「良し! 次!」


 チームをクビになっても死ぬ訳でも無ければ、腹が減るわけでも無いし、余計な気を使わずに済むのでかえって人生が豊かに成る様なものだ、つまり俺は得をした様なものなのだ。


「お姉さん! 薬草採取の依頼下さい!」


「・・・・・・えっ、あっ・・・・・・はい?!」


 クビ宣告を受けて1秒だけ動揺したが、2秒後に再起動した俺は冒険者組合の受付のお姉さんに元気よく依頼を貰いに行った。あまりの立ち直りの速さに冒険者組合に居た他の冒険者もあっけに取られていた。


「またソロプレーヤーになったので宜しくお願いします」


「えっ(´Д`) うん、よろしくね」


 ソロプレーヤーになったので魔物の討伐等という危険なクエストはパスなのだ、ボッチプレーヤーは危険の少ない薬草採取や街の雑用等をして日銭を稼いで暮らして行くのが王道って奴だった。

 組合のお姉さんに簡単で危険の少ない薬草採取のクエスト貰ったので早速冒険に出かける事にした、一人なので好きな時に好きな事を出来るので、水筒に水を詰めて直ぐに出発だ。貧乏なので荷物などは殆ど持って無いので非常に身軽に移動出来ちゃうのだ。ふふふ、ボッチって最高なのだよ。


「ボッチ最高~!」


 ボッチ(ソロ)プレーヤーと成った俺は鼻歌を歌いながら森林地帯へと歩いていく、隣には俺の自慢のゴーレムがチョコチョコと付いて来ている。少し小型だが実は物凄く優秀なゴーレムなのだ、俺が3ヶ月も掛けて作り出したワンオフモデルなのだから。

 そうそう少し説明しておこう、この世界は剣と魔法の世界。よって魔法を使える人間が少し居る、因みに異世界転生した人間は魔法が使える者が極端に少ない。それはそうだろう、何せ元の世界には魔法が無かったので魔法が何か誰も知らないからだ。因みに俺も魔法でゴーレムを生み出したりは出来ない、この世界のゴーレムは普通は土魔道士が泥や石でゴーレムを造るのだが、俺は土魔法は使えない。ではどうやって造るのかと言えば、部品を組み立てて造るのだ、つまり手作りでプラモを造る様な感じだ。モデラー用語で言えばフルスクラッチって奴だな、これは前世でモデラーだったせいで生まれたスキルみたいで非常に珍しいスキルの様だった。ただ残念な事に非常に手間と時間が掛かる、巨大なゴーレム等夢の又夢って感じなのだ。知ってるかい? 車なんて造ろうとしたら部品を2万個位造らないといけないんだぜ。そんなの個人でどうにか出来る訳無いよな。

 それともう一つ、この世界に居る転生者は俺だけでは無い様だ、ハンバーガーの屋台やレストラン等がチラホラ有るので、多分転生者がやってる店だと思う、結構繁盛していて儲けているようだった。因みに冒険者で有名な転生者はまだ居ない、平和な日本人に魔物との戦闘はハードルが高すぎた様だ。


「ゴーレムよ薬草を採取するのだ」


「・・・・・・」


 ゴーレムに命令をした俺はしゃがんで薬草をせっせと集める、ゴーレムに会話機能はついていないので声は出ないし頷く機能も無い、それでも薬草をむしって居るので結構有能なのだ。因みに俺のゴーレムは指が10本有り、関節もジョイントで作ってあるので人間並みの精密作業が出来るのだ、普通のゴーレムより優秀だと言うのはここの所だ、まあ精密故に壊れ易くパワーが無いのが欠点なのだがな。


「ゴーレム、帰るぞ」


「・・・・・・」


 ゴーレムに話しかけるのも少し虚しいので、今度は頷く機能でもつけなくては成るまい。独り言を言ってる様で少し恥ずかしい・・・・・・いや、全然恥ずかしく無いな。良く考えたら他人に何と思われようがちっとも気にならない事に気がついた。思うのは個人の自由なので好きに思えば良いのだ、それどころか俺が他人に話題を提供してやっているのだと思えばかえって甲斐性が有る様で誇らしい気分にすらなるではないか! ふむ、俺って大人だぜ。


 その日、再びボッチプレーヤーと成った俺はゴーレムと伴に薬草採取で5000ゴールドと言う大金を稼ぎ出した、此れは安い宿に泊まって安い夕飯が食えると言う位の稼ぎだった、元の世界の5000円と考えるとわかり易いだろう。因みに俺が集めた薬草が4500ゴールドでゴーレムが集めた薬草が500ゴールドだった、これを見れば俺がクビに成った理由も分かると言うものだ、つまりゴーレムは殆ど役に立たないのだ。

 

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[一言] タイトル あらすじ1行目  第1話の一番下から6行目  『伴(とも)』は知名度が低いので(読めないかも)、余程こだわりがない限り『共』か『供(例えば日本昔話「桃太郎」で犬・サル・雉 お供しま…
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