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7.感想戦

本日2話目。短め。


しばらくして華公爵が迎えに来たことで、初対面は終了した。


華公爵は、帰りの馬車で不安げに問い掛ける。


「……どうだった?」

「す、素敵な方でしたわ」

「ええ、とても、お優しかったですわ」


吃り気味に姉妹は答える。

優しくて素敵な方という印象に嘘はない。

だが、自分がやらかしたという記憶が歯切れを悪くさせた。


自分たちの印象は良い。だが相手からしたらどうだったのか。


「……大丈夫だったな?」


勘の鋭い父に、二人は揃って目線を逸らす。

父はそれで全てを悟った。何かやらかしたな。


「はぁ……」

「お、お父様、申し訳ございません」

「……私は良い」


仕事への影響に対してついているため息と思い麗香は謝るが、父は首を振る。


彼としても、隠し通すことは難しい気はしていたのだ。

それでも縁談を進めたのは、ひとえに娘達のため。


「私はどうとでもなるから問題ない。華公爵家当主だからな。それよりお前達だ!」


麗香も清華もビクッと震える。

分かっているのだ。ここまでお膳立てしてもらったのに壊したことを。


ただ、と清華は思う。

後半の陛下からは優しさだけでなく親しみも感じた。お飾りの妻なら、もしかしたら。


とは言え希望的観測だ。

清華は考えを胸の内にしまった。



□■□■□■



「銀雪、僕は決めたよ」


華公爵家の面々が帰った後、純は銀雪に宣言した。


「清華嬢と婚約する」

「……そうか」


銀雪はそれだけ言ってソファーに沈み込む。

純と清華が視線を合わせて会話をしていた時に思ったのだ。きちんと意見を言い合える理想の夫婦になれそうだと。

だがこんなに早く決断するとは、思っていた以上に、純は彼女を気に入っていたのか。


「銀雪は?」

「……まぁ、悪くはないな」


彼が欲しているのは、純とは違い、正真正銘のお飾りの嫁だ。

麗香は見た目も礼儀も問題なし。何より、自分が愛さなくても向こうは勝手に楽しんでくれそうなのだ。悪くない。むしろ理想的と言えるだろう。


「……そうだな。純と一緒に婚約を結ぶか」

「一緒だと、なんか言われそうだね」


純がクスクス笑うと、銀雪もニヤリと笑う。


「婚約祝いだ、お互いの」

「あはは、物じゃないんだね」

「何より喜ぶんだから問題ないだろ」

「そうだね、ふふふ」


純の笑いは止まらない。

こんなに笑う純は珍しい。ついこの間まで無表情がデフォルトだったというのに。


「さて、さっさと手紙でも書くか」

「うん。あ、お揃いにする?」

「やめてくれ、そこまですると本気にしそうだ、あいつら」


本当に純とくっ付けられたら堪らない。




そうして、純は清華と、銀雪は麗香と、婚約を結んだ。


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